
お風呂の黒カビがごっそり落ちる!プロ直伝の落とし方と再発防止のコツ
更新日 : 2025年12月03日

富士水道センター編集部
お風呂の黒カビは、一度ついてしまうとこすっても落ちにくく、見るたびに気分が沈む汚れですよね。
放置すれば見た目が悪くなるだけでなく、ニオイや衛生面の不安も増えていきます。
この記事では、黒カビが発生する原因から、泡ハイターなど塩素系洗剤を使った正しい落とし方、クエン酸との使い分け、パッキン・コーキングに根を張ったカビへの対処法までを順番に解説します。
あわせて、再発を防ぐための換気や水切りなどの予防習慣も紹介。
読むだけで「どの汚れに、どの方法を選べばいいか」が整理できます。
目次
お風呂に黒カビが生える理由とメカニズム

この章では、黒カビが増える背景を理解するために、次のポイントを整理します。
- 黒カビの正体と特性
- 黒カビが成長しやすい条件
- 黒カビが特に増える場所
黒カビは「どうして発生するのか」を知っておくと、後の掃除や予防が格段にやりやすくなります。ここから詳しく説明していきます。
この章では、黒カビが増える背景を理解するために、次のポイントを整理します。
- 黒カビの正体と特性
- 黒カビが成長しやすい条件
- 黒カビが特に増える場所
黒カビは「どうして発生するのか」を知っておくと、後の掃除や予防が格段にやりやすくなります。ここから詳しく説明していきます。
黒カビの正体
お風呂に現れる黒い汚れのほとんどは、クラドスポリウム属と呼ばれるカビです。
空気中に常に漂っているため、家の中から完全に排除することはできません。
目に見えない段階で浴室内のあらゆる場所に付着し、条件がそろうと一気に増えていくのが特徴です。
黒カビは根を張るように奥へ入り込む性質があり、ゴムやコーキングのような柔らかい素材に付着すると深部まで入り込むことがあります。
表面だけをこすっても跡が残りやすいのは、この性質が影響しているからです。
黒カビが発生しやすい条件
黒カビが活発に増える条件は次の三つです。
- 湿度が高い
- 温度が20〜30℃前後
- 皮脂汚れや石けんカスが付着している
入浴直後のお風呂はこの条件がすべてそろうため、最も黒カビが増えやすいタイミングです。
湿度が下がらないまま放置すると増殖が止まらず、翌日には黒い斑点が広がることがあります。
さらに、お風呂の汚れは「水垢」「皮脂」「石けんカス」が混ざり合った複雑な状態で、カビにとって絶好のエサです。
掃除をしているつもりでも、壁の溝やパッキンの角に残った汚れが黒カビの温床になることがあります。
黒カビが特に増える場所
黒カビは、水分が残りやすい場所・汚れがたまりやすい場所・乾きにくい場所に集中します。
- ゴムパッキン(浴室ドア、浴槽周り)
- コーキング(壁と浴槽のつなぎ目)
- タイルの目地
- 天井の四隅
- 浴槽フタ、風呂椅子、洗面器
- 排水口まわり
これらの場所は凹凸が多く、乾きにくく、汚れが付着したまま放置されやすいことが理由です。
特に天井の四隅は湿気がこもり、掃除の手が届きにくいため、黒カビが成長しやすいポイント。
また、浴槽フタや風呂椅子などの小物は形状が複雑で、使用後にしっかり乾燥させなければ黒カビの温床になってしまいます。
黒カビは見える部分だけで増殖しているわけではなく、すき間の奥でも繁殖するため、気づいたときには広範囲に広がっていることが珍しくありません。
定期的な換気や水気の除去が欠かせない理由はここにあります。
お風呂の黒カビを落とす基本手順

この章では、黒カビを確実に落とすための基本的な流れを整理します。
- 黒カビ掃除に必要なもの
- カビ取り剤の正しい使い方
- 安全に作業するための注意点
- 放置時間と仕上げのポイント
