
【もう限界…】お風呂の排水溝が臭いときの原因チェックとニオイ撃退術
トイレ
更新日 : 2025年12月04日

富士水道センター編集部
お風呂に入ろうとした瞬間、ふわっと漂うあの独特の臭いに「え、何これ…?」と思った経験はありませんか。
換気しても、排水溝を軽く洗っても、しばらくするとまた戻ってくると不安になります。
放置すれば、下水の臭いが上がったり、雑菌が増えたりして、毎日の入浴が憂うつになることもあります。
この記事では、お風呂の排水溝が臭いときに起きている原因を整理し、自分で進められる対処法と再発防止のポイントをやさしくまとめました。
まずは、思い当たる状況と照らし合わせながら読み進めてみてください。
目次
お風呂の排水溝が臭い原因

お風呂の排水溝がふと臭うとき、原因はひとつではありません。
水が減って下水の空気が上がってきたり、髪の毛や石けんカスが腐敗したり、家の構造や天気の影響を受けることもあります。
まずは、どんな仕組みで臭いが発生しているのか全体像を押さえておきましょう。
- 封水(排水トラップの水)が減って下水臭が上がる
- 髪の毛や皮脂・石けんカスがたまって腐敗する
- 排水管の奥に汚れがこびりつき強い臭いを出す
- パッキン劣化やすき間から下水の空気が漏れる
- 湿気やカビ、換気不足でこもった臭いが残る
どの原因が当てはまるかによって対処法が変わります。
思い当たる症状を確認しながら読み進めると、解決までの道筋が見えるはずです。
封水が減っている(排水トラップの水切れ)

お風呂の排水溝には、排水トラップと呼ばれる部品があり、カップ状のくぼみに水をためる仕組みになっています。
この水のフタが下水の臭いをせき止めている状態ですが、長くお風呂を使わなかったり、強い換気扇を長時間回したりすると水が減ってしまうことがあります。
封水が切れると、下水側の空気がそのまま浴室内に上がってきます。
「急に下水のような臭いがする」「お風呂に入っていない期間が長かった」という場合は、まず排水トラップに水がしっかり溜まっているか確認してみましょう。
マンションやアパートでは、階下や共用配管の負圧の影響を受けて封水が吸い出されることもあります。
頻繁に起きる場合は、管理会社への相談も視野に入れます。
髪の毛・皮脂・石けんカスの蓄積(ヌメリ・雑菌)
排水トラップや排水口のフタを外すと、髪の毛と灰色のヘドロのような塊が見つかることがあります。
これは皮脂やシャンプー、ボディソープの成分が混ざり、雑菌が増えたものです。
放置すると強いヌメリになり、生ごみのような臭いを発することがあります。
重曹やクエン酸、ハイターなどで掃除してもすぐ臭いが戻るときは、汚れが奥まで詰まっている可能性があります。
まずはトラップを分解し、届く範囲の髪の毛とヘドロをしっかり取り除くことが重要です。
排水管の奥にこびりついた汚れ
トラップ周りを掃除しても臭いが残る場合、原因はさらに奥の排水管に移っています。
配管の内側に皮脂汚れや石けんカスが層になってこびりつくと、そこに雑菌が住み着き、強い悪臭を放つようになります。
この段階では、表面をこするだけの掃除では追いつきません。
粘度の高いパイプクリーナー(バイプユニッシュなど)で汚れを溶かしたり、プロによる高圧洗浄で一気に流したりといった対処が必要になります。
特に築年数が経ったマンションでは、共用の排水管自体が汚れているケースもあり、個人の努力だけでは限界がある点も意識しておきたいところです。
パッキン劣化やすき間からの臭い漏れ
排水トラップと床、排水管の接続部には、ゴム製のパッキンやシール材が使われています。
これらが劣化すると、封水とは別のルートから下水の空気が抜けてしまい、常にうっすらと臭う状態が続いてしまうのです。
「掃除してもすぐ臭いが戻る」「排水トラップを外したときに、ぐらぐらしている」といった症状がある場合は、パッキンの状態を疑います。
自分で交換できるケースもありますが、構造が分かりづらい場合は水道業者に相談したほうが安全です。
カビや湿気が原因のこもった臭い
