
【放置厳禁】排水溝が臭いときに見直したい原因と、今日からできる予防習慣
水のトラブル
更新日 : 2025年12月08日

富士水道センター編集部
キッチンに立つたびにむっとしたニオイがする、お風呂や洗面所の排水溝がふとした瞬間に下水のように臭い——そんなお悩みはありませんか。
排水溝の臭いは、放っておくとカビやぬめり、配管トラブルにつながり、家じゅうの快適さを損ねてしまいます。
とはいえ、原因が分からないまま強い洗剤を流し込むと、十分な効果が得られないばかりか、設備を傷めてしまうおそれも。
この記事では、「どの場所の排水溝が臭いのか」「どんな臭いがするのか」という視点から原因を整理し、家庭でできるニオイ対策と、業者に相談したほうが良いケースを分かりやすくまとめました。
目次
排水溝が臭いときにまず確認したいこと

排水溝から嫌な臭いが上がってくると、家じゅうが不快な空気に包まれます。
キッチンやお風呂、洗面所、トイレなど、どこから臭っているかによって原因が変わるので、やみくもに洗剤を流すと効き目が薄くなることも。
最初に「どんな臭いか」「どの場所からか」をざっくり押さえておくと、対策が選びやすくなります。
共通して考えられる主な原因
排水溝の臭いは、おおまかに次のようなパターンに分けられます。
- 下水のようなツンとした臭い
- 生ゴミのような腐った臭い
- カビっぽい湿った臭い
- 薬品のような塩素臭
下水のような臭いは「封水」と呼ばれる水のフタが切れているときに出やすい傾向があります。

生ゴミ臭やカビ臭は、排水パイプの内側に付着した汚れやぬめり、カビが原因というケースがほとんどです。
塩素臭が強く残る場合は、市販洗浄剤を大量に使ったあとに換気が不足している可能性も考えられます。
すぐ試せる共通のチェック&対策
まずは以下のポイントを確認しましょう。
- どの排水溝から臭いがするか(キッチン、風呂、洗面所、トイレ、洗濯機など)
- 一か所だけか、家じゅうの排水溝が臭うか
- 臭いが強くなるタイミング(お湯を流したとき、風呂に入ったあと、洗濯機を回したあと など)
一か所だけ臭う場合は、その排水溝の汚れや詰まりが疑われます。
家じゅうの排水溝が同時に臭うときは、共用配管や屋外マスでトラブルが起きている可能性が高くなります。
排水口のフタやゴミ受け、ヘアキャッチャーを外し、目に見えるゴミを取り除くだけでも、臭いが和らぐ場合があるので試してみてください。
そのうえで、次の章から場所別に原因と対策を見ていきましょう。
【場所別】キッチンの排水溝が臭いとき

まずは、キッチンの排水溝が臭いときの原因と対策を見ていきましょう。
キッチンの排水溝の臭いの主な原因
キッチンの排水溝の臭いは、主に以下のものがあげられます。
生ゴミ・油汚れ・ぬめりの蓄積
キッチンの排水溝が臭いときの原因は、もっとも多いのが生ゴミと油汚れです。
三角コーナーや排水カゴに残った生ゴミが腐敗すると、むっとする臭いが立ち上ります。
さらに、フライパンや皿から流れた油が排水パイプの内側にこびりつき、そこに洗剤カスや食べ物のカスが張り付くと、ぬめりとなって雑菌が繁殖しやすい環境が整ってしまうのです。
シンク下の排水ホースや接続部の不具合
シンク下の収納スペースを開けたときに「下水っぽい臭い」がするときは、排水ホースやジャバラ管、S字トラップまわりが原因かもしれません。
接続部のパッキンが劣化したり、ホースが抜けかけたりすると、下水の臭いが室内に漏れ出します。
マンション特有の逆流や配管構造の影響
マンションでは、各戸の排水が一本の縦管に集まる構造が一般的です。