黒カビの落とし方は手順を間違えると落ちにくくなり、素材を傷める原因に。
ここからは、最も効率よくカビを落とす方法を順番に解説します。
黒カビ掃除に必要な道具
黒カビを落とす際は、次の道具を準備しておくと作業がスムーズです。
- 塩素系カビ取り剤
- キッチンペーパーまたはラップ
- ゴム手袋
- マスク
- ゴーグル
- 換気扇または窓開け用の換気環境
塩素系洗剤は黒カビに強く、根にまで作用するのが特徴です。
キッチンペーパーやラップを使うと、カビ取り剤を長く密着させることができ、落としにくいカビを効率よく分解できます。
塩素系カビ取り剤を使うときの注意点
安全に作業するために、次の点を必ず守ってください。
- 換気をしながら作業する
- 手袋やマスクで肌と呼吸を保護する
- 酸性洗剤と混ぜない
- 長時間吸い込まない
特に「酸性洗剤と混ぜない」ことが重要です。
酸性と塩素系が混ざると有毒ガスが発生し、健康に悪影響を及ぼす危険があります。
黒カビを落とす基本の流れ
黒カビ掃除の基本は、以下のステップです。
- カビの部分を乾いた状態にしておく
- カビ取り剤を直接スプレーする
- キッチンペーパーまたはラップで覆う
- 10〜30分ほど放置する
- 水でしっかり洗い流す
- 乾燥させる
水に濡れた状態だとカビ取り剤が薄まり、効果が落ちます。
そのため、最初に水気を拭き取ってから薬剤を使うのがポイントです。
放置時間は製品によって異なりますが、放置しすぎると素材を傷つける場合があります。
使用前にパッケージを確認し、適切な時間を守ることが大切です。
仕上げに乾燥を徹底する理由
カビ取り剤で黒カビを除去したあと、乾燥をしっかり行うことで再発を防ぎやすくなります。
- 換気扇を回す
- 窓を開ける
- 壁や床の水滴を拭き取る
黒カビは湿度が高い状態で再び増え始めるため、乾燥の徹底が必要です。
掃除の最後に乾かす習慣をつけるだけで、黒カビの発生頻度を大きく減らせます。
黒カビが取れないときの原因と対処法

この章では、「お風呂の黒カビがどうしても取れない」という悩みに絞って解説します。
- 黒カビが取れない主な原因
- ありがちな失敗パターン
- もう一度試せる対処法
- 力では限界があるケースと、コーキングやパッキンの交換判断
同じ場所に何度も黒カビが出てくると、「洗剤が効かない」「もう落ちない」と感じやすくなります。
ここからは、取れない黒カビの正体と、どこまで自分で対処できるかを詳しく見ていきましょう。
黒カビが取れない主な原因
黒カビが取れない背景には、いくつか共通した理由があります。
- カビの根が素材の奥まで入り込んでいる
- 使っている洗剤が汚れに合っていない
- 放置時間が短い
- こすりすぎで素材が傷んでいる
- そもそも黒カビではなく「染み」「劣化」の可能性がある
パッキンやコーキングに発生した黒カビは、表面だけでなく内部まで菌糸が入り込むことがあるので注意が必要です。
この段階まで進行すると、塩素系カビ取り剤を使っても色素が残り、うっすらとした黒ずみだけが残る状態に変わります。
また、弱い洗剤や中性洗剤で何度もこすっても、黒カビの根までは届きません。
ブラシで強くこすりすぎた結果、パッキンや目地だけが削れ、そこに再び汚れとカビがたまるという悪循環に陥ることもあります。
さらに、長年使い続けたお風呂では、黒カビではなく「コーキングそのものの変色」「金属部のサビ」「水垢と皮脂が混ざった黒ずみ」の場合もあるのがポイン。
この場合は、いくらカビ取り剤を使っても色が戻らないことがほとんどです。
取れない黒カビにもう一度試したい対処法
まだ素材の傷みがそこまで進行していない場合、次のような方法を試すと効果が出ることがあります。
- 黒カビ部分を乾かしてから塩素系カビ取り剤を塗布する
