
トイレ掃除にクエン酸は効果ある?重曹・セスキ・ウタマロとの違いや使い分けをプロが解説!
トイレ
更新日 : 2025年11月11日

富士水道センター編集部
トイレの黄ばみやにおいを落とすには「クエン酸がいい」と聞いたことがあるかもしれません。
実際に、クエン酸は尿石や水垢といったアルカリ性の汚れを分解する力を持ち、家庭用の酸性洗剤として人気があります。
自然由来の成分で肌や環境にやさしく、毎日の掃除にも取り入れやすいのが魅力です。
ただし、万能というわけではありません。
ウタマロクリーナーや重曹、セスキ炭酸ソーダとは性質がまったく異なり、代用は不可。
使い方を誤ると、素材を傷めたり、汚れが落ちにくくなってしまうこともあります。
この記事では、トイレ掃除におけるクエン酸の正しい使い方や、スプレーの作り方、床・便器・壁など部位別の活用法をわかりやすく解説。
さらに、重曹・ウタマロ・セスキとの違いや、プロが教える安全で効率的な掃除ルーティンまで、富士水道センターが専門家の視点でお届けします。
目次
クエン酸でトイレ掃除できる?効果と特徴

「クエン酸ってそもそもなに?」「重曹とは違うの?」など、疑問がある方もいるでしょう。
はじめに、クエン酸の基礎知識をまとめていきます。
参考にしてみてください。
クエン酸が落とせる汚れとは?尿石・水垢・黄ばみに強い理由

トイレの「白いこびりつき」や「黄ばみ」は、尿に含まれるカルシウムやミネラルが固まってできたアルカリ性汚れです。
中性洗剤では落ちにくく、放置すると層が重なってブラシでも取れなくなります。
こうした汚れに効果的なのが、酸性のクエン酸です。
アルカリ性汚れを中和して溶かす化学作用があり、スプレーやパック掃除で尿石や水垢をゆるめて落とします。
主な特長は次のとおりです。
- 酸の力で中和・分解できる:アルカリ性の尿石・水垢をしっかり溶かす
- 消臭作用がある:アンモニア臭などのアルカリ臭を酸で中和する
- 素材にやさしい:酸性洗剤の中でも刺激が少なく、陶器や樹脂にも使いやすい
- 自然由来で安全:環境にも肌にもやさしいナチュラル成分
これらの特徴により、クエン酸は「しっかり汚れを落とせて安全」という両立を実現しています。
特に、尿石とアンモニア臭を同時に解消できる点が、トイレ掃除で選ばれる大きな理由です。
重曹・セスキ炭酸ソーダとの違いと使い分け

「クエン酸」「重曹」「セスキ炭酸ソーダ」は、どれも掃除によく使われるナチュラル洗剤ですが、性質がまったく異なります。
| 洗剤名 | 性質 | 得意な汚れ | 向いている場所 |
|---|---|---|---|
| クエン酸 | 酸性 | 尿石、水垢、アンモニア臭 | 便器内、床、タンク周り |
| 重曹 | 弱アルカリ性 | 黒ずみ、ぬめり、油汚れ | フチ裏、床の黒ずみ |
| セスキ炭酸ソーダ | 弱アルカリ性(やや強) | 手垢、皮脂、油汚れ | 壁、ドア、スイッチ周り |
このように、クエン酸はアルカリ性汚れに強い酸性洗剤、重曹やセスキは酸性汚れに強いアルカリ性洗剤です。
混ぜると中和して効果が弱まるため、併用する場合は順番を守ることが大切。
たとえば、重曹で黒ずみを落としたあと、クエン酸スプレーで仕上げると、除菌・消臭の効果が長持ちします。
クエン酸スプレーの作り方と使い方(ダイソーでも簡単!)

