
水道管破裂の原因と対処法|大寒波でテレビ取材を受けた水道業者が教える防災マニュアル
水のトラブル
更新日 : 2025年11月25日

富士水道センター編集部
突然、水道管が破裂してしまった……!
急なトラブルがあると驚いてしまいますよね。
冬が近づいてくると、水道管破裂の問い合わせが増えてきます。
「今、困っている」そんなあなたのために、この記事では、水道管が破裂したときにはどうすればいいのか、保険は使えるかなど、気になる情報をまとめました。
ぜひ参考にしてみてください。
目次
水道管が破裂したときの緊急対処法

水道管が破裂したときは、被害の拡大を止めることと二次被害を防ぐことが最優先です。
細かい原因や費用のことはひとまず後回しにして、これから紹介する手順に沿って動けば、被害を最小限に抑えやすくなります。
止水栓・元栓を閉めて水を止める
最初にやるべきことは、水を止めることです。
破裂したまま水が流れ続けると、床や壁にどんどん浸水してしまいますし、集合住宅では階下への漏水につながります。
水を止める方法は、主に次の二つです。
- 破裂箇所がはっきりしている場合:その設備の「止水栓」を閉める
- どこが破裂しているかわからない場合:家全体の「元栓」を閉める
止水栓は、トイレ・洗面台・キッチンなど、それぞれの設備の近くに付いている小さなバルブです。
一方、元栓は水道メーターの近くにあり、多くの戸建てでは屋外のメーターボックスの中、マンションでは玄関横のパイプスペース内にあります。
バルブの形状は、マイナスドライバーで回すタイプ・ハンドル式・内ネジ式などいくつかの種類があります。
時計回り(右回し)で閉まるものが一般的なので、ゆっくりと回し、水の流れが完全に止まったかを確認してください。
日頃から「止水栓と元栓がどこにあるか」「どうやって閉めるか」を家族で共有しておくと、いざというときも慌てずにすみます。
トイレの止水栓

キッチン・洗面台の止水栓

動画で止水栓の止め方をチェック!
漏れている箇所をタオルなどで応急処置する
水を止めたあとも、しばらくのあいだ管内の水が流れ出てきてしまうことがあります。
そんなときは、破裂した部分にタオルや古布をしっかり巻き付け、ビニールテープなどで固定しておきましょう。
ホームセンターで販売されている水漏れ補修テープが手元にあれば、それを使うとさらに効果的です。
小さな亀裂であれば、ぐるぐるときつめに巻き付けることで、一時的に水漏れを抑えられますし、内部への異物混入も防ぎやすくなります。
ただし、あくまで応急処置です。
補修した状態のまま長時間水を流し続けると、再び水が噴き出して大きな被害につながるおそれがあります。
水道管破裂で使える保険と賠償のルール

水道管が破裂すると、修理費だけでなく、床・壁・家具・家電の買い替え費用、階下への賠償など、思った以上にお金の負担がふくらみます。
そのとき頼りになるのが、火災保険や家財保険、個人賠償責任保険などの各種保険です。
ここでは保険について解説していきます。
※実際の補償内容は契約ごとに異なるため、最終的には加入中の保険会社・管理会社に確認してください。
火災保険で補償されるケース(建物の水濡れ・破損)
持ち家の場合、建物にかけている火災保険で「水濡れ」「破損・汚損」といった補償が付いていると、水道管破裂による一部の被害をカバーできる可能性も。
例をあげると、「ソニー損保」や「損保ジャパン」にはそのような特約が付帯されていることがあります。
たとえば、次のようなケースです。
- 破裂した水道管から漏れた水で、床や壁、天井が濡れてしまった
- 水が回り、クロスやフローリングの貼り替えが必要になった
このような「建物そのものの損害」は、火災保険の建物補償が対象になる場合があります。
一方で、経年劣化そのものや、明らかな放置が原因と判断された場合は、保険金が支払われないこともあるため注意が必要です。
家財保険で補償される範囲
同じ水道管破裂でも、被害にあうのは建物だけではありません。
床に置いてあった家具、家電、カーペット、衣類なども水浸しになることがあります。
こうした「持ち物の被害」に対しては、家財保険が使える可能性があります。
- ソファやラグがびしょ濡れになって使えなくなった