- キッチンペーパーで覆い、上から再度スプレーして湿布状態にする
- メーカー推奨の上限時間までしっかり放置する
- 放置後は水で十分に洗い流す
黒カビは水分で薄まった薬剤では十分に分解できません。
事前に水気を拭き取り、乾いた状態で薬剤を使うことで、カビの根に作用しやすくなります。
湿布のようにキッチンペーパーで覆うと、薬剤が流れ落ちにくくなり、効果を引き出しやすくなるので試してみてください。
一度で落とし切れない場合でも、数日に分けて同じ手順を繰り返すと、少しずつ薄くなっていくことがあります。
それでも落ちない場合は「素材の限界」を疑う
何度か正しい手順でカビ取りをしても黒い影が残る場合、次のような状態に進んでいる可能性があります。
- パッキンやコーキングの内部まで黒カビの色素が染み込んでいる
- コーキングがひび割れ、隙間から汚れが入り込んでいる
- 素材そのものが経年劣化で変色している
この段階まで進むと、家庭用のカビ取り剤で完全に白く戻すことはほとんど期待できません。
見た目の黒ずみは残っていても、菌そのものはある程度死滅している場合もあり、「見た目の問題」と「衛生面の問題」を分けて考えることが大切です。
見た目も含めてきれいにしたい場合は、次のような対処をしてみましょう。
- コーキングの打ち替え
- ゴムパッキンの交換
- 劣化が激しい部位の部分補修
特に、浴槽と壁のつなぎ目や、ドアまわりのパッキンに黒カビが広がっている場合は、一度専門業者に相談すると判断がしやすくなります。
内部までカビが進行していると、見えない部分の腐食や、水漏れリスクにつながるケースもあるためです。
部位別の黒カビ対処法(ピンポイントで確実に落とす)

この章では、お風呂のなかでも黒カビが集中しやすい場所ごとに、落とし方を整理します。
- ゴムパッキンの黒カビ対処法
- コーキングの黒カビ対処法
- 天井の黒カビ対処法
- タイル目地の黒カビ対処法
- 排水口まわりの黒カビ対処法
- 浴槽フタや風呂椅子など小物の黒カビ対処法
同じ「黒カビ」でも、場所によって素材や汚れ方が違います。
それぞれの特徴に合った落とし方を知っておくと、無駄な力仕事を減らしつつ、効率よく黒カビを落とせます。
ここから順番に見ていきましょう。
ゴムパッキンの黒カビを落とす方法
ゴムパッキンは、黒カビの悩みがもっとも多い場所です。
柔らかい素材のため、カビの根が奥に入り込みやすい部分といえます。
基本の手順は次のとおりです。
- パッキン部分の水気を拭き取る
- 黒カビに塩素系カビ取り剤をスプレーする
- キッチンペーパーを貼り付けて湿布にする
- 表面が乾かない程度に、必要であれば上から再度スプレーする
- パッケージ表示の時間まで放置する
- ゴム手袋をした手でペーパーを剥がし、水でよくすすぐ
ポイントは「乾いた状態で薬剤を乗せること」と「湿布で密着させること」です。
一度で落ち切らない場合は、数日に分けて同じ手順を繰り返すと、少しずつ薄くなっていきます。
コーキングの黒カビを落とす方法
浴槽と壁のすき間を埋めているコーキングも、黒カビが定着しやすい場所です。
基本的な手順はパッキンと同じですが、ひび割れがある場合は注意してください。
- コーキング周辺の水分を拭き取る
- 黒カビ部分に塩素系カビ取り剤をスプレーする
- キッチンペーパーで覆い、しっかり密着させる
- 放置後、水で丁寧に洗い流す
コーキングの内部まで黒ずみが入り込んでいる場合、表面だけ白く戻すことが難しいケースもあります。
黒い筋が残ったまま表面だけが少し明るく見えるような状態なら、コーキングそのものの打ち替えを視野に入れる段階と考えられます。
天井の黒カビを安全に落とす方法
天井の黒カビは、目に入りにくく、気づいたときには広がっていることが多い部分です。