クエン酸スプレーは、特別な道具がなくても自宅で簡単に作ることができます。
便器の尿石や床のにおいなど、気になる部分にサッと使えるので、トイレ掃除の時短アイテムとして非常に便利です。
基本の材料は、どれもダイソーやセリアなどの100円ショップで揃います。
- 水(またはぬるま湯)200ml
- クエン酸粉末 小さじ1(約5g)
- スプレーボトル 1本(耐酸性タイプを使用)
上記をボトルに入れてよく振るだけで完成です。
水の代わりに40℃前後のぬるま湯を使うと、クエン酸がより早く溶け、汚れへの浸透力も上がります。
クエン酸スプレーの効果的な使い方
使用時のポイントは以下のとおりです。
- 原液を使わず、必ず1〜2%程度の濃度に薄める
- 保存期間は1〜2週間以内が目安(冷暗所で保管)
- 金属部分には直接スプレーせず、布やペーパーに吹きかけてから使用する
- ゴムパッキンや便座ヒーター部分には使用を避ける
スプレーを長く保存すると、雑菌が繁殖したり、詰まりの原因になることがあります。
そのため、少量ずつ作って使い切るのがベストです。
また、クエン酸は酸性のため、アルカリ性洗剤(重曹やセスキ)とは混ぜないよう注意しましょう。
混ぜると中和して効果がなくなるだけでなく、ボトル内で泡が発生して破損する恐れがあります。
トイレ掃除の使い方・部位別の手順
クエン酸スプレーを上手に使うポイントは、「吹きかけてすぐこする」のではなく、汚れを浮かせてから落とすことです。
とくに尿石や水垢は時間をかけて固まっているため、クエン酸の酸の力をしっかり反応させることが大切になります。
基本の手順は以下のとおりです。
- クエン酸スプレーを汚れに吹きかける
- トイレットペーパーを重ねて密着させる(パック)
- 10〜15分ほど放置して汚れを浮かせる
- ブラシまたは柔らかいスポンジでこする
- 最後に水で流す、または水拭き・乾拭きで仕上げる
この「スプレー → パック → 放置 → こする → 拭く」の流れが基本。
洗剤の力だけに頼らず、浸透時間をとることがトイレ掃除の成功のカギです。
以下は、掃除する部位ごとの使い方をまとめた一覧です。
| 掃除箇所 | 手順・ポイント | 注意点 |
|---|---|---|
| 便器の中(尿石・水垢) | クエン酸スプレーをかけ、トイレットペーパーでパック。15分放置してブラシでこする。 | 金属ブラシは使わない。陶器を傷つけないように。 |
| 便座・フタ | 薄めたクエン酸液を布に含ませて拭く。 | 濃度が高いと変色の原因に。必ず水拭きで仕上げる。 |
| 床・壁の黄ばみや臭い | スプレーを吹きかけ、布で拭き上げ。においが強い箇所は軽くパックも有効。 | 木製や金属部分には直接スプレーせず、布を使う。 |
| タンクまわり | スプレーをかけて布で拭く。手垢・水垢を落としたら乾拭き。 | パッキンや金具は酸に弱いため、長時間放置しない。 |
このように、トイレの素材や汚れの種類に合わせて使い方を変えることで、クエン酸の洗浄力を最大限に発揮できるのがポイント。
特に、放置時間と濃度のバランスを意識するだけで、掃除の仕上がりが大きく変わります。
クエン酸スプレーを毎日使うときの注意点
クエン酸は安全で使いやすいとはいえ、毎日使う場合には注意が必要です。
酸性の成分が素材に少しずつ影響を与えることがあり、長期間続けると変色や腐食の原因になることがあります。
とくに、便座の金具やパッキン、床のコーティング部分などはデリケートです。
以下のポイントをおさえておきましょう。
- 金属部分には直接スプレーしない:サビや変色を防ぐため、布に含ませて拭き取る方法が安全。
- 濃度を薄める:通常よりも半分程度の濃度(クエン酸小さじ½+水200ml)が目安。
- 必ず水拭き・乾拭きで仕上げる:酸が残ると素材を痛める原因になる。
- 換気を忘れずに行う:湿気がこもると酸のにおいが残りやすい。
- 1~2週間に一度は「掃除休み日」をつくる:連続使用を避けることで素材の負担を軽減。
これらの対策を心がけるだけで、クエン酸の効果を保ちながら安全に使い続けることができます。
また、金属やプラスチックに白い粉や曇りが残った場合は、クエン酸の濃度が濃すぎるサインです。
水拭きや重曹水で中和してから乾拭きすれば、元の状態に戻すことができます。
毎日の掃除は「強さよりも習慣」が大切です。
強い濃度のスプレーを使うよりも、薄めてこまめに拭くほうが長期的に清潔を保てるため、軽く・短く・毎日続けるを意識してみてください。
トイレの部位別|クエン酸の使い方まとめ