- テレビやゲーム機などの電化製品が水没し、故障した
といった場合、家財の再購入費用の一部を補償できる契約も少なくありません。
賃貸の場合は、室内の造り付け設備と、自分が持ち込んだ家具・家電のどこまでを「家財」とみなすかが契約によって変わります。
約款や保険会社の案内を確認しておくと安心です。
マンションの場合の費用負担(専有部と共用部)
マンションで水道管が破裂した場合、どこまでが自分の負担で、どこからが管理組合の負担かがわかりづらいポイントです。
一般的には、次のような線引きが行われることが多く見られます。
- 各戸の中の配管や設備(専有部の範囲):原則として、その部屋の所有者・居住者側の負担
- 廊下や階段、縦配管など建物全体で共有している部分(共用部): 管理組合の負担になることが多い
ただし、どこまでを共用部とみなすか、どのようなときに管理組合の保険を使うかは、マンションごとの管理規約で細かく決められています。
トラブルが起きたときは、自己判断せず、まず管理会社や管理組合に連絡を入れるとスムーズです。
階下に被害を与えてしまったときの賠償責任保険
水道管の破裂で怖いのは、自分の部屋だけでなく階下の住戸にも被害が広がってしまうことです。
天井から水が落ち続ければ、相手の床・壁・家具・家電にも大きな損害が出ます。
こうした「第三者への損害」については、次のような保険が役立つことがあります。
- 火災保険に付帯した個人賠償責任保険
- 自動車保険やクレジットカードにセットされている個人賠償特約
これらの賠償保険は、「日常生活で他人の物を壊してしまったとき」などに備えるものです。
水道管の破裂が明らかに故意ではなく、通常の注意を払っていたにもかかわらず起きた事故と認められれば、階下住戸への修理費や家財の損害の一部を補償できることがあります。
逆に、自分が階下からの漏水被害を受けた側であれば、相手方の保険から支払われるケースもあります。
いずれにせよ、感情的な話し合いだけで進めず、保険会社・管理会社も交えて話を整理することが大切です。
保険申請の流れと準備しておきたい書類
水道管破裂で保険を使う可能性がある場合、応急処置が終わったあと、なるべく早く保険会社へ連絡したほうがスムーズです。
一般的な流れは次のとおりです。
- 保険会社に連絡し、「水道管が破裂し、床や壁、家財が水濡れしている」旨を伝える
- 指示に従い、被害状況の写真や動画を撮影する
- 専門業者に現場を見てもらい、修理の見積書や被害状況を説明した報告書を作成してもらう
- 必要書類をそろえて保険会社に提出する
- 工事実施後は、領収書や完了報告書を保管しておく
このとき、すべてを自己判断で片付けてしまわないことが重要です。
きれいに掃除してから連絡すると、被害状況がわからなくなり、保険金の対象外になってしまう場合があります。
水を止めて安全を確保したあと、濡れたものを移動させる前に「全体」「アップ」「水が入り込んだ跡」など、いくつかの角度から撮影しておくと、後のやり取りがスムーズになります。
漏電・家電被害のリスクに注意する(ブレーカー確認)
床に大量の水が広がると、コンセントや延長コード、電源タップに水がかかってしまうケースがあります。
この状態を放置すると、漏電やショートにつながる危険な状況だといえます。
水が電気製品やコンセント付近まで達している場合は、ブレーカーを落としてから片付けを始めると安心です。
濡れた床の上でコンセントや電源タップを触らないようにして、感電のリスクを避けてください。
また、濡れてしまった家電は、自己判断で再び電源を入れず、メーカーや修理業者に相談しましょう。
焦ってコンセントを差し込むと、内部でショートが起こり、発火を招く可能性があります。
管理会社・大家・水道局・専門業者へ連絡する
応急的に水を止めて落ち着いたら、しかるべき相手に連絡する段階です。
どこに連絡すべきかは、持ち家か賃貸か、戸建てかマンションかによって変わってきます。
- 賃貸マンション・アパート:まず管理会社や大家へ連絡する
- 分譲マンション: 管理組合や管理会社へ相談する
- 戸建て住宅: 信頼できる水道修理業者、または地域の水道局に連絡する