上階で一気に大量の水が流れると、配管内の空気が押し出され、下の階の排水溝から「ゴボゴボ」と音がして一緒に臭いが上がることがあります。
こうした逆流気味の状態が続くと、「キッチンの排水溝がいつも臭い」と感じやすくなります。
キッチン排水溝の臭い対策
キッチンの排水溝が臭うときには、以下のような対策をしてみましょう。
重曹とクエン酸+お湯で行う基本掃除
キッチンの排水溝の臭い対策として、まず試しやすいのが重曹とクエン酸を使った方法です。
台所排水溝の汚れに比較的やさしく作用し、手軽に続けやすい点が魅力といえます。
- ゴミ受けや排水カゴを外し、残った生ゴミを捨てる
- 排水口と排水カゴに重曹をたっぷり振りかける
- その上からクエン酸(または酢)をかける
- 少量のぬるま湯を注ぎ、シュワシュワと泡立たせる
- 30分〜1時間ほど放置したあと、40〜50℃程度のお湯でしっかり流す
アルミ製のシンクや金属部品が多い場合は、クエン酸の使い過ぎで変色するおそれがあるため、目立たない場所で試してから全体に広げると安心です。
パイプユニッシュ・泡ハイターなど薬剤の上手な使い分け
ぬめりがひどい、排水溝の臭いが長く続く、というときは、市販のパイプクリーナーを併用すると効率的です。
使用の際には、以下のポイントを意識しましょう。
- 説明書どおりの量を守る
- お湯ではなく水で流す指定なら必ず従う
- 塩素系と酸性の洗剤を絶対に混ぜない
特にキッチンハイターや泡ハイターなどの塩素系漂白剤と、クエン酸を同時に使うと有毒ガスが出るおそれがあります。
「重曹+クエン酸の掃除」と「パイプユニッシュやハイターの使用」は、同じ日に行わず日をあけるほうが安全です。
排水口ネット・防臭キャップなどグッズで予防する方法
日頃から生ゴミを溜めないようにしておくと、臭いの発生をかなり抑えられます。
使い捨ての排水口ネットで残菜をこまめにキャッチし、調理が終わったらネットごと捨てる習慣をつけるようにしましょう。
排水ホースの差し込み口に防臭キャップをつけたり、シンク下の排水管に専用の防臭ゴムを取り付けたりする製品もあります。
排水溝の臭いとりグッズとして販売されているものを上手に取り入れると、臭い戻りを予防しやすくなります。
【場所別】お風呂の排水溝が臭いとき