トイレ掃除でクエン酸の効果を最大限に発揮するには、掃除する場所ごとに使い方を変えることが大切です。
便器の中・便座・床・壁など、同じトイレでも汚れの種類や素材が異なるため、スプレーの濃度や放置時間を調整する必要があります。
この章では、部位ごとに最適なクエン酸の使い方を詳しくご紹介。
「どこに」「どのくらい」「どう使えばいいか」を理解しておくと、毎日の掃除がぐっと効率的になります。
便器内の尿石・水垢を落とす方法
便器の内側にこびりついた白い汚れや縁の黄ばみは、クエン酸の得意分野です。
尿に含まれるカルシウムやミネラルが時間をかけて固まった「尿石」はアルカリ性の汚れであり、酸性のクエン酸が最も効果を発揮します。
中性洗剤やブラシだけでは落ちにくい頑固な汚れも、クエン酸を使えば無理なく分解できます。
以下のように、クエン酸でパックをしてみてください。
- クエン酸スプレーを汚れにたっぷり吹きかける
- トイレットペーパーを貼りつけてパック状態にする
- 10〜15分ほど放置して汚れを浮かせる
- 柔らかいブラシまたはスポンジでこすり、水を流す
- 仕上げに乾拭きまたは重曹水で中和
この方法は、尿石や白い輪状の汚れに特に効果的です。
放置時間を長くとることで、酸がしっかりと結晶の内部まで浸透し、擦らずに落とせるようになります。
また、頑固な汚れには、40℃前後のぬるま湯でクエン酸を溶かした“ホットクエン酸を使ってみてください。
注意点は、便器の金属パーツ(留め具など)にクエン酸が付着した場合はすぐに拭き取ること。
酸が金属を腐食させることがあるため、使用後は必ず水拭き→乾拭きで仕上げてください。
便座・フタ・レバーの掃除方法
便座やフタ、レバーまわりは、手や衣服が直接触れる部分。
見た目以上に皮脂や手垢がつきやすく、においの原因になる場所です。
ただし、便座やフタ、レバーまわりは便器の内側とは異なり素材が樹脂や金属のため、濃いクエン酸液は使用NG。
刺激が強すぎると変色やコーティングの劣化につながります。
以下のようにやさしく吹き落としましょう。
- クエン酸スプレーを薄めて(小さじ2分の1+水200ml)作る
- 柔らかい布にスプレーを吹きつけ、全体をやさしく拭く
- 5分ほど置いて汚れを浮かせたあと、水拭き・乾拭きで仕上げる
- 汚れが落ちにくい場合は、ウタマロクリーナーなど中性洗剤を併用する
この方法なら、皮脂や手垢を落としつつも素材を傷めません。
便座のヒンジや金属部品には直接スプレーをかけず、布で拭くのがポイントです。
また、レバー部分や温水洗浄便座の操作パネルには電子部品が使われているため、スプレーを直接吹きかけるのは避けること。
乾いた布にクエン酸液を少し含ませ、やさしく拭き取るのが安全です。
毎日の手入れとしては、濃度を半分に薄めたクエン酸液で軽く拭き取るだけでも十分効果があります。
においや黒ずみの発生を防ぐだけでなく、清潔感のあるツヤが長持ちします。
床・壁の黄ばみ・におい対策
トイレの床や壁は、見た目がきれいでも尿の飛びはねや湿気によって、知らず知らずのうちに黄ばみやアンモニア臭が染みついている場所です。
とくに便器まわりの床や壁下部は、毎日少しずつ汚れが蓄積し、通常の拭き掃除では落としきれません。
こうした汚れやにおいには、アルカリ性のアンモニア成分を中和できるクエン酸が効果的です。
- 汚れが気になる部分は、キッチンペーパーを重ねて5〜10分パック
- 乾いた布またはモップでやさしく拭き取る
- 水拭きで仕上げ、完全に乾燥させる
この方法は、アンモニア臭の消臭にも高い効果があります。
クエン酸がにおいの原因物質を酸で中和し、こもったトイレの空気をすっきりさせてくれます。
特に、ペットや小さな子どもがいる家庭では、安全性の高い掃除方法としておすすめです。
素材ごとの注意点も押さえておきましょう。
- クッションフロアやビニール壁紙:濃度1〜2%のクエン酸液でOK。長時間の放置は避ける。
- 木製フローリング:酸で変色しやすい。直接スプレーせず、布に含ませて拭く。
- 金属製の巾木やパーツ:サビの原因になるため、使用後は乾拭きで水分を残さない。
においが強い場合は、床全体をクエン酸スプレーで軽く拭いたあと、ドアを開けてしっかり換気を。
湿気がこもると再び臭気が発生するため、掃除後の乾燥も大切なステップです。
毎日続けるなら、濃度を薄めて「軽く拭くだけ掃除」を習慣化するのがコツ。
時間をかけて蓄積した汚れを、ゆっくりと落としていくイメージで取り組むと、清潔な状態を長く保てます。
クエン酸とウタマロの違い|代用できない理由と正しい使い分け