「どの業者に頼めばよいかわからない」という場合、水道局に問い合わせると、水道局指定工事店の一覧を案内してもらえる自治体が多くあります。
応急処置で水が止まっていても、配管の交換や本格的な修理は専門資格を持つ業者しか行えません。
自分で配管を切ったり、継ぎ足したりする作業は法律上も制限されているため、無理をせずプロに任せることが大切です。
水道管が破裂する原因

水道管が破裂する背景には、いくつかの典型的なパターンがあります。
一見すると突然のトラブルに思えても、じつは少しずつ負担が蓄積していたケースが少なくありません。
代表的な原因を知っておくと、予防や早期発見にもつながります。
凍結
もっとも多い原因のひとつが、冬場の凍結です。
気温が一気に下がると、水道管の中の水が凍り、体積が膨張します。
その膨らむ力に管が耐えきれず、ひび割れや破裂が起こるという仕組みです。
とくに注意したいのは、次のような環境になります。
- 北風が直接あたる屋外配管
- 断熱材の巻き付けが甘い場所
- 日当たりの悪い北側のベランダや外廊下
「夜は出しっぱなしにしておいたホースが凍っていた」というような状況では、水道管の中でも同じことが起きている可能性があります。
経年劣化(継手の腐食・ピンホール)
水道管は金属や樹脂でできており、長年使い続けるうちに経年劣化が進みます。
とくに金属配管は、内部から少しずつ錆びていき、継手まわりに負担がかかりやすい傾向です。
最初は目に見えない「ピンホール」と呼ばれる小さな穴からスタートし、やがて亀裂が広がって破裂に至ります。
築年数が古い建物や、過去に一度も配管更新をしていない住宅では、このパターンが多く見られます。
地震や地盤のゆるみ
地震の揺れや、地盤沈下・地盤のゆるみも、水道管に大きな負担をかけます。
建物や地面が少し動くだけでも、地中や床下を通る配管には曲げやねじれの力が加わるためです。
最初の揺れでは目立った異常がなくても、後からじわじわとひびが進行するケースもあります。
地震のあとに「水の出が急に悪くなった」「メーターだけ回っている」といった症状が出た場合、配管の破損を疑ったほうが安心でしょう。
外部からの衝撃(工事・DIY)
リフォーム工事やDIY作業も、水道管破裂の引き金になります。
壁や床にビスを打ち込んだとき、すぐ裏側に配管が通っていて穴を開けてしまう、といったトラブルは珍しくありません。
とくに注意したいのは、次のような作業です。
- 洗面台やキッチンまわりの収納に棚板を増設するとき
- 室内の壁にフックや収納レールを取り付けるとき
- 外壁やベランダの手すり付近に穴あけをするとき
「少し水がにじむだけだから」と放置すると、後から破裂レベルの水漏れに発展することもあります。
水圧の異常上昇
水道管の中を流れる水には、常に一定の水圧がかかっています。
この水圧が何らかの理由で急激に高まると、弱っていた部分が一気に破裂してしまうことがあります。
たとえば、次のような状況が引き金になるケースです。
- 急な断水からの復旧直後
- バルブの開閉を一気に行ったとき
- ポンプ設備の不具合で水圧が安定しないとき
もともと老朽化している配管では、通常より高い水圧に耐えられず、継手まわりから破損が広がるおそれがあります。
水道管破裂の修理方法と費用相場
水道管が破裂したときの修理内容は、破損の程度と配管の位置によって大きく変わります。
同じ「水道管の破裂」というトラブルでも、数万円で収まるケースから、床や壁の復旧も含めて十数万円以上かかるケースまで幅があると考えておきましょう。
ここでは、破損の程度ごとに修理方法と費用の目安を整理していきます。
軽度の破損:パッキン・継手まわりの補修
水道管の接続部分(継手)や、蛇口まわりの部品が劣化して水漏れしているだけなら、部品交換だけで済むケースがあります。
この段階であれば、水道管本体ではなく、パッキンや継手の交換で対処する内容が中心です。
- パッキン交換
- 継手の締め直し・一部交換
- 露出配管のごく短い区間のみ交換
作業がしやすい位置にあり、床や壁を壊さずに済む場合は、おおよそ2〜3万円前後を目安にするとイメージしやすいでしょう。
中度の破損:露出配管の一部交換