直接スプレーを顔の上に向けると危険なので、道具を使って作業しましょう。
-
- フロアワイパーや柄付きモップに雑巾を取り付ける
- 雑巾に薄めた塩素系カビ取り剤を含ませる
- 天井の四隅から全体へ拭き上げるように塗布する
- 表示時間のあいだ放置したあと、水拭きで薬剤を拭き取る
天井は、黒カビがある場所だけでなく、その周辺もまとめて拭いておくと再発防止に役立ちます。
作業中はマスクとゴーグルを着け、換気をしっかり行ってください。
タイル目地の黒カビを落とす方法
タイル目地は凹凸が多く、皮脂や石けんカスが残りやすい場所です。
細かいすき間に黒カビが入り込むため、塩素系カビ取り剤とブラシを組み合わせて落としていきます。
- 目地部分の水気をできるだけ拭き取る
- 黒カビ部分に塩素系カビ取り剤を吹きつける
- 数分〜十数分ほど放置する
- 柔らかめのブラシでこすり、浮いた汚れをかき出す
- 水で洗い流し、最後に乾燥させる
ブラシは目地を削りすぎない程度の硬さを選ぶと安心です。
汚れが強い場合は、ブラシを使う前にキッチンペーパーで軽く湿布しておくと、薬剤がより浸透しやすくなります。
排水口まわりの黒カビを落とす方法
排水口は、髪の毛や石けんカス、皮脂が集中する場所です。
ぬめり汚れと黒カビが混ざり合っていることが多いため、分解力の強い洗剤でまとめて落としていきます。
- 髪の毛やゴミをあらかじめ取り除く
- 排水トラップやフタを外す
- 塩素系の排水口用洗剤やカビ取り剤をかける
- しばらく放置したあと、水で一気に流す
ぬめりが強いときは、ゴム手袋をした手やスポンジで軽くこすり、水で流してみてください。
掃除のついでに、排水トラップの裏側や部品のつなぎ目もチェックすると、黒カビの温床を減らせます。
浴槽フタや風呂椅子など小物の黒カビを落とす方法
浴槽フタや風呂椅子、洗面器などの小物は、底面や溝の部分に黒カビが残りやすいアイテムです。
一度にまとめて洗うと効率的です。
- 風呂椅子やフタ、洗面器を浴槽の中や床に並べる
- 黒カビが目立つ部分に塩素系カビ取り剤をスプレーする
- 汚れが強い場所は、キッチンペーパーで覆って湿布する
- 一定時間放置したあと、シャワーでよくすすぐ
- 最後に立てかけて乾燥させる
小物は「使ったあとに床へ置きっぱなし」だと乾かない時間が長くなり、黒カビが増えやすくなります。
掃除のあとは、フックにかける・立てかけるといった形で、風通しのよい状態を保つ習慣が有効です。
クエン酸は黒カビに効く?正しい使い分け

この章では、「クエン酸で黒カビは落ちるのか」という疑問に答えつつ、役割の違いを整理します。
- クエン酸が黒カビに向かない理由
- クエン酸が得意な汚れ(赤カビ・水垢)
- クエン酸スプレーの基本的な作り方と使い方
- クエン酸と塩素系洗剤を混ぜてはいけない理由
クエン酸は便利な掃除アイテムですが、用途を間違えると「頑張って掃除したのに落ちない」という結果になりやすいです。ここから、黒カビとの相性と正しい使い分けを解説していきます。
クエン酸が黒カビに向かない理由
クエン酸は「酸性」の性質を持ち、水垢や石けんカスなどアルカリ性寄りの汚れを中和するのに向いています。
一方、黒カビは「菌そのもの」であり、色素も根も強く残るのが特徴です。
クエン酸には漂白や殺菌の力があまり期待できないため、黒カビの色や根に十分作用しません。
そのため、
- 黒い点が薄くならない
- 何度スプレーしても見た目が変わらない
といった状態に陥りがちです。
黒カビをしっかり退治したい場合は、クエン酸ではなく 塩素系カビ取り剤 をメインに選びましょう。
クエン酸が得意なのは「赤カビ」と「水垢」
クエン酸の本領が発揮されるのは、次のような汚れです。