クエン酸もウタマロクリーナーも「トイレ掃除に使える」とよく聞きますが、実はまったく性質の違う洗剤です。
どちらも人気があるため混同されがちですが、代用はできません。
正しく理解すれば、両方のメリットを生かしてより清潔なトイレを保てます。
まずは基本の違いを押さえましょう。
| 洗剤名 | 性質 | 主成分 | 得意な汚れ | 向いている箇所 |
|---|---|---|---|---|
| クエン酸 | 酸性 | 有機酸(クエン酸) | 尿石・水垢・アンモニア臭 | 便器内・床まわり |
| ウタマロクリーナー | 弱アルカリ性 | 界面活性剤・アルカリ剤 | 皮脂・手垢・黒ずみ | 便座・フタ・レバーまわり |
どちらもトイレに使えますが、目的が真逆です。
クエン酸は「アルカリ性汚れを溶かす酸性洗剤」、ウタマロは「酸性汚れを分解するアルカリ性洗剤」。
混ぜると中和してどちらの効果もなくなってしまいます。
正しい使い分けのポイント
- 尿石や水垢にはクエン酸(酸性で中和して溶かす)
- 手垢や皮脂汚れにはウタマロクリーナー(アルカリで分解)
- 同じ日に使う場合は、ウタマロ → 水拭き → クエン酸の順番が安全
- 絶対に混ぜない(ボトル内や掃除中に発泡・成分劣化の危険)
両者をうまく組み合わせれば、トイレ全体を効率よく掃除できます。
たとえば、便器内や床まわりはクエン酸で尿石とにおいを取り、便座やレバーはウタマロで手垢を落とす。
それぞれの強みを活かすことで、洗剤の量を減らしながら清潔さを長く保てます。
クエン酸と重曹・セスキの正しい併用法
ナチュラル洗剤として人気の「クエン酸」「重曹」「セスキ炭酸ソーダ」。
どれも家中の掃除に使えますが、性質が異なるため混ぜて使うのはおすすめしません。
それぞれの特徴を理解し、正しい順番で使うことで汚れの落ち方が格段に変わります。
「混ぜる」ではなく「順番で使う」が正解
クエン酸は酸性、重曹とセスキはアルカリ性。
混ぜてしまうと中和反応が起こり、どちらの洗浄力も弱まります。
ただし、順番を守って使うことで、泡の発生を利用した効果的な掃除が可能です。
基本の順番使いの流れ
- 先に重曹をふりかけて、汚れを浮かせる
- その上からクエン酸スプレーを吹きかける
- テキストテキストテキストテキスシュワシュワと発泡して汚れが浮き上がる
- 5〜10分放置してから軽くこすり、水で流す
このとき発生する二酸化炭素の泡が、こびりついた汚れをやさしく剥がしてくれます。
便器のフチ裏や排水口、タンクの注水口など、ブラシが届きにくい場所におすすめの方法です。
汚れ別おすすめ組み合わせ表

表のように、クエン酸・重曹・セスキは「得意分野」が異なります。
| 汚れの種類 | 原因 | 最適な洗剤 | 掃除方法 |
|---|---|---|---|
| 尿石・水垢 | アルカリ性 | クエン酸 | パック法(スプレー+放置) |
| 黒ずみ・カビ | 真菌・皮脂 | 重曹 or 酸素系漂白剤 | 擦り洗い |
| におい・ぬめり | 雑菌 | 重曹→クエン酸(順番使い) | 泡反応法 |
| 手垢・油汚れ | 酸性 | セスキ炭酸ソーダ | スプレー拭き |
クエン酸は尿石・水垢、重曹は黒ずみやぬめり、セスキは油汚れ・皮脂汚れに強い性質です。
クエン酸で落ちない汚れ・やってはいけない使い方