水道管そのものが破裂しているものの、床下や壁の中ではなく、露出している部分であれば、一部を切り取り、新しい配管に交換する工事になります。
- 屋外の露出配管が凍結して割れた
- 洗面台やキッチン下で配管が折れてしまった
- ベランダの給水管が破裂した
このようなケースでは、破裂箇所の状況にもよりますが、3〜5万円ほどの費用帯で収まることが多くなります。
交換範囲が長くなったり、複数箇所に破損が見つかったりすると、その分だけ材料費と作業時間が増えていきます。
重度の破損:床下・壁内の配管交換
床下や壁の中に埋まっている水道管が破裂した場合は、配管にたどり着くための解体・復旧が必要になります。
この工程に手間がかかるため、同じ長さの配管交換であっても、露出配管より高くつくと考えたほうがよいでしょう。
代表的なケースとしては、次のようなものがあります。
- 床下の配管が凍結して破裂し、フローリング一面が水浸しになった
- 壁の中の給水管が破裂し、クロスにシミが広がっている
- 地中の配管が破損し、掘削が必要になった
こうした「隠れた配管」の修理は、部分的な工事でも3〜5万円前後が一つの目安とされています。
さらに、配管全体の劣化が激しく、広い範囲の引き直しが必要になると、20〜100万円前後まで費用がふくらむケースもあります。
マンションと戸建てで費用が変わる理由
同じ「水道管破裂」でも、マンションか戸建てかによって費用のかかり方に違いが出ることがあります。
| 住まいの種類 | 特徴・注意点 |
|---|---|
| 戸建て | ・敷地内の配管や屋外配管をまとめて交換する判断になりやすい ・地中の配管まで含めて工事をする場合、距離が長くなりやすい |
| マンション | ・共用部の配管は管理組合の負担になるケースが多い ・専有部(各戸の中)の配管は基本的に所有者負担 ・配管ルートが複雑で、調査や修繕に手間がかかることもある |
屋内の専有部分だけを修理する場合は、戸建て・マンションともに3〜5万円程度の範囲に収まることが多くみられます。
しかし、共用配管の不具合や長い区間の引き直しが必要になると、十数万円規模の工事になる場合もあるので留意しておきましょう。
緊急対応(深夜・早朝)の追加料金
水道管の破裂は、夜間や早朝など時間を選ばず起こるトラブルです。
深夜や休日に修理を依頼した場合、通常の工事費に加えて「割増料金」が上乗せされることがあります。
よくある追加料金の例としては、次のようなパターンが挙げられます。
- 夜間・早朝料金:数千円〜1万円前後
- 休日料金:通常料金の2〜3割増し
- 緊急出動費:基本料金とは別に定額で加算
見積もり時に「基本料金」「作業料金」「部品代」「割増料金」がどのように計算されるかを確認しておくと、想定外の請求を避けやすくなります。
電話で問い合わせる際に、概算の合計額を聞いておくと安心です。
水道管破裂の修理費用早見表
ここまでの内容をざっくり把握できるように、水道管が破裂したときの修理費用の目安を表にまとめます。
あくまで一般的な相場のため、実際の金額は建物の構造や破損状況によって変わる点に注意してください。
| 状況・工事内容 | 目安の費用相場 | 補足ポイント |
|---|---|---|
| パッキン・継手など軽微な補修 | 約2〜3万円 | 露出部分で作業しやすい場合 |
| 露出配管の一部交換 | 約2〜5万円 | 破裂箇所が少なく範囲が狭い場合 |
| 床下・壁内など隠れた配管の部分交換 | 約3〜5万円 | 解体・復旧の手間がかかる |
| 屋内配管の長距離交換 | 数十万円規模 | 全体の劣化が進んでいるケース |
| 敷地内配管の全面引き直し | 約20〜100万円前後 | 配管距離や構造によって大きく変動 |
| 夜間・早朝など緊急出動の割増料金 | 〜1万円前後 | 時間帯や業者の料金体系によって変動 |
見積もりを取るときは、「どの範囲まで工事するか」「復旧工事も含まれるか」を確認すると、後から追加費用が膨らむ事態を防ぎやすくなります。
なお、富士水道センターでは出張費や早朝・夜の割増料金はありませんのでご安心ください。
水道管が破裂したときのよくあるトラブル

水道管の破裂は、水漏れそのものだけでなく、周囲との関係やお金の問題に発展しやすいトラブルです。