続いて、お風呂の排水溝が臭いときの原因と対策を見ていきましょう。
お風呂の排水溝の臭いの主な原因
お風呂の排水溝の臭いの原因は、主に以下のようなものがあげれます。
髪の毛・皮脂・石けんカスが作るヘドロ汚れ
お風呂の排水溝は、髪の毛や皮脂、シャンプー・ボディソープの成分が流れ込みやすい場所です。
これらが混ざり合うと、独特のドロッとしたヘドロになり、強い臭いを放ちます。
ヘアキャッチャーの目詰まりだけでなく、排水トラップの奥までヘドロが入り込むと、臭いが取れにくくなります。
排水トラップの封水切れ・逆流
お風呂をしばらく使っていないとき、排水トラップ内の水が蒸発してしまう場合があります。
この「封水」が切れると、下水から上がってくる臭いをせき止めるものがなくなり、「風呂排水溝から下水のような臭いがする」という状態になるのです。
また、マンションでお風呂の排水溝が逆流気味になっていると、ゴボゴボと音を立てながら臭いが一気に上がることもあります。
カビ・ぬめり・ゴムパッキンの劣化
浴室は湿度が高く、カビが好む環境です。
排水溝まわりのゴムパッキンや壁際のコーキング部分に黒カビが広がると、排水溝の臭いと混ざって不快感が増します。
お風呂の排水溝の臭い対策
お風呂の排水溝が臭う場合の対策を見ていきましょう。
トラップを分解して掃除する手順
風呂排水溝の臭いが気になるときは、表面だけでなくトラップ内部までまとめて掃除するほうが効果的です。
- 排水口のフタとヘアキャッチャーを外す
- その下にあるワントラップやカップを持ち上げて取り出す
- ビニール手袋を着け、髪の毛やヌルヌル汚れをゴミ袋に入れる
- ヘアキャッチャーとトラップを中性洗剤とブラシでこする
- 排水口の内側もスポンジや古歯ブラシで洗う
掃除の前にスマートフォンで構造を撮影しておくと、元に戻すときに迷わず済みます。
重曹・クエン酸とお湯を使ったやり方
分解掃除をしたあと、仕上げとして重曹とクエン酸を使うと、ぬめりと臭いをいっしょに抑えやすくなります。
やり方はキッチンと同じですが、浴室の場合は風呂のお湯を利用しやすい点が利点です。
- 排水口に重曹を振り入れる
- クエン酸をふりかけ、少しだけぬるま湯を注ぐ
- 泡立ちを確認したら30分ほど放置
- その後、浴槽に残ったお湯を流し込み、一気に洗い流す
残り湯を活用すれば、排水パイプの奥までお湯が届きやすく、臭い対策としても効率的です。
泡ハイターなど塩素系漂白剤でカビを落とすときの注意点
黒カビが気になる部分には、泡ハイターなど塩素系のカビ取り剤が有効です。
ただし、換気を十分に行い、マスクやゴム手袋で肌と呼吸器を守る必要があります。
重曹やクエン酸など酸性の洗剤と同時に使うと危険なので、日を分けて作業しましょう。
マンションでお風呂の排水溝の臭いがするといった症状が続く場合は、個人の掃除では解消し切れないこともあります。
上階と合わせてまとめて配管洗浄を行う提案を、管理会社に相談する選択肢も検討してください。
【場所別】洗面所の排水溝が臭いとき

洗面所の排水溝が臭いときの原因と対策を見ていきましょう。
洗面所排水溝の主な原因
洗面所の排水溝が臭うとき原因は、以下のものがあげられます。
歯磨き粉・ヘアワックス・化粧品カスの固まり
洗面所の排水溝には、歯磨き粉や洗顔料、整髪料、メイク落としなど、粘度の高いものが多く流れ込みます。
これらが冷えて固まり、排水パイプの内側に層のようにこびりつくと、水の通り道が細くなり、ぬめりと臭いを引き起こします。
ボトルトラップ・S字トラップ内部の汚れ
洗面台の下にあるボトルトラップやS字トラップは、水をためて封水を作る形になっています。
この部分は分解しないと内部を確認できないため、長年掃除していないご家庭も少なくありません。
内部にヘドロがたまると、臭い対策をしても改善しにくい原因になります。
オーバーフロー穴にたまったカビ
洗面ボウルの上部に開いている細い穴がオーバーフローです。
水をためたときにあふれないようにする役割がありますが、ここに黒カビやぬめりがたまると、排水溝からカビ臭がするように感じることがあります。
洗面所排水溝の臭い対策
洗面所の排水溝が臭うときの対策を見ていきましょう。
重曹+クエン酸+ぬるま湯で行うパイプ掃除
「洗面所 排水溝 臭い 対策」として手軽に試せるのが、重曹とクエン酸を使った洗浄です。
- 洗面ボウルの栓をして、水を少しためる
- 排水口まわりに重曹を振りかける
- クエン酸を重ねてふり、ぬるま湯を少量垂らす
- 泡立たせながら、そのまましばらく置く
- 栓を抜いて、一気に流す
泡が汚れを浮かせるので、軽いぬめりや臭いであれば十分におさえられる場合があります。
オーバーフロー穴をブラシでこする方法
オーバーフロー穴には、細めのブラシや綿棒が役立ちます。
中性洗剤をつけて軽くこすり、ぬめりとカビを落としていきます。
掃除のあとに、ぬるま湯を流し入れて洗剤をしっかりすすぐと安心です。
分解が必要なときに業者へ任せたほうがいい理由
ボトルトラップやS字トラップを自分で外そうとして、水漏れを起こしてしまう例も少なくありません。
工具の扱いに慣れていない、配管の構造が複雑で不安がある、といった場合は、水道業者に任せるほうが安全です。
特に築年数が長い洗面台では、金属部品が劣化している可能性もあるため、無理に回さず専門家の判断を仰ぎましょう。
【場所別】洗濯機まわりの排水溝が臭いとき