クエン酸は万能に見えますが、実際には「苦手な汚れ」や「使ってはいけない組み合わせ」もあります。
知らずに使うと、落ちないどころか素材を傷めてしまうケースも。ここでは、失敗を防ぐための注意点を整理します。
クエン酸で落ちにくい汚れ
- 黒カビ・サビ・油汚れ:これらは酸では分解できません。
- フローリングや金属部の変色:酸が染み込むとコーティングが剥がれることがあります。
黒カビには酸素系漂白剤、サビには中性洗剤、油汚れには重曹やセスキ炭酸ソーダが適しています。
クエン酸はあくまで「尿石・水垢・アンモニア臭専用」と割り切るのが安全です。
やってはいけない使い方
以下のような使い方はしないようにしましょう。
- 漂白剤や塩素系洗剤との併用:酸と塩素が反応して有毒ガス(塩素ガス)を発生するおそれがあります。
- 長時間放置や高濃度使用:金属腐食や便座の変色につながる危険があります。
- 長時間放置や高濃度使用:金属腐食や便座の変色につながる危険があります。
- 長時間放置や高濃度使用:金属腐食や便座の変色につながる危険があります。
- 電化製品への直接スプレー:温水便座やセンサー部分は、内部の基板を痛めるおそれがあります。
毎日の掃除では、「クエン酸は優しいけれど酸である」という意識を持つことが大切です。
使い終わったあとは必ず水拭き・乾拭きで酸を残さないようにし、素材の状態を確認しましょう。
安全に使いこなせば、クエン酸はトイレ掃除の心強い味方になります
プロが教える!クエン酸掃除をより効果的にするテクニック

クエン酸の掃除効果を最大限に引き出すには、「濃度」や「使うタイミング」を意識することが大切です。
正しい方法を知るだけで、同じスプレーでも汚れ落ちが格段に変わります。
ここでは、富士水道センターが実際の現場で行っているクエン酸活用のコツを紹介します。
1. お湯を使って汚れをやわらかくする
冷たい水よりも、40℃前後のぬるま湯にクエン酸を溶かすと反応が早くなり、汚れが浮きやすくなります。
尿石や水垢は温度によって分解スピードが上がるため、「ホットクエン酸スプレー」は即効性が高い方法です。
お湯を使う際は、ボトルの耐熱温度を確認してから作るようにしましょう。
2. 掃除後に「重曹リンス」で酸残りを中和
クエン酸使用後に軽く重曹水を吹きかけると、酸性成分を中和して残臭を防げます。
シュワッとした発泡で汚れを再び浮かせ、同時に消臭効果もアップ。
最後に水拭き・乾拭きで仕上げれば、酸の刺激や白残りを完全に防げます。
3. 放置時間を活用して効率アップ
クエン酸は即効性よりも「浸透時間」が鍵。
パックして放置している間に、床やレバーまわりを掃除するなどながら掃除をすると効率的です。
スプレー後10分放置している間に、別の箇所を拭くルーティンをつくると時短にもつながります。
この3つを意識するだけで、掃除の仕上がりと作業効率が一気に上がります。
家庭でも簡単に実践できるテクニックとして、ぜひ取り入れてみてください。
【プロ監修】富士水道センターが推奨するトイレ掃除ルーティン

クエン酸を正しく使いこなすには、毎日の掃除を「習慣化」することが何より大切です。
無理なく続けられるルーティンをつくることで、汚れを溜めずに常に清潔な状態を保てます。
ここでは、富士水道センターが実際に推奨している掃除サイクルを紹介します。
毎日・週1・月1の掃除スケジュール
| 頻度 | 掃除箇所 | 使用洗剤 | 所要時間 | ポイント |
|---|---|---|---|---|
| 毎日 | 便座・床拭き | クエン酸スプレー(薄め液) | 約5分 | 軽く拭くだけでにおい防止。酸残りは水拭きでオフ。 |
| 週1回 | 便器内 | クエン酸スプレー+ペーパーパック | 約15分 | 尿石を浮かせて分解。放置10〜15分が効果的。 |
| 月1回 | タンク・床下・壁 | クエン酸+中性洗剤(併用可) | 約30分 | 見えない部分のカビや水垢を徹底除去。 |
このサイクルなら、強い洗剤を使わなくてもトイレを清潔に保てます。
特に「毎日5分の軽い拭き掃除」が、においや黒ずみの予防にもっとも効果的です。
クエン酸掃除では対応できないトラブル例