排水溝とは別に、浴室全体のカビや湿気が臭いの元になっていることも多いです。
天井や換気扇の周り、壁の目地に黒カビが広がっていると、独特のカビ臭がこもります。
換気扇の吸い込みが弱くなると、湿気が抜けにくくなり、カビが増えやすい環境に。
カビ取り剤やカビキラーで目に見える部分を掃除すると同時に、換気扇本体のフィルターやファンも定期的に清掃すると、においの改善につながります。
気圧や天気の影響による下水臭の逆流
雨の日や台風の前後にだけ臭いが強くなる場合、外の気圧変化が影響していることがあります。
下水管内部の空気が押し上げられ、封水の境目でボコボコと動くことで、一時的に臭いが上がってくるのです。
「雨のたびに下水の臭いがする」「風呂上がりだけ強く臭う」といった状況が続く場合は、封水の高さを保つことに加え、換気のタイミングを工夫します。
それでも改善しないときは、配管の勾配や接続に問題がある可能性もあり、専門業者の調査が必要な段階です。
まずやるべき基本チェック

お風呂が臭うとき、いきなり強い洗剤を使うより、簡単な確認から順に進めたほうが原因を絞りやすくなります。
いま家にある道具だけでできることを一通り試すと、「掃除で解決するのか」「設備の不具合なのか」の見当がつくでしょう。
- 排水トラップに水がしっかり溜まっているか
- 髪の毛やゴミがたまっていないか
- 排水トラップを外して内部を掃除したか
- 換気扇が回り、空気が循環しているか
これらを押さえておくと、あとで洗剤を使うときも無駄がありません。
深刻な故障を疑う前に、まずは基本のチェックから始めてみましょう。
排水トラップの水位を確認する
最初に見ておきたいのが、排水トラップの水の量です。
フタやヘアキャッチャーを外し、内部を覗き込むと、カップ状のくぼみに水があるかどうかが分かります。
水面がほとんど見えない、底が露出しているといった状態なら、封水が切れている状態です。
このときは、バケツやシャワーでコップ数杯の水を静かに流し込み、くぼみ部分に水のフタを復活させます。
水を足してもすぐに減ってしまう場合、配管側で強く空気が引かれているか、トラップにひび割れが生じているかもしれません。
何度も繰り返すようなら、次のチェックに進みつつ、早い段階で専門家への相談も視野に入れます。
髪の毛やゴミを取り除く
封水があっても、ヘアキャッチャーに髪の毛が山盛りになっていると、腐敗した臭いが上がってきます。
ゴム手袋をつけて髪の毛や大きなゴミをつまみ取り、新聞紙やポリ袋の上にまとめて捨てましょう。
ヘアキャッチャーの目に細かい汚れが詰まっている場合は、古い歯ブラシで軽くこすり洗いをすると通水性が戻ります。
この段階で臭いがかなり弱まることも多いため、毎日の入浴後に短時間だけでも続けると効果的です。
排水トラップを外して内部を掃除する
髪の毛を取っても臭いが残るなら、排水トラップ自体を持ち上げて内部の汚れを確認します。
多くのタイプは手で引き上げるだけで外せますが、固くて動かない場合は無理にこじらず取扱説明書や品番を確認しましょう。
トラップの裏側や周辺には、灰色のヘドロ状の汚れがこびりついていることがあり、それが臭いの原因です。
中性洗剤をつけたスポンジやブラシでこすり洗いし、ぬるま湯でよく流すと、ヌメリと一緒に臭いの元も流せます。
トラップを戻すときは、向きやはまり具合に注意してください。
きちんと奥まで差し込めていないと、すき間から臭いが漏れることがあるため、カチッと収まった感触を確かめてからヘアキャッチャーを戻します。
換気扇と空気の流れを確認する
排水溝をきれいにしても臭いがこもるときは、空気がうまく入れ替わっていない場合があります。
換気扇のスイッチを入れて手のひらを近づけ、吸い込みを感じるかどうかをチェックしてみましょう。
まったく風を感じない、異音がするという場合は、ファンにホコリが詰まって回転が落ちているかもしれません。
カバーを外して掃除できる構造なら、説明書に沿って汚れを落とします。
難しいようなら、無理をせず専門のクリーニング業者に依頼したほうが安全です。