ここでは、とくに相談が多い典型的なケースを整理しておきます。
階下への水漏れトラブル
マンションやアパートでいちばん多いのが、階下への漏水です。
天井からポタポタと水が落ちてくる状況は、相手にとってもかなりのストレスになります。
上の階で水道管が破裂すると、次のような被害が起こりがちです。
- 天井・壁紙にシミができる
- 照明器具から水が滴る
- 床や家具、家電が水浸しになる
場合によっては、相手が加入している保険や、こちらの個人賠償保険を使いながら、修理費や家財の補償をどうするか話し合う流れになります。
感情的なやり取りに発展しやすい場面なので、できるだけ早く状況を説明し、管理会社や保険会社も交えて整理していく姿勢が大切です。
床・壁・天井の腐食やカビ
水道管が破裂すると、目に見える「水たまり」だけ片付けて安心してしまいがちです。
しかし、フローリングの隙間や壁の内部に水が入り込むと、あとから腐食やカビが進行します。
よくあるパターンは次のとおりです。
- 数日〜数週間後に、床がブカブカと浮いてくる
- クロスが波打ったり、黒いシミが広がったりする
- カビ臭さが抜けない
表面だけ拭き取っても、内部に水分が残っていると、木材の劣化やカビの発生源になりやすい状態です。
水漏れの規模が大きかった場合や、床下・壁内に水が回った可能性がある場合は、専門業者に状況を見てもらい、必要に応じて乾燥・張り替えまで検討したほうが安心できます。
水道代の高額請求
水道管の破裂に気づくタイミングが遅れると、水道メーターが回り続けることになります。
「請求書を見て初めて異常に気づいた」という相談も少なくありません。
とくに注意したいのは、次のようなケースです。
- 屋外や地中の配管が破損し、見えないところで水が流れ続けていた
- 長期間家を空けているあいだに破裂し、誰も気づかなかった
自治体によっては、漏水減免制度が用意されている地域もあります。
水道局に連絡し、指定の申請書と修理見積書・領収書などを提出することで、一部の料金が軽減される場合があるのでチェックしてみてください。
ただし、減免の条件や上限額は自治体ごとに異なるため、早めに相談しておくと安心です。
管理会社・大家との認識のズレ
賃貸物件や分譲マンションでは、「どこまでが自分の責任で、どこからが建物側の責任か」という線引きがしばしば問題になります。
たとえば、次のようなすれ違いが起こりがちです。
- 「経年劣化だから建物側で負担してほしい」と居住者が考えている
- 「専有部分の設備なので、基本は入居者負担」と管理側が説明する
また、工事の手配を誰が行うか、どの業者に頼むかでも意見が分かれることがあります。
トラブルを避けるためには、
- まず管理会社・大家に現状を報告する
- 勝手に大掛かりな工事を決める前に、了承を得る
- 保険の有無や、負担のルールを確認してから動く
といった手順を踏むことが重要です。
連絡の履歴を残しておくために、電話だけでなくメールやチャットで要点をまとめておくと、のちの誤解を防ぎやすくなります。
破裂しやすい場所と症状チェックリスト

水道管の破裂は、家のどこででも起こるわけではありません。
構造や環境の影響を受けやすい「狙われやすい場所」がいくつかあります。
その特徴を知っておくと、早めの点検や予防につながります。
破裂しやすい場所の代表例
特に破裂しやすい場所を紹介します。
自宅で異常がないかチェックしてみてください。
水道メーターまわり・屋外の露出配管
屋外にある配管は、冷気や直射日光、風雨の影響を受けやすい部分です。
とくに冬場、メーターボックス内や地表近くの配管は凍結しやすく、ひび割れの原因になりやすい位置といえます。
- メーターまわりに水たまりができている
- 地面が常に湿っている
- ボックスの中で「シュー」という音が聞こえる
といった症状があれば、破損や漏水を疑ったほうが安心です。
洗面台・キッチン下の給水管
洗面台やシンク下の配管は、収納スペースとしても使われやすい場所です。
洗剤ボトルやゴミ箱を出し入れする際に、配管へ物が当たり続けると、少しずつ負担が蓄積します。
- 扉を開けると湿気っぽいにおいがする