脱衣所で感じるモワッとした臭いは、洗濯槽そのもののカビと、洗濯パンや排水トラップの汚れが重なっていることが少なくありません。
このパートでは、どこから臭っているのかを切り分けながら、洗濯機まわりの排水溝をすっきりさせる手順を解説します。
洗濯機の排水溝まわりの臭いの主な原因
洗濯機の排水溝のまわりの臭いの主な原因は以下のとおりです。
洗濯槽のカビと排水溝の汚れが絡むケース
洗濯機まわりの臭いは、「洗濯槽のカビ」と「排水溝の汚れ」が同時に進んでいることが多くなります。
洗濯機のフタを開けたときにむっとした臭いがするなら、洗濯槽が主な原因です。
反対に、脱衣所全体が下水臭いときは、排水溝の封水切れやトラップの汚れを疑いましょう。
洗濯パン・排水トラップ・ホースまわりのヘドロ
洗濯パンの隅や排水トラップ周辺には、糸くずやホコリ、洗剤カスが溜まりやすい環境があります。
ここにカビが繁殖すると、排水溝から生乾きのような臭いが立ち上ります。
また、洗濯ホースの内部や差し込み口に黒ずみがたまると、そこからも臭いが広がります。
ホースの差し込み不良や勾配不良
排水ホースが奥まで差し込まれていなかったり、逆に奥まで入りすぎて排水口を塞いでいたりすると、臭いが漏れたり、逆流が起きたりします。
ホースの勾配が足りず、途中で水が溜まっていると、そこが雑菌の温床になってしまうのです。
洗濯機排水溝の臭い対策
洗濯機の排水溝の臭い対策を見ていきましょう。
洗濯槽クリーナーで内部をリセットする
まずは洗濯槽専用のクリーナーを使い、槽内のカビや汚れを落とします。
1ヶ月ごとを目安に定期的に行うことで臭いを抑えやすくなります。
排水トラップを外して掃除する手順
洗濯機の排水溝の臭い対策として効果的なのが、洗濯パンの排水トラップを外して掃除する方法です。
- 洗濯機の電源を切り、水道の元栓を閉める
- 洗濯機を少し動かし、排水トラップ周辺を露出させる
- トラップのフタと内部の部品を外し、ヘドロとゴミを取り除く
- 中性洗剤とブラシで部品を洗う
- 元の位置にしっかり戻す
重曹とクエン酸、お湯を組み合わせれば、ぬめりと臭いをさらに抑えられます。
ホースの位置調整や交換で改善する場合
ホースに折れやつぶれがないか、途中で水がたまっていないかも確認しましょう。
状態が悪いと感じたら、新しいホースへの交換も選択肢に入ります。
ホームセンターで購入できる範囲の作業ですが、不安があるときは業者に相談すると安心です。
【場所別】トイレ・床排水が臭いとき