また、換気扇だけを長時間回し続けると、浴室内が負圧になり、封水が引き上げられてしまうことがあります。
入浴後しばらく回したあとは、ドアを少し開けて空気の通り道をつくり、過度な吸い込みが続かないよう調整しましょう。
お風呂の排水溝の臭いを取る方法|洗剤別の最適なやり方

基本のチェックで大きなトラブルが見つからなければ、次は汚れの種類に合わせて洗剤を選んでいきます。
洗剤ごとに得意な汚れが違うため、目的に合ったものを使いましょう。
- 中性洗剤で表面の汚れと皮脂を落とす
- 重曹とクエン酸でヌメリや軽い臭いを分解する
- ハイターなど塩素系漂白剤で強い雑菌を除去する
- バイプユニッシュなどパイプクリーナーで奥の汚れを溶かす
それぞれの特徴と注意点を知っておけば、「とりあえず強い薬剤を大量に流す」といった危険な使い方を避けられます。
家にある洗剤から試しやすい方法を選び、段階的に臭いを抑えていきましょう。
中性洗剤で表面の汚れを落とす
軽い臭いであれば、まずは台所用や浴室用の中性洗剤だけで改善することがあります。
排水トラップやヘアキャッチャー、周囲の床に洗剤をかけ、スポンジやブラシでこすり洗いし、ぬるま湯でよく流してみてください。
中性洗剤は手肌や素材への負担が比較的小さいため、こまめな掃除に向いています。
皮脂汚れや石けんカスを落としておくだけでも、雑菌のエサが減り、臭いの発生を抑えられるので試してみてください。
重曹+クエン酸でヌメリと軽い臭いを分解する
ヌメリや軽い腐敗臭には、重曹とクエン酸(またはお酢)を組み合わせた方法がおすすめです。
排水口まわりが軽く湿った状態にしてから、重曹をたっぷり振りかけ、その上からクエン酸水を注ぐと、モコモコと泡が立ちます。
この泡が汚れのすき間に入り込み、ヌメリを浮かせてくれるイメージです。
しばらく放置したあと、シャワーでよく流すと、ぬるっとした感触がかなり軽くなります。
香りが穏やかな方法なので、塩素の匂いが苦手な方や、小さな子ども・ペットがいる家庭でも取り入れやすい手段です。
ただし、カビや強い腐敗臭には単独では力不足な場合もあるため、症状に応じて他の方法と組み合わせます。
ハイターなど塩素系漂白剤で雑菌を一掃する
排水溝から生ごみのような強い臭いがする場合、雑菌の量がかなり増えている可能性があります。
そのようなときは、ハイターやカビ取り剤など、塩素系漂白剤の出番です。
取扱表示をよく読み、ゴム手袋とマスクをつけてから作業しましょう。
排水口まわりに原液または薄めた液をかけ、規定時間放置したあと、シャワーでしっかり洗い流します。
ここで注意したいのが、酸性の洗剤やクエン酸と混ぜないことです。
重曹+クエン酸で掃除した直後に塩素系を使う場合は、必ず十分なすすぎと時間の間隔をあけ、危険なガスが出ないようにします。
バイプユニッシュなどパイプクリーナーで奥の汚れを溶かす
表面を掃除しても臭いが残るときは、排水管の奥にこびりついた汚れが原因かもしれません。
この場合、粘度の高いパイプクリーナーを使うと、配管内部に長くとどまり、汚れをじわじわと溶かしてくれます。
ヘアキャッチャーやトラップを外した状態で、指定量の薬剤を直接排水口に注ぎましょう。
そのまま規定時間放置し、仕上げに大量の水かぬるま湯を一気に流し込むと、溶けた汚れをまとめて押し流せます。
ただし、毎日のように使用すると配管やパッキンを傷めるおそれがあるので頻度には注意してください。
月に一度程度のメンテナンスにとどめ、普段は中性洗剤や重曹での掃除を基本にしたほうが、長期的には負担が少なくなります。
業務用洗浄剤を使う場合の注意点
ホームセンターには、プロ向けの強力な洗浄剤が並ぶことがありますが、安易に使用するのはおすすめしません。
確かに洗浄力は高いものの、濃度や扱いを誤ると健康被害や配管トラブルにつながるリスクも大きくなります。
家庭で扱う場合は、必ず用途に合ったものを選び、表示どおりの希釈と時間を守ることが大前提です。