- 配管のまわりに水滴がついている
- 底板がふわふわしている
このようなサインが見えたときは、放置せず詳しく確認したほうがよい状態です。
ユニットバス内・追いだき配管まわり
浴室まわりの配管は、高温・多湿な環境にさらされています。
ユニットバスの裏側や、追いだき機能付き給湯器の配管まわりは、目視しづらいぶん、破損に気づくまで時間がかかりがちです。
- 浴室の壁際から水がにじんでくる
- 浴槽のエプロン(側面カバー)付近で水音がする
- 入浴していないのに浴槽の水位が少しずつ下がる
こうした変化が続く場合、見えない場所での漏水が進行している可能性があります。
ベランダ・テラスの散水栓・給水管
ベランダの蛇口や散水栓まわりも、凍結や経年劣化の影響を受けやすいポイントです。
冬場にホース内の水が凍ると、接続部や配管に負担がかかります。
- ベランダの床に覚えのない水たまりができている
- 蛇口を閉めても、根元からポタポタ水が落ちる
- といった症状がみられたら、早めにチェックしたほうが安心です。
症状チェックリスト
「もしかしてどこかで漏れているかも?」と感じたときは、次のような症状が出ていないか確認してみてください。
| チェック項目 | 症状の例 | 要注意ポイント |
|---|---|---|
| 家のどこかで水音がする | 蛇口や給湯器を止めても「シュー」「チョロチョロ」という音が続く | 見えない場所の漏水が進行している可能性 |
| 床・壁・天井にシミやふくらみがある | クロスが波打つ、フローリングが部分的に盛り上がる | 床下や壁内に水が回っているサイン |
| 水道メーターの動きがおかしい | 家中の水を止めてもメーターだけ回り続ける | 地中や床下で漏水している疑いが強い状態 |
| 特定の場所だけ湿気・カビ臭さが強い | 洗面台下やクローゼット内がいつも湿っている | 小さな漏れが長期間続いている可能性 |
| 冬場に特定の配管だけ結露や霜がつきやすい | 屋外配管やメーターまわりの結露がひどい | 低温の影響を強く受けており、凍結リスクが高い |
ひとつでも当てはまる項目があれば、「そのうち見てもらおう」と先送りにせず、早めに専門業者へ相談したほうが安全です。
軽い水漏れの段階で対処できれば、破裂に至る前に配管を交換する選択肢もとれます。
水道管の破裂を防ぐ方法(再発防止)

一度水道管が破裂すると、「もう二度とあんな思いはしたくない」と感じる人が多いはずです。
原因の多くは、凍結・経年劣化・環境要因といった、前もって対策できるものばかり。
ここでは、今日から実践しやすい予防策をまとめます。
凍結を防ぐポイント
寒冷地だけでなく、都市部でも急な冷え込みで凍結することがあります。
とくに屋外・北側・風が当たる場所の配管は重点的に守ったほうが安心です。
- 露出配管に保温材やタオルを巻く
- メーターボックスの中に発泡スチロールやタオルを詰めて保温する
- 強い冷え込みが予想される夜は、屋外の蛇口をしっかり閉めてホース内の水を抜く
長期不在にする場合、元栓を閉めておくと凍結リスクを下げられます。
老朽化した配管の交換タイミングを意識する
築年数が古い建物では、見えないところで配管の劣化が進んでいる場合があります。
次のようなサインが出ていたら、点検や更新の検討段階と考えてよいでしょう。
- 赤水や濁った水が出ることがある
- 同じ場所で水漏れを何度も繰り返している
- 給水管が古い金属管のまま使われている
リフォームや給湯器交換のタイミングで、一緒に配管の状態を確認してもらうと効率的です。
部分的な補修でしのぐより、ある程度まとめて更新したほうが、結果的にトラブルを減らせるケースもあります。
屋外配管・ベランダの保護
屋外の配管は、直射日光・雨風・温度差の影響を強く受けます。
保温材が破れていたり、固定金具がぐらついていたりすると、その部分から傷みやすくなります。
- ひび割れた保温材は新しいものに巻き替える
- 配管を固定している金具が緩んでいないかチェックする
- ベランダで重い物を配管の上に置かない
散水ホースをつなぎっぱなしにすると、継手に負担がかかります。
使わないときはホースを外し、蛇口をしっかり閉めておくほうが安全です。