トイレ掃除をしても臭いが残るときは、便器ではなく床の排水口や封水切れが原因になっている場合も。
ここでは、床排水口まわりの汚れや配管トラブルに注目し、日常の掃除ポイントと業者へ相談すべきサインをまとめます。
トイレ床排水の主な原因
トイレの床排水の臭いの主な原因を見ていきましょう。
床排水口まわりの尿ハネ・汚れの蓄積
トイレ掃除をしているのに臭いが残るときは、便器ではなく床の排水口に原因が潜んでいるかもしれません。
便器周りに飛び散った尿や洗浄水が、床排水口に入り込み、そこへホコリや髪の毛が重なると、強いアンモニア臭が発生します。
長期不在などによる封水切れ
しばらく家を空けていたあとにトイレの臭いが気になる場合、床排水口の封水が蒸発している可能性があります。
水のフタがなくなると、下水側からの臭いがそのまま上がってきてしまいます。
配管や便器まわりの不具合
便器の根元や配管接続部のパッキンが劣化すると、目に見えない隙間から臭いが漏れます。
この場合、掃除だけでは改善しないため、修理や交換が必要です。
トイレ排水口の臭い対策
トイレの床排水の臭いが気になる場合は、以下の対策をおこないましょう。
床排水口を中心にした掃除手順
トイレの排水溝の臭い対策として、まずは床排水口を徹底的に掃除してみましょう。
- ゴム手袋を着ける
- 排水口のフタや格子を外す
- 中にたまった髪の毛やホコリを取り除く
- 中性洗剤やトイレ用洗剤を使い、ブラシでこする
- きれいな水でしっかりすすぐ
このとき、トイレ本体の裏側や便座の付け根周辺も一緒に拭き掃除すると、臭いがぐっと和らぎます。
封水を張り直す・ラップで一時的にふさぐ方法
封水切れが原因なら、排水口に水を注いでフタを作り直せば臭いはかなり収まりやすくなります。
長期不在の予定があるときは、あらかじめ排水口の上にラップを貼っておくと、蒸発を遅らせる効果が期待できます。
異常が続くときの専門業者への相談目安
掃除をしてもすぐに臭いが戻る、便器の根元から水がにじむ、などの症状がある場合は、配管やパッキンのトラブルを疑う段階に入ります。
自分で分解すると水漏れのリスクが高いため、早めに水道業者へ相談したほうが安心です。
季節・住まい別に強くなりやすい排水溝の臭い

同じ家でも、季節や建物の構造によって臭いの出方は変わります。
この章では、夏場にニオイが強くなる理由や、マンション・一戸建てそれぞれで起こりやすい配管トラブルを解説し、事前にできる対策を紹介します。
夏場に臭いが強くなる主な原因
夏の排水溝が臭いという悩みは、多くの家庭で共通するものです。
気温が高いと菌の活動が活発になり、汚れが分解されるときに強い臭いが発生します。
さらに、暑さで封水の蒸発が進みやすく、下水側の臭いも上がりやすい状況に。
夏前に一度、キッチンやお風呂、洗面所など主要な排水溝をまとめて掃除しておくと、真夏の不快感をかなり軽減できます。
マンションならではの臭いトラブル
マンションで排水溝の臭いが強いときは、各戸の使い方だけでなく、共用配管の状態が影響していることも少なくありません。
上階の住戸から一度に大量の水が流れると縦管内の空気圧が急に変わり、下の階では封水が押し上げられてしまう場合があります。
その結果、キッチンやお風呂の排水溝から「ゴボゴボ」という音とともに下水臭が吹き上がる現象が起きやすい状態に陥りがちです。
こうしたケースでは、いくら室内の排水口を掃除しても根本的な改善が見込めません。
「マンション全体の配管洗浄を定期的に実施しているか」「前回の実施時期はいつか」といった点を、管理会社に問い合わせて状況を確認しておくと安心です。
一戸建てで起こりやすい屋外配管の問題
一戸建ての場合、屋外の汚水マスや雨水マスに泥や落ち葉、油脂が溜まり、それらも原因のひとつです。
フタを開けたときに強烈な臭いがするなら、配管内で汚れがかなり蓄積しているサインと考えられます。
家庭用の高圧洗浄機で対応できる範囲もありますが、深いマスや長い配管では専門業者の機材が必要になる場面も少なくありません。
自分でできる排水溝の臭い対策まとめ