少しでも不安を感じるなら、無理に自分で使うより、水道業者に洗浄作業を依頼したほうが安心といえます。
臭いが「上がってくる」ときにチェックすべきポイント

お風呂の排水溝から、下から突き上げるような臭いがふっと上がってくることがあります。
天気や時間帯によって強まったり弱まったりする場合、配管の中の空気の動きや、建物全体の排水の流れが関係していることが多いです。
- 雨の日や風の強い日にだけ下水臭がする
- お風呂上がりにだけ一時的に臭いが強くなる
- 排水溝から「ボコボコ」と音がする
- 他の部屋で大量に水を流したあとに臭う
こうした現象が続くときは、単なる汚れだけでは説明できないケースもあります。
日頃の様子を振り返りながら、どのタイミングで臭いが上がってくるか整理すると原因に近づきやすくなります。
雨の日や気圧の変化で下水臭が押し上げられる
雨が続く日や台風の前後に、お風呂の排水溝から下水のような臭いが上がってくることがあります。
これは、外の気圧が下がることで下水管の中の空気が膨張し、排水トラップの水面近くまで押し上げられるためです。
封水自体は残っていても、境目で空気が揺さぶられるときに一時的に臭いが漏れます。
「天気が悪い日だけ臭いが出る」「雨の日にボコボコと音がする」といった症状は、このパターンに当てはまることが多いです。
他の排水との連動で臭いが逆流する
マンションやアパートなどの集合住宅では、キッチンや洗面所、トイレとお風呂の排水が途中で合流します。
どこかで大量の水を一気に流すと、配管内の空気が押し出され、その影響が別の排水溝に現れることがあります。
たとえば、洗濯機を回したときや、トイレの連続使用後にお風呂の排水溝から臭いが上がる場合、配管全体のバランスが崩れているかもしれません。
個人でできる対策には限りがあるため、頻繁に起きるようなら管理会社や専門業者に状況を伝えたほうが安心です。
換気扇の強さと封水の関係
浴室の換気扇が強力な場合、長時間回し続けることで室内が負圧になり、封水が引き上げられて少しずつ減ってしまうことがあります。
その結果、排水トラップの水が浅くなり、ちょっとした気圧変化で臭いが上がりやすくなります。
換気がまったく足りないのも困りますが、常に強風で回し続けるのもよくありません。
入浴後しばらくは換気扇を使い、その後は浴室のドアを少し開けて空気の逃げ道を確保するなど、運転の仕方を工夫すると封水を守りやすくなります。
排水トラップの破損や施工不良
基本的な掃除や水の補充をしてもなお、常に強い下水臭がする場合、排水トラップそのものが壊れている可能性があります。
ひび割れや変形で水が保持できない状態では、封水の役割を果たせません。
また、もともとトラップの形状が不適切だったり、施工時にすき間ができたままになっていたりする例も見られます。
このレベルになると、自力での調整は困難です。
築年数やリフォーム歴も含めて状況を整理し、水道業者に現場を見てもらう段階と考えたほうがよい領域です。
賃貸(アパート・マンション)での排水溝の臭い対策

賃貸住宅のお風呂で排水溝が臭うとき、どこまでを入居者の掃除で対応し、どこからを管理会社に相談するべきか迷う場面が出てきます。
集合住宅特有の配管構造が関わるケースもあるため、安易に自己責任で無理な作業をするとトラブルの元になりかねません。
- 入居者側でできる掃除や簡単な点検
- 共用部分や設備不良が疑われるケース
- 管理会社や大家さんに相談したほうがよい状況
- 業者手配前に伝えておきたいポイント
これらを整理しておくと、余計な出費や責任の押し付け合いを避けやすくなります。
安心して住み続けるためにも、賃貸ならではの線引きを意識しておきましょう。
住人側でできる日常の対策
入居者が行うべき範囲としては、排水トラップやヘアキャッチャーの掃除、重曹や中性洗剤を使った日常的なメンテナンスが挙げられます。
髪の毛をこまめに捨てる、トラップを定期的に分解して洗うといった手入れを生活に取り入れましょう。
また、換気扇のスイッチを適切に使い、湿気をため込まないことも大切です。