- ピンク色の「赤カビ」汚れ
- 白く固まった水垢
- 石けんカスがこびりついた部分
赤カビと呼ばれるピンク色の汚れは、厳密にはカビではなく細菌の一種で、ぬめりを伴うことが多い汚れです。
また、水垢は水道水中のカルシウムなどが浴室表面に残って固まったもので、アルカリ性寄りの性質を持ちます。
クエン酸は、こうしたアルカリ性寄りの汚れを酸で中和し、ふやかして落としやすくするアイテムです。
「床の白いウロコ状の汚れ」「赤っぽいぬめり」にはクエン酸が活躍し、黒カビには塩素系 と使い分けるイメージを持っておくと判断しやすくなります。
クエン酸スプレーの作り方と使い方
クエン酸は粉末で売られていることが多く、スプレーにしておくと浴室全体で使いやすくなります。
- 水200ml
- クエン酸小さじ1〜2杯程度
- スプレーボトル
この組み合わせが基本の目安です。
よく振って溶かし、赤カビや水垢が気になる部分にスプレーし、数分〜10分ほど置いたあとスポンジやブラシでこすりましょう。
最後に水でしっかり洗い流せば、ぬめりや白い汚れがスッキリ。
床や壁、シャワーフック、ボトル置き場の水垢など、黒カビ以外の汚れに対してこまめに使うと、浴室全体の清潔感を保ちやすくなります。
クエン酸と塩素系洗剤は絶対に併用しない
クエン酸を使うときに、もっとも注意したいポイントが 塩素系洗剤との併用禁止 です。
クエン酸は酸性、塩素系カビ取り剤はアルカリ性の薬剤です。
この二つが混ざると、化学反応によって有毒なガスが発生する危険があります。
- クエン酸スプレーを使った直後に、同じ場所へ塩素系洗剤を吹きかける
- 逆に、塩素系を使ったあとにクエン酸で仕上げようとする
こうした使い方は非常に危険です。
クエン酸を使った場所に塩素系洗剤を使いたい場合は、時間を空けるだけでなく、必ず 水で十分に洗い流すこと が欠かせません。
黒カビと赤カビ・ピンクカビの違い

この章では、「見た目が似ていてまぎらわしいカビ汚れ」の違いを整理します。
- 黒カビ・赤カビ・ピンクカビの正体
- 見た目や触ったときの違い
- 落とし方・使う洗剤の違い
- 注意したい健康リスクの差
同じ“カビ汚れ”に見えても、性質や対処法が少しずつ異なります。
ここで一度整理しておくと、「どの洗剤を使うべきか」「どこまで気をつけるべきか」が分かりやすくなります。
順番に見ていきましょう。
黒カビ・赤カビ・ピンクカビの正体
お風呂場で見かける代表的な汚れは、おおまかに次の三つです。
- 黒カビ
- 赤カビ
- ピンクぬめり(ピンクカビと呼ばれることもある汚れ)
黒カビは、クラドスポリウム属などのカビが壁やパッキンに根を張った状態です。
赤カビと呼ばれるピンク色の汚れは、ロドトルラという酵母菌が増えたもので、カビではなく細菌の一種とされています。
いわゆる「ピンクぬめり」は、赤カビや細菌類が混ざり合った状態で、ぬるっとした感触が特徴です。
見
た目はどれも「色のついた汚れ」に見えますが、
黒カビは根が深く、赤カビやピンクぬめりは比較的落としやすい汚れという違いがあります。
見た目・感触で分かる違い
それぞれを見分けたいときは、色だけでなく「触った感触」も手がかりになります。
カビ・ぬめりの種類と特徴
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 黒カビ | ・点々とした黒い斑点が多い ・こすってもすぐには落ちない ・ゴムパッキンや目地に入り込みやすい |
| 赤カビ | ・赤〜ピンク色で、広がるように付着する ・スポンジで軽くこすると落ちやすい ・排水口や床の角など、水が残りやすい部分に強い |
| ピンクぬめり | ・ピンク色で、指で触るとぬるっとした感触がある ・石けんカスや皮脂と混ざった状態で付着することが多い |