ここまで紹介した内容を踏まえ、家庭で続けやすい基本のニオイ対策を整理します。
重曹やクエン酸、お湯を使った掃除の流れと、市販グッズの上手な取り入れ方、日常の予防習慣を一つの流れとして確認しましょう。
重曹・クエン酸・お湯で行う基本手順
家庭で手軽にできる重曹とクエン酸を使った対策として、各場所で共通して使える基本の流れをあらためて整理します。
- 排水口のフタやゴミ受けを外し、目に見えるゴミを取り除く
- 排水口周辺に重曹をたっぷり振りかける
- その上からクエン酸(または酢)を振る
- ぬるま湯を少量注いで泡立たせ、30分ほど放置
- 40〜50℃程度のお湯で一気に流し、仕上げにブラシでこする
この方法は、キッチン・お風呂・洗面所・洗濯機排水口など、多くの場所で活用できます。
市販洗浄剤・防臭グッズの使い分け
汚れや詰まりが進んでいるときは、パイプユニッシュなどの洗浄剤が頼りになります。
ただし「排水溝の臭いにパイプユニッシュが効かない」と感じた場合、単純に汚れの量が多すぎる、あるいは配管の構造トラブルが原因のことも。
軽いぬめりや日常の予防には、重曹やクエン酸、消臭効果のあるタブレットなどがおすすめです。
一方で、黒カビが広がっている場合や、ヘドロ状の汚れが厚く付着しているときは、塩素系洗剤や高圧洗浄など、より強い手段が必要になることもあります。
日常のニオイ予防ルーティン
排水溝の臭いをゼロに保つのは難しいものの、次のような習慣を続けるだけで、トラブルの頻度は大きく減らせます。
- 調理後は生ゴミをその日のうちに処分する
- 入浴後に排水口の髪の毛を取り除く
- 洗面所や洗濯機の排水口に月1回程度、重曹を振りかける
- 夏前や長期休み前に、家じゅうの排水口をまとめて掃除する
少しずつ汚れを溜めない意識を持つことが、いちばんの対策といえます。
パイプユニッシュでも臭いが消えないときに考えられること

洗浄剤を何度使っても臭いがぶり返す場合は、配管の構造や勾配など、汚れ以外の問題が潜んでいる可能性があります。
このパートでは、封水やトラップの不具合、高圧洗浄が必要になるケースなど、専門業者に相談したほうがよい状況を整理していきましょう。
封水切れ・トラップ破損・配管勾配不良など構造の原因
洗浄剤を何度使っても臭いが戻る場合、汚れではなく構造的な問題が潜んでいるかもしれません。
- 排水トラップの封水が十分にたまらない
- トラップそのものが割れている、パッキンが劣化している
- 配管の勾配が足りず、常に水が溜まってヘドロ化している
こうしたトラブルは、家庭用洗剤では解消できません。
配管の交換や勾配の調整が必要になるため、専門業者の診断が不可欠です。
高圧洗浄や配管洗浄が必要なケースと費用の目安
長年の油脂やヘドロが配管の内側にびっしり付着していると、パイプクリーナーでは表面しか溶かせないことがあります。
その場合は、高圧洗浄機を使った本格的な配管洗浄が有効です。
作業内容や配管の長さによって費用は変わりますが、一般家庭であれば数万円前後のケースが多い傾向があります。
複数の業者から見積もりを取り、作業内容と金額を比較するのがおすすめです。
専門業者に相談するタイミング
次のようなサインがあるときは、自力での対処から専門業者への相談へ切り替える目安になります。
- 数日おきに強い臭いがぶり返す
- 排水の流れが悪く、ゴボゴボ音が頻繁にする
- 階下への漏水が心配な建物構造である
- 分でトラップや配管を触るのが不安に感じる
無理に薬剤を増やすと、配管を傷める原因にもなります。
早めにプロの力を借りたほうが、結果的に費用を抑えられることも少なくありません。
排水溝の臭いを予防する暮らしの習慣