こうした基本的なケアを行ってもなお強い臭いが続く場合は、設備側に問題がある可能性を疑ってみてください。
管理会社へ相談したほうがよいケース
次のような状態が見られるときは、入居者だけで解決するのは困難です。
- お風呂以外の場所でも同じような下水臭がする
- 複数の部屋で同時に排水トラブルが起きている
- 封水を補充してもすぐに抜ける
- 排水トラップや配管に目立つひび割れがある
これらは、建物全体の排水設備や共用配管に問題があるサインかもしれません。
自己判断で強い薬剤を大量に流したり、部品を外したりすると、かえって状況を悪化させるおそれがあります。
気づいた時点で、いつからどんな臭いがしているのか、どのタイミングで強くなるのかをメモしておくと、管理会社や大家さんへ状況を伝えやすくなります。
相談時に伝えておきたい情報
電話やメールで相談するときは、次のような点を整理しておくと話がスムーズに進みます。
- 臭いが気になり始めた時期
- 臭いが強くなるタイミング(雨の日・お風呂上がりなど)
- 自分で行った掃除や対策の内容
- 排水溝から音がするかどうか
情報が具体的であるほど、管理会社側も「共用部分の点検が必要か」「個別の修理で足りるか」を判断しやすくなります。
賃貸では、独断で業者を呼ぶ前に、一度管理会社や大家に連絡を入れて指示を仰ぐほうが安心です。
排水トラップの掃除方法|仕組みや種類

お風呂の排水溝の臭い対策では、「排水トラップの形と役割」を理解しておくと、掃除の手順がぐっとつかみやすくなります。
- 排水トラップが担っている役割
- よく見られるトラップの種類
- それぞれの掃除のポイント
- 元どおりに戻すときの注意点
仕組みが分かると、闇雲に分解する必要がなくなり、壊してしまう不安も減っていきます。
無理のない範囲で、構造を意識しながら掃除してみましょう。
排水トラップの役割
排水トラップは、配管の途中に意図的に作られた“水のたまり場”です。
ここに常に水を溜めることで、下水側の空気や虫をせき止め、室内に入らないようにしています。
この水が減ったり、汚れで詰まったりすると、臭いが上がりやすくなってしまうのです。
掃除の目的は、単に見える部分をきれいにすることだけでなく、「水のフタがきちんと機能する状態を保つこと」と考えるとわかりやすくなります。
代表的な排水トラップの種類
浴室でよく使われる排水トラップには、いくつかのタイプがあります。
- 椀トラップ(お椀を伏せたような形)
- ワントラップ(丸いカップ状の部品)
- ドラムトラップ(円筒形の容器)
見た目や構造は少し違っても、どれも「水をためて封水を作る」という役割は共通です。
お使いの浴室の品番が分かれば、メーカーサイトなどで分解図を確認できる場合もあります。
トラップごとの掃除のポイント
椀トラップやワントラップは、上から引き抜くだけで外せるものが多く、家庭でも掃除しやすい構造です。
裏側や側面にヘドロがつきやすいため、中性洗剤や重曹を使って丁寧にこすり洗いし、ぬめりを落とします。
ドラムトラップは、床下や点検口の中に収められていることがあり、構造が少し複雑です。
フタを外すときにパッキンやネジを傷めると漏水の原因になるため、無理をしないことが大切です。
手が届きにくい構造の場合は、表面の掃除にとどめ、内部の洗浄はプロに任せましょう。
元に戻すときの確認ポイント
掃除が終わったあとは、排水トラップを確実に元の位置へ戻します。
向きが決まっている部品もあるため、取り外す前にスマホで写真を撮っておくと安心です。
戻したあと、コップ数杯の水を静かに流し込み、封水がきちんと溜まるかどうかを確認します。
水面が安定していれば、トラップが正しく機能しているサインです。
このひと手間をかけておくと、「掃除したら逆に臭くなった」という事態を防ぎやすくなります。
換気扇が原因で臭うケース

お風呂の排水溝が臭いと感じたとき、原因をすべて配管だけに求めてしまうと、対策が遠回りになることがあります。