軽くこすって落ちてしまう汚れであれば、赤カビやピンクぬめりである可能性が高いです。
逆に、何度こすっても薄くしかならない、あるいは点々と残る場合は黒カビを疑ったほうがよい状況といえます。
落とし方・使う洗剤の違い
黒カビ・赤カビ・ピンクぬめりは、汚れの性質が異なるため、得意な洗剤も変わります。
| 黒カビ | ・塩素系カビ取り剤が基本 ・パッキンや目地には「スプレー+湿布」でじっくり浸透させる |
| 赤カビ・ピンクぬめり | ・中性洗剤や浴室用洗剤、クエン酸スプレーでも落としやすい ・こまめな掃除で増殖を抑えやすい |
黒カビをクエン酸だけで落とそうとしても、根に届かず色が残り続けることがほとんどです。
一方で、赤カビやピンクぬめりに対しては、クエン酸スプレーとスポンジ洗いで十分に対応できます。
「落ちやすいピンク汚れはクエン酸や普段の浴室洗剤」「しつこい黒い点々は塩素系でしっかり」というイメージです。
健康リスクの違いと注意したいポイント
お風呂のカビ汚れは、見た目だけでなく健康面の懸念があるのが問題です。
黒カビは、放置すると胞子が空気中に飛びやすくなり、敏感な人では咳やアレルギー症状を引き起こす可能性が指摘されています。
特に、小さな子どもや高齢者、呼吸器が弱い家族がいる場合は、できるだけ早めに対処しておきたい汚れです。
赤カビやピンクぬめりも、放置すれば不衛生な環境につながりますが、黒カビと比べると落としやすく、こまめな掃除で十分にコントロールしやすい存在といえます。
お風呂の黒カビを予防する対策

この章では、「お風呂の黒カビを増やさないために、今日からできること」を整理します。
- 入浴後の換気と湿度対策
- 壁や床に残る水滴の減らし方
- 週1回のカンタンなリセット掃除
- 浴槽フタや風呂椅子など小物の乾かし方
- 換気扇・浴室乾燥機の上手な使い方
- 洗剤のすすぎ残しを減らすコツ
黒カビは発生してから落とすより、「増えにくい環境をつくるほうが圧倒的に楽」です。
ここからは、お風呂の黒カビ対策として取り入れやすい習慣を、順番に紹介していきます。
入浴後はしっかり換気して湿気を外に逃がす
お風呂の黒カビ対策で、もっとも効果が大きいのが「湿気を残さないこと」です。
入浴後は扉を閉めた状態で換気扇を回し、可能であれば窓も開けて湿った空気を外に出しましょう。
換気扇は、入浴直後だけで止めてしまうと、壁や天井に残った湿気が抜け切りません。
少なくとも2〜3時間ほど連続で回し続けてみてください。
窓のある浴室であれば、「窓+換気扇」を同時に使うと空気の通り道ができ、黒カビ予防に役立ちます。
壁や床の水滴を減らして黒カビのエサを残さない
入浴後の浴室には、壁や床に水滴がびっしり残った状態です。
この水滴が長時間とどまると黒カビが好む高湿度が続き、増殖しやすい環境ができあがります。
入浴を終えたら、シャワーで床や壁の石けんカスを軽く流し、そのあとで冷たい水をかけて温度を下げましょう。
さらに、スクイージー(ワイパー)やタオルでざっと水滴を落としておくと、乾きが早くなり、黒カビがつきにくい状態に近づきます。
すべてを完璧に拭き取る必要はありません。
「水滴をざっくり減らしておく」というだけでも、お風呂の黒カビ対策として十分な効果が期待できます。
週1回のリセット掃除を習慣にする
毎日しっかり掃除をするのは負担が大きいですが、週1回だけ少し丁寧な掃除をする習慣をつくると、お風呂の黒カビは増えにくくなります。
たとえば、次のようなイメージです。
- 壁や床を浴室用洗剤でこすり洗いする
- 目地やパッキンをスポンジで軽くなぞる
- 排水口のゴミ受けを外して洗う
このとき、黒い点々やピンク色の汚れを見つけたら、早めに洗剤で落としておきましょう。