一度きれいにしても、日々の使い方しだいで臭いはすぐ戻ってしまいます。
最後に、毎日・毎週・月1回の簡単なチェック項目と、長期不在の前後にしておきたいひと工夫をまとめ、ニオイをため込まない暮らし方を見ていきましょう。
毎日・毎週・月1回のチェックリスト
排水溝の臭い予防を続けやすくするには、「やること」を細かく決めすぎないほうが続きやすくなります。
- 毎日:生ゴミと髪の毛をその日のうちに捨てる
- 毎週:キッチンとお風呂の排水口をブラシで軽くこする
- 月1回:重曹とクエン酸、お湯を使った掃除を家じゅうの排水口で実施する
この程度のペースなら、忙しい日々の中でも習慣として組み込みやすいはずです。
長期不在前後にやっておきたいこと
旅行や出張で家を数日空けるときは、出かける前に排水口へコップ一杯ほどの水を足しておくと、封水が減りにくくなります。
さらに、キッチンや洗面所の排水口の上からラップを張り、軽く押さえて空気の出入りを減らす方法もあります。
帰宅後は、いちどすべての排水口に水やお湯を流し、換気扇を回して空気を入れ替えましょう。
これだけでも、下水臭の立ち上がりをかなり抑えられます。
排水溝の臭いに関するよくある質問(FAQ)

Q1 キッチンの排水溝が急に下水みたいな臭いになりました。すぐできる対策はありますか?
A まずは排水口のフタやゴミ受けを外し、生ゴミやぬめりを取り除きましょう。
そのうえで、排水トラップに水がたまっているかを確認します。
水が少ない場合は、コップ数杯程度を流して封水を作り直すと、下水臭が落ち着く場合があります。
Q2 パイプユニッシュや泡ハイターを使っても排水溝の臭いが消えません。
A 汚れの量が多すぎるか、配管の構造に問題がある可能性があります。
何度も薬剤を流すと配管を傷めるおそれがあるため、トラップの分解掃除や、高圧洗浄を含めて水道業者へ相談したほうが安全です。
Q3 重曹とクエン酸が家にありません。代わりにできることはありますか?
A まずは中性洗剤とブラシで、排水口周辺のぬめりを落とすだけでも効果があります。
そのあと、40〜50℃程度のお湯を多めに流しておくと、臭いの軽減につながります。
Q4 マンションで家じゅうの排水溝が同時に臭います。自分でできることと、管理会社に相談すべきことを教えてください。
A 各部屋の排水口を掃除し、封水を十分にためても改善しない場合は、共用配管側の問題が疑われます。
その場合は、配管の高圧洗浄や設備点検を管理会社に依頼しましょう。
Q5 夏になるとお風呂や洗面所の排水溝の臭いが強くなります。根本的に減らすにはどうしたらいいですか?
A 夏前のタイミングで、排水トラップの分解掃除と重曹・クエン酸による洗浄を一度徹底して行うと効果的です。
あわせて換気扇をこまめに回し、湿気をためない工夫を続けると、臭いの出方が落ち着きやすくなります。
Q6 小さな子どもやペットがいるので塩素系洗剤をあまり使いたくありません。どんな掃除がおすすめでしょうか。
A 重曹とクエン酸、お湯を組み合わせた掃除を基本にし、日常的にゴミ受けやヘアキャッチャーを清潔に保つ方法がおすすめです。
どうしてもカビが落ちない部分についてのみ、換気を十分に行ったうえで塩素系洗剤を限定的に使うと安心感が高まります。
まとめ
排水溝の臭いは、原因がわかれば自分で対処できる場面も多くあります。
一方で、繰り返し発生する、家じゅうが下水のような臭いに包まれる、といったケースでは、配管のトラブルが隠れているかもしれません。
無理をせず、自分でできる範囲と専門業者に任せる範囲を見極めながら、快適な住環境を守っていきましょう。
記事の監修者

島尻 博富士水道センター
水道工事や各種水回りの修理に従事して35年間。大規模修繕工事の計画~実施までの対応も可能。保有国家資格(給水装置工事主任技術者、一級管工事施工管理技士、一級建築配管技能士)。2023年1月25日放送 テレ朝スーパーJチャンネルで強烈寒波の報道に出演。