実は、換気扇の汚れや能力低下、運転の仕方が影響し、臭いがこもったり、封水が乱されたりする例も少なくありません。
- 換気扇の汚れによるカビ臭・ホコリ臭
- 吸い込み不足でこもった湿気の臭い
- 強すぎる換気による封水への影響
- 交換やクリーニングを検討するタイミング
浴室全体の空気の流れを意識すると、排水溝だけを掃除するよりも効率よく臭い対策が進みます。
換気扇の汚れによるカビ臭・ホコリ臭
長年掃除していない換気扇は、ホコリと湿気が混ざり合ってカビの温床になりやすくなります。
スイッチを入れるたびに、その臭いを浴室内に循環させてしまうこともあり、排水溝が原因だと勘違いされやすいポイントです。
カバーに黒ずみやホコリが目立つようなら、一度取り外して掃除をしてみてください。
中性洗剤でカバーを洗い、届く範囲でファンのホコリを取り除くだけでも、空気の清涼感が変わってきます。
吸い込み不足で湿気がこもる
換気扇の能力が落ちると、浴室内に湿気がこもり、カビ臭や生乾きのようなにおいが残りやすくなります。
排水溝の汚れに加え、床や壁のカビ、シャンプーボトルの底のヌメリなど、さまざまな臭いが混ざり合う状態です。
入浴後は、浴室の壁や床の水滴を軽く落とし、換気扇をしばらく回す習慣をつけると、全体の臭いが軽くなります。
それでも湿気が抜けにくいと感じる場合は、換気扇の交換や、窓を使った換気との併用を検討してもよいタイミングです。
換気扇の運転と封水のバランス
換気扇を強く回し過ぎると封水が引き上げられ、排水トラップの水位が下がってしまうことがあります。
とくにドアや窓を閉め切ったまま長時間運転すると、浴室内が強い負圧になり、封水に気泡が発生して臭いが溢れやすくなるのです。
入浴後しばらくの間は換気扇を使い、その後はドアを少し開けて自然換気に切り替えるなど、運転時間と強さのバランスを調整すると封水を守りやすくなります。
臭い対策では、「換気すればするほどよい」とは限らない点を意識しておきたいところです。
お風呂の排水溝の臭いを予防する方法

一度強い臭いを経験すると、「またあの臭いが出てきたらどうしよう」と不安になります。
日頃から少しだけ手をかけておくと、汚れと雑菌がたまりにくくなり、排水溝まわりのトラブルも起きづらくなります。
- 入浴のたびに髪の毛を取り除く
- 週に一度の簡単な掃除を習慣にする
- 定期的に重曹や塩素系漂白剤でリセットする
- 換気と乾燥を意識して湿気を残さない
- 排水トラップを正しく戻して封水を守る
- 防臭グッズは「補助」として活用する
完璧を目指す必要はありません。
無理なく続けられる範囲で習慣を決めておくと、嫌な臭いに悩まされる回数を着実に減らせます。
入浴後に髪の毛をこまめに捨てる
もっとも効果が大きい予防策は、髪の毛を貯めないことです。
入浴後にヘアキャッチャーの髪の毛をさっとつまんで捨てるだけでも、ヘドロのもとが減り、雑菌が増えにくくなります。
ティッシュやトイレットペーパーの上に髪の毛を集め、そのままゴミ箱へ捨てれば手間もほとんどかかりません。
たまってからまとめて取るよりも、少しずつ処理したほうが臭い対策としては効果的です。
週に一度の軽い掃除を習慣にする
週に一度、決まった曜日を「浴室のミニ掃除の日」と決めておくと、汚れがたまりにくくなります。
中性洗剤をスポンジにつけ、排水口まわりやトラップの表面をさっとこすり洗いし、ぬるま湯で流すだけで十分です。
このタイミングでヘアキャッチャーも一緒に洗っておくと、ぬめりや黒ずみがひどくなる前にリセットできます。
短時間で済む範囲の掃除でも、続けることで大きな差が出てきます。
重曹や塩素系漂白剤で定期的にリセットする
月に一度ほど、重曹+クエン酸や塩素系漂白剤を使って、排水溝まわりをリセットしておくと安心です。
普段の掃除で落とし切れない汚れや雑菌を、まとめて流してしまうイメージです。
重曹とクエン酸は、軽い臭いとヌメリの予防向き。
黒ずみが目立ってきたときや、生ごみのような臭いが気になり出したときは、塩素系漂白剤を使って強めに一掃するほうが効果を期待できます。
換気と乾燥を意識する