黒カビは「小さいうち」に対処すれば、強い薬剤を使わずに済みます。
気になる部分だけでも、塩素系カビ取り剤をサッと使っておくと、頑固な黒カビへの進行を防ぎやすくなります。
浴槽フタや風呂椅子など小物は“乾かす置き方”に変える
浴槽フタや風呂椅子、洗面器などの小物は、置き方次第で黒カビのつき方が変わります。
床にベタ置きしたままだと、裏側に水がたまりやすく、黒カビやピンク汚れの温床になりがちです。
入浴後は、できるだけ次のような状態を意識するとよいでしょう。
- 風呂椅子や洗面器は、壁に立てかけて乾かす
- 浴槽フタは開いた状態で立てておく
- ボトル類はフックやラックに置いて底面を浮かせる
「空気が通る・水が切れる置き方」に変えるだけでも、お風呂の黒カビやぬめり汚れはぐっと減ります。
小物は一度カビてしまうと掃除の手間が増えるため、乾かし方の工夫が大きな予防策になります。
換気扇・浴室乾燥機を上手に使う
換気扇や浴室乾燥機がある場合は、黒カビ対策に積極的に活用しましょう。
換気扇は「回す時間」が重要です。
短時間で止めてしまうより、就寝前まで回しっぱなしにするくらいのつもりで使うと、浴室内の湿気をしっかり外へ出せます。
浴室乾燥機がある場合は、洗濯物を干すときだけでなく、入浴後の乾燥モードとして使うのも有効です。
壁や床がしっかり乾くと、お風呂の黒カビが定着しにくい環境へ近づきます。
洗剤のすすぎ残しを減らして再付着を防ぐ
意外と見落とされがちなのが、「洗剤のすすぎ残し」です。
洗剤が壁や床に残ったままだと、そこへホコリや皮脂汚れが付着しやすくなり、結果として黒カビのエサが増えることにつながります。
浴室用洗剤やクエン酸スプレーを使ったあとは、シャワーでていねいに流しましょう。
とくに、ボトル置き場やシャンプーラックの下、蛇口まわりは洗剤がたまりやすいポイントです。
掃除の締めとして、「洗剤をきちんと流しきる」ことを意識すると、お風呂の黒カビや赤カビがつきにくい下地が整います。
お風呂の黒カビに関するよくある質問

最後に、お風呂の黒カビについてよくある質問をまとめました。
Q1.お風呂の黒カビは体に悪い?放置するとどうなる?
黒カビそのものが即座に重い病気を引き起こすわけではありませんが、胞子を吸い続ける環境は望ましくありません。
とくに、ぜんそく持ちの人やアレルギー体質の家族がいる場合、咳やくしゃみの誘因になるおそれがあります。
また、黒カビが増えているということは、浴室全体の衛生状態が悪化しているサインです。
見つけた時点で早めに落とし、再発しにくい環境づくりを意識しましょう。
Q2.泡ハイターなどの塩素系カビ取り剤は毎日使っても大丈夫?
軽いカビ予防として、気になる部分にときどき塩素系洗剤を使う程度であれば問題ありません。
ただし、毎日広範囲に使う習慣にすると、素材への負担が大きくなり、パッキンやコーキングの劣化が早まるおそれがあります。
黒カビ対策の基本は「湿気を残さない」「汚れをためない」ことです。
塩素系はあくまでポイント的に使い、日常的な予防は換気や水切り、週1回の掃除でカバーする考え方が現実的といえます。
Q3.パッキンやコーキングの黒カビは完全に真っ白まで戻る?
表面だけに付着した黒カビであれば、塩素系カビ取り剤と湿布でかなり薄くできます。
しかし、長期間放置して内部まで色素がしみ込んだケースでは、完全に真っ白に戻すことが難しい場合も。
何度か正しい手順でカビ取りをしても黒い影が残るようなら、
- コーキングの打ち替え
- パッキン部材そのものの交換
といった「部品の入れ替え」を検討する段階です。
見た目をどこまで求めるかで、掃除で粘るか・補修に進むかを決めていく流れになります。
Q4.黒カビにクエン酸は効く?