クエン酸は万能ではありません。次のようなトラブルがある場合は、業者に相談するのが安心です。
- 水漏れや排水詰まりなど、構造部分のトラブル
- 便器内部のパッキン劣化やタンクの不具合
- 床下からの異臭、配管内の汚れやサビ
これらは家庭用洗剤では対応できず、無理に掃除を続けると状態が悪化するおそれもあります。
「クエン酸で落ちない」「掃除してもにおう」と感じたときは早めに相談するのがおすすめです。
よくある質問(FAQ)

トイレ掃除にクエン酸を使うときに、特に多い疑問をまとめました。
安全に使うためのポイントや、よくある失敗例もあわせて確認しておきましょう。
Q1. クエン酸は「ウタマロクリーナー」や「重曹」と混ぜても大丈夫ですか?
A. 混ぜるのはNGです。
クエン酸は酸性、ウタマロや重曹はアルカリ性のため、混ぜると中和反応を起こして洗浄力が落ちます。
同日に使う場合は「ウタマロ → 水拭き → クエン酸」の順番を守りましょう。
泡立てて使う場合は「重曹→クエン酸」の順で使用し、混ぜすぎないよう注意してください。
Q2. クエン酸スプレーの保存期間はどのくらいですか?
A. 常温では1〜2週間が目安です。
長期間放置すると雑菌が繁殖したり、スプレーが詰まる原因になります。
こまめに少量ずつ作り、冷暗所に保管しましょう。
Q3. トイレタンクの中にもクエン酸を使えますか?
A. タンクの内部にはおすすめしません。
内部の金属やゴムパッキンを傷める可能性があるため、外側の汚れだけをクエン酸で拭き取りましょう。
Q4. クエン酸で掃除しても臭いが残るのはなぜですか?
A. 原因が「尿石」ではなく「床下や排水口の汚れ」にある可能性があります。
排水トラップや便器の接続部に汚れが溜まっている場合、クエン酸では解消できません。
その場合は配管清掃・防臭パッキン交換などの専門対応が必要です。
Q5. クエン酸はどこで買えますか?100均のもので大丈夫?
A. ダイソーやセリアなどの100円ショップで販売されているクエン酸で問題ありません。
成分は市販の掃除用クエン酸と同じ「有機酸」で、濃度調整さえ守れば十分な効果が得られます。
まとめ|クエン酸でトイレを安全・清潔に保つポイント
クエン酸は、トイレの尿石・水垢・アンモニア臭といったアルカリ性汚れに強く、自然由来で安心して使える優秀な洗剤です。
ただし、正しい使い方を守らなければ、素材を傷めたり効果が半減することもあります。
この記事で紹介したポイントをおさらいしましょう。
クエン酸掃除の基本ポイント
- スプレー濃度は 1〜2%(水200mlに小さじ1) が目安
- スプレー→ペーパーパック→放置10〜15分→ブラシ洗い→水拭き の順で使う
- 尿石・水垢・においには◎、カビ・サビ・油汚れには×
- 金属・木製部分には直接スプレーせず、布に含ませて使用
- 塩素系洗剤・漂白剤とは絶対に混ぜない
日常掃除のコツ
- 毎日:便座と床を薄めたクエン酸液で拭く(約5分)
- 週1:便器をクエン酸パックでしっかり除去
- 月1:タンク外側や壁を重点掃除
続けることで、強い洗剤に頼らずとも清潔なトイレが保てます。
クエン酸で落ちない汚れや臭いは要注意
「掃除しても臭いが残る」「便器の奥が黒い」といった場合は、内部や配管の問題である可能性があります。
その場合は、無理に洗剤を増やすよりも専門業者による点検・清掃を依頼するのが安全です。
記事の監修者
島尻 博富士水道センター
水道工事や各種水回りの修理に従事して35年間。大規模修繕工事の計画~実施までの対応も可能。保有国家資格(給水装置工事主任技術者、一級管工事施工管理技士、一級建築配管技能士)。2023年1月25日放送 テレ朝スーパーJチャンネルで強烈寒波の報道に出演。