湿気が残ると、カビや雑菌の増殖が進み、排水溝の臭いも強まりやすくなります。
入浴後に浴室の壁や床の水滴をざっとシャワーで流し、可能であればスクイージーなどで水を切っておくと乾き方が変わります。
そのうえで換気扇を一定時間回す、または窓があれば開けて空気を入れ替えましょう。
乾きやすい環境をつくる習慣が身につくと、排水溝以外のカビやヌメリも出づらくなります。
排水トラップを正しく戻して封水を守る
掃除のたびに排水トラップを外す場合は、元に戻すときの位置と向きに注意が必要です。
しっかり奥まで差し込めていないと、すき間から臭いが漏れたり、封水の高さが崩れたりします。
正しい戻し方がわからなくなりそうな場合は、取り外す前に写真を撮っておきましょう。
戻したあとにコップ数杯の水を静かに流し込み、水が安定して溜まるかどうかを確認しておくと安心です。
防臭グッズは「補助」として使う
排水溝に置く消臭タブレットや、防臭キャップなどのグッズも役に立ちます。
ただし、根本的な汚れや配管トラブルを解決するものではないため、「掃除と換気」をしたうえで、補助的に取り入れるとよい位置づけです。
香りでごまかすだけの状態になると、トラブルの発見が遅れることもあります。
グッズを使うときも、「最近臭いが強くなっていないか」と時々様子を確かめておくと安全です。
自分で掃除しても臭いが消えない場合

排水トラップの掃除や洗剤でのケアを続けても、どうしても臭いが消えないことがあります。
こうしたときは、無理に強い薬剤を増やしたり、配管を分解したりせず、早めに専門家の力を借りたほうが結果的に負担が小さくなるケースも多いです。
- 掃除直後でも下水の臭いが戻ってくる
- 排水溝から頻繁に「ボコボコ」と音がする
- 封水がすぐ減る、トラップの破損が疑われる
- 配管の詰まりや逆流が起きている
- 建物全体の排水に問題がありそうなとき
自力で対処できる範囲と、プロに任せたほうがよい範囲を見極めると、余計な時間や費用を抑えやすくなります。
業者に依頼すべきサイン
次のような症状が続く場合は、水道工事業者やハウスクリーニング業者への相談を検討します。
- 排水溝の掃除をしても数日で強い臭いが戻る
- 複数の排水口で同時に下水臭がする
- 水を流すときに排水口から空気が吹き上がる
- トラップや配管まわりから水漏れが見える
これらは、配管内部の詰まりや勾配の問題、トラップの破損など、目に見えない部分に原因があるサインかもしれません。
個人の掃除で根本解決を目指すよりも、状況を説明して点検してもらったほうが確実です。
プロの高圧洗浄とは
排水管の内側にこびりついた汚れが原因の場合、プロが行う高圧洗浄が有効です。
専用のホースを配管の中に通し、水圧で汚れをはがしながら一気に流し出していきます。
家庭用洗剤では届かない範囲の汚れまで落とせるため、長年の蓄積による臭いにも対応できるのがポイント。
高圧洗浄後は配管が素の状態に近づくため、その後の予防掃除が効果を発揮しやすい点も利点です。
費用相場と作業の流れ
費用は、戸建てか集合住宅か、どこまでの配管を洗浄するかによって幅があります。
一般的には、一か所だけの簡単な洗浄よりも、浴室やキッチンなどまとめて依頼したほうが効率的です。
作業は、状況のヒアリングと点検から始まり、必要に応じて養生、洗浄、動作確認という流れで進みます。
所要時間は内容にもよりますが、浴室一か所であれば、点検を含めても半日以内で終わることが多い印象です。
賢く依頼するためのポイント
問い合わせの際には、これまでに行った掃除の内容や、臭いが強くなるタイミングを具体的に伝えましょう。
写真があれば、排水口やトラップまわりの状態も共有しておくと状況をつかんでもらいやすくなります。
複数の業者から見積もりを取りたい場合は、「どこまでの範囲を洗浄する予定か」「追加費用が出る条件」を確認して比較してください。
焦ってその場で決めるより、一度持ち帰って検討するほうが、納得できる選択につながります。
お風呂の排水溝の臭いに関するFAQ