クエン酸は、水垢や赤カビ、ピンクのぬめり汚れに対して力を発揮するアイテムです。
一方、黒カビは根が深く、色素も強いため、クエン酸だけでは十分な漂白・殺菌効果を期待しにくい汚れといえます。
黒カビ対策のメインは塩素系カビ取り剤という前提で考えたほうがスムーズです。
クエン酸は「水垢・赤カビ用」「日常のケア用」、塩素系は「黒カビ用」と役割を分けると、どちらも無駄なく活かせます。
Q5.換気扇は24時間つけっぱなしでもいい?電気代が気になる
浴室の湿気対策という観点では、換気扇は長めに回したほうが黒カビ予防に有効です。
24時間つけっぱなしにしても問題ない設計の製品が多く、消費電力も比較的少なめに抑えられています。
電気代がどうしても気になる場合は、
- 入浴後〜就寝までしっかり回す
- 朝起きてからしばらく再度回す
といった形で、「湿気がこもりやすい時間帯」を中心に運転するとバランスを取りやすくなります。
いずれにせよ、入浴直後すぐ止めてしまう使い方だけは避けたほうが無難です。
Q6.どれくらいのペースで黒カビは再発する?
環境によって差がありますが、
- 換気が不十分
- テ水滴が残りっぱなし
- 皮脂や石けんカスがたまっている
こうした条件がそろう浴室では、数週間から1か月ほどで再び黒い点々が目立ち始めることがあります。
逆に、入浴後の換気・水切り・週1回の掃除を続けている家庭では、黒カビの発生頻度を大きく抑えられるのがポイントです。
「完全にゼロ」にするのは難しくても、「発見したときに小さいうちに落とす」習慣が身につくと、頑固な黒カビに発展しにくくなります。
Q7.“最強”のカビ取り剤が知りたい
市販のカビ取り剤の多くは、主成分に次亜塩素酸ナトリウムを使った塩素系洗剤です。
濃度や粘度に差はありますが、「どれか一つだけが極端に強い」というより、使い方と放置時間のほうが仕上がりを左右しやすい側面があります。
- 黒カビ向けの塩素系洗剤を選ぶ
- 黒カビ部分を乾かしてからスプレーする
- 湿布で密着させ、表示時間どおりに放置する
この三つを意識すると、多くの製品で十分な効果を引き出せます。
それでも落ちない場合は、洗剤そのものを変えるよりも、「素材の劣化」や「コーキングの交換時期」を疑ってみましょう。
まとめ|お風呂の黒カビは「正しい洗剤」と「予防習慣」でコントロールできる
この記事で押さえておきたいポイントを、あらためて整理します。
- 黒カビは「湿気・温度・汚れ」がそろうと一気に増える
- 黒カビには塩素系、赤カビや水垢にはクエン酸が向いている
- 落ちない黒カビは、素材の劣化やコーキングの限界が関係している場合がある
- 換気・水切り・週1回の掃除で発生頻度を抑えやすくなる
- 浴室全体や天井一面が黒ずんだときは、業者への相談も選択肢
ここからは、要点を三つの視点で振り返ります。
黒カビが増える条件を知っておく
お風呂の黒カビは、
- 湿度が高い
- 温度が25〜30℃前後
- 皮脂や石けんカスが残っている
この三つが重なったときに勢いを増します。
入浴後に換気が不十分で、水滴や汚れが壁や床に残ったままだと、黒カビが好む環境が続いてしまうので注意してください。
まずは、なぜ黒カビが発生しやすいのかを理解しておくことが、対策の出発点といえます。
落とすときは「洗剤選び」と「使い方」がカギ
黒カビには塩素系カビ取り剤が基本です。
一方、赤カビやピンク汚れ、水垢にはクエン酸や浴室用洗剤のほうが相性がよく、汚れの種類によって役割が分かれます。
黒カビを落とすときは、
- 黒カビ部分をできるだけ乾かす
- 塩素系カビ取り剤をスプレーする
- キッチンペーパーなどで湿布して密着させる
- 表示時間どおりに放置してから洗い流す
この流れを意識すると、同じ洗剤でも仕上がりが変わってきます。
そ
れでも黒い影が残るようであれば、パッキンやコーキング内部まで色素が入り込んでいる可能性があり、「掃除で真っ白に戻すことは難しい段階」と考えてよい状況です。
記事の監修者

島尻 博富士水道センター
水道工事や各種水回りの修理に従事して35年間。大規模修繕工事の計画~実施までの対応も可能。保有国家資格(給水装置工事主任技術者、一級管工事施工管理技士、一級建築配管技能士)。2023年1月25日放送 テレ朝スーパーJチャンネルで強烈寒波の報道に出演。