長期間家を空けるときの注意点
旅行や出張、帰省などで家を数日以上空ける場合は、事前のひと手間でリスクをぐっと下げられます。
- 元栓を閉めておく
- ベランダや屋外の蛇口まわりを片付けておく
- 室内の床に直置きしている家電や家具をできる範囲で上げておく
もし不在中に配管トラブルが起きても、元栓が閉じていれば被害はかなり抑えられます。
マンションの場合、管理会社に長期不在の予定を知らせておくと、異常に気づきやすくなることもあります。
定期的な点検をプロに依頼する
見える部分だけでは、配管の状態を正確に判断できません。
築年数がある程度経っている建物では、数年に一度の専門点検を検討してもよいでしょう。
- 水道メーターの動きと実際の使用量の差をチェック
- 床下や天井裏の配管にサビや滲みがないか確認
- 凍結や経年劣化が進みやすい箇所をプロの目で診断
小さなにじみやピンホールの段階で見つけられれば、破裂まで進む前に対処できます。
「最近なんとなく気になる症状がある」と感じたら、早めに相談しておくと安心です。
水道管が破裂したときの専門業者の選び方とは?悪質業者に注意

水道管が破裂したときは、焦りから「とにかく来てくれる業者」で選んでしまいがちです。
しかし、料金トラブルや不要な工事を避けるために、最低限おさえておきたいポイントがあります。
水道局指定工事店かどうか確認する
まずチェックしたいのが、水道局指定工事店かどうかという点です。
水道局から指定を受けている業者は、給水装置工事を行うための基準をクリアしていると考えられます。
- 自治体の水道局ホームページに「指定工事店一覧」が載っているケースが多い
- 電話で問い合わせると、近くの指定工事店を教えてもらえることもある
「指定工事店だから絶対に安心」とまでは言い切れませんが、少なくとも無許可業者よりは信頼に近づきます。
見積もりの説明がわかりやすいか
見積もりを確認するときは、内訳が明確かどうかに注目してください。
- 基本料金
- 作業料金
- 部品代
- 出張費・時間帯による割増料金
こういった項目が分かれた状態で説明されていると、判断しやすくなります。
「全部込みで◯万円です」と総額だけを告げられ、内訳の説明を避ける業者は、慎重に見たほうが安心です。
「この金額はどの作業分ですか?」と質問したとき、丁寧に答えてくれるかどうかも、業者選びの重要な判断材料になります。
相場から極端に外れていないか
水道管破裂の修理は、状況によって費用が大きく変わります。
そのうえで、相場から極端に外れていないかは一つの目安です。
たとえば、軽微な補修であれば数万円程度が一般的な帯です。
調査もろくにせず、いきなり二桁万円の工事を迫るようであれば、いったんその場で契約せず、ほかの業者にも相談したほうがよいでしょう。
「今決めてくれたら安くする」「今日中ならこの金額」というように、即決を強く求めてくるケースも注意が必要です。
緊急時でも、「一度考えたいので、見積書だけください」と伝える権利があります。
出張費・深夜料金の条件を事前に確認する
水道管が破裂したタイミングが夜間・早朝だと、割増料金の条件がポイントになります。
電話で依頼するときに、次のような点を確認しておくと安心です。
- 何時から何時までが「夜間料金」に含まれるか
- 深夜・早朝の割増は、どのくらい上乗せされるか
- 出張費や見積もりだけでも費用がかかるか
これらの条件について教えてくれない場合は注意しましょう。
口コミ・実績も参考にする
時間に余裕があれば、口コミや実績もチェックしておくと判断材料が増えます。
- Googleマップや口コミサイトの評価
- 自社サイトに掲載されている施工事例
- 料金や対応について具体的に書かれたレビュー
星の数だけでなく、「どんな対応だったのか」という中身も見ていくと、雰囲気がつかめます。
水道管破裂のようなトラブルは、技術だけでなくコミュニケーションも大切な場面です。
水道管破裂でよくある質問(FAQ)

最後に、水道管の破裂に関してよく寄せられる疑問をQ&A形式でまとめます。
緊急時に気になりやすいポイントを中心にピックアップしました。
Q1. 水道管が破裂したら、水道局が無料で直してくれる?