ここからは、よくある疑問をQ&A形式でまとめます。
同じような悩みを抱える方が多いポイントなので、当てはまりそうな項目からチェックしてみてください。
Q. 重曹とクエン酸だけで臭いは取れる?
軽いヌメリやほのかな臭いであれば、重曹とクエン酸の組み合わせで十分なことも。
ただし、黒カビや強い腐敗臭が出ている段階では、塩素系漂白剤やプロの洗浄が必要になる場合もあります。
Q. ハイターとバイプユニッシュはどう使い分ければよい?
ハイターなどの塩素系漂白剤は、排水口まわりの雑菌やカビにぴったり。
一方、バイプユニッシュのようなパイプクリーナーは、配管の奥にこびりついた汚れを溶かす目的で使います。
目的に合わせて、使う場所と頻度を分けると効果的です。
Q. 雨の日だけお風呂が下水臭くなるのはなぜ?
雨天で気圧が下がると、下水管の中の空気が膨張し、排水トラップの水面付近まで押し上がることがあります。
封水が浅いと、そのタイミングで臭いが漏れてしまうのです。
封水の高さを確保し、普段から排水口まわりをきれいに保つことで軽減できる場合があります。
Q. 賃貸で排水溝が臭うとき、自分で業者を呼んでもいい?
賃貸では、共用配管や設備の不具合が原因のことも多いため、まずは管理会社や大家さんへ相談してください。
自己判断で業者を呼ぶと、費用負担の扱いでトラブルになることがあります。
日常的な掃除をしても改善しない場合は、その経緯もあわせて伝えましょう。
Q. パイプクリーナーを頻繁に使っても大丈夫?
説明書に記載された頻度を守る範囲であれば、定期的な使用は問題ありません。
ただし、毎日のように使うと、配管やパッキンに負担がかかるおそれがあります。
普段は中性洗剤や重曹での掃除を基本にし、月に一度程度のメンテナンスとして取り入れるほうが安心です。
Q. お風呂に入らない期間が長いときはどうしたらいい?
長期の旅行や単身赴任などで浴室を使わない期間が続くと、排水トラップの封水が減り、戻ったときに強い臭いが出ることがあります。
出発前に排水トラップに少し多めの水をためておく、帰宅後すぐに水を流して封水を復活させるといった対策が役に立ちます。
まとめ|原因を押さえて、無理のない対策を
お風呂の排水溝から漂う臭いは、封水の状態、髪の毛や皮脂の蓄積、配管内部の汚れ、換気や気圧の影響など、いくつかの要素が重なって生まれます。
どのパターンに当てはまるかを切り分けることで、やみくもな掃除から卒業しやすくなります。
まずは、排水トラップの確認と髪の毛の除去、排水口まわりの掃除、換気の見直しから始めてみてください。
それでも臭いが続くときは、重曹や塩素系漂白剤、パイプクリーナーを症状に合わせて使い分けます。
掃除と予防を続けても改善しない場合や、逆流・水漏れ・配管からの異音がある場合は、建物や配管の問題が隠れているかもしれません。
無理をせず、水道工事業者や管理会社に相談しながら、安心して使える浴室環境を整えていきましょう。
記事の監修者

島尻 博富士水道センター
水道工事や各種水回りの修理に従事して35年間。大規模修繕工事の計画~実施までの対応も可能。保有国家資格(給水装置工事主任技術者、一級管工事施工管理技士、一級建築配管技能士)。2023年1月25日放送 テレ朝スーパーJチャンネルで強烈寒波の報道に出演。