基本的には、建物の敷地内や室内の水道管は「所有者の管理範囲」です。
そのため、水道局ではなく、所有者側で専門業者に依頼して修理するケースが一般的です。
ただし、道路の下にある本管側の問題であれば、水道局側で対応することもあります。
どちらに該当するか分からない場合、まず水道局に状況を相談してみると整理しやすくなります。
Q2. 夜中に水道管が破裂したとき、朝まで待っても大丈夫?
元栓を確実に閉めて水が完全に止まっているなら、緊急性は少し下がります。
ただ、床下や壁内に水がたまっている可能性もあるため、翌朝には専門業者に現場を見てもらったほうが安心です。
水が止まらない状態であれば、夜間でも対応してくれる業者を探したほうが安全です。
水道管破裂は時間が経つほど被害が広がりやすいトラブルだといえます。
Q3. 賃貸マンションで水道管が破裂したら、修理費は誰が払う?
原則として、配管や設備は大家・管理会社側の資産にあたる部分です。
ただし、専有部のトラブルとして入居者側に負担を求めるケースもあり、細かい取り扱いは物件ごとに違います。
まずは管理会社や大家に連絡し、「どこが破裂しているのか」「どの保険を使えそうか」を一緒に確認してもらう流れが現実的です。
自己判断で業者を手配する前に、一度相談しておくと後々のトラブルを減らせます。
Q4. 水道管破裂の応急処置はどこまで自分でやっていい?
自分で行うのは、元栓を閉める・タオルや補修テープで一時的に漏れを抑える範囲にとどめるのが安全です。
配管を切ったり、新しい管を継ぎ足したりする作業は、資格や届け出が必要になるケースもあります。
また、誤った処置で被害が拡大すると、保険や賠償の面でも話が複雑になりやすくなります。
応急処置が済んだら、できるだけ早く専門業者に状態を見てもらうほうが安心です。
Q5. 水道管が破裂しやすい季節や時間帯はある?
とくに注意したいのは、冬場の早朝や深夜帯です。
外気温がぐっと下がり、屋外配管や水道メーターまわりが凍結しやすい時間帯と重なります。
また、長期休暇中など、家を空けているあいだに破裂が起こると、発見が遅れて被害が拡大しがちです。
冷え込みが予想される日や、しばらく留守にする予定があるときは、事前の予防策を意識したほうがよいでしょう。
まとめ|水道管が破裂したときは「まず止水・次に連絡」
水道管の破裂は、誰にとってもショックの大きいトラブルです。
ただ、やるべきことを順番に整理しておけば、被害をぐっと抑えられます。
- まずは元栓・止水栓を閉めて、水の流れを止める
- 漏電や家電の被害に注意しながら、応急処置を行う
- 管理会社や水道局指定工事店など、相談先に連絡する
- 火災保険・家財保険・個人賠償責任保険の対象になるか確認する
- 再発防止のために、凍結対策や配管点検も検討する
「水道管 破裂」という事態は、突然やってきます。
日頃から元栓の場所や連絡先、加入している保険の内容を家族で共有しておくと、いざというときの不安がぐっと軽くなります。
記事の監修者
島尻 博富士水道センター
水道工事や各種水回りの修理に従事して35年間。大規模修繕工事の計画~実施までの対応も可能。保有国家資格(給水装置工事主任技術者、一級管工事施工管理技士、一級建築配管技能士)。2023年1月25日放送 テレ朝スーパーJチャンネルで強烈寒波の報道に出演。













