
トイレの流れが悪いときの原因は?対処法と業者に修理依頼すべき基準

富士水道センター編集部
いつもより勢いが弱い、水量が足りないなど、トイレを流したときに違和感がある場合は、タンクや排水管などにトラブルが生じているかもしれません。放置すると便器から水があふれたり、汚水が逆流したりする恐れがあるため、原因に合わせて適切に対処することが大切です。
本記事では、トイレの流れが悪いときの原因や対処法を詳しく解説します。業者に相談すべきケースも紹介しているので、修理を依頼するときの参考にしてみてください。
目次
トイレの流れが悪くなる前兆・詰まっているサイン

トイレの流れが悪くなる寸前や、すでに何かが詰まっているときは、以下の異常が見られます。
- 水まわりで「コポコポ」や「ゴボゴボ」と音がする
- トイレから悪臭がする
- 水を流したあと水位が下がらない
それぞれの詳細を説明します。
水まわりで「コポコポ」や「ゴボゴボ」と音がする
排水管が詰まりかけているときは、「コポコポ」や「ゴボゴボ」などの異音が発生します。トイレだけでなく、キッチンや洗面台など水まわりのさまざまな箇所で聞こえることもあるでしょう。
排水管の詰まりを放置すると、汚水の逆流につながる恐れがあります。トイレの床が汚水まみれにならないよう、早めに業者に点検してもらいましょう。
トイレから悪臭がする
トイレから悪臭がする場合は、便器の排水口が詰まっており、封水が少なくなっていると考えられます。封水とは便器内に常にたまっている水のことで、下水の臭いや害虫の侵入を防ぐものです。
排水口が詰まっているとトイレの流れが悪くなるだけでなく、封水が減ってしまうため、悪臭の原因となるのです。
封水の水位が普段通りなのに悪臭がする場合は、排泄物が便器や排水管に残っているからかもしれません。排水管の汚れや詰まりにより、排泄物が流れにくくなっていると考えられるでしょう。
水を流したあと水位が下がらない
トイレの水を流しても便器内の水位が下がらない場合は、すでにトイレが詰まっていると考えられます。
水が通れる隙間があるうちは少しずつ水位が下がっていきますが、完全に詰まって隙間がなくなると、水がまったく流れなくなってしまいます。放置すると便器から水があふれてしまうので、トイレの使用を中止し、早めに業者に修理を依頼しましょう。
トイレの流れが悪い原因4つ

トイレの流れが悪い場合は、主に以下の4つが原因です。
- 水圧が足りない
- タンクの水が少ない
- 排水管が詰まっている
- 排水管の構造上仕方がない
それぞれの詳細を解説します。
水圧が足りない
水圧が低いと排泄物を流す力が足りず、水の流れが悪くなってしまいます。高台や2階以上の建物はとくに水圧が弱い傾向にあり、トイレットペーパーや排泄物が何度も詰まってしまうこともあります。
また、水洗レバーの「小」は水の量だけでなく圧力も少なくなってしまうので、いつも「小」を使うのではなく、排泄物の量に応じて適切な使い分けが必要です。
タンクの水が少ない
給水弁(給水バルブ)の部品の劣化や節水用品によりトイレタンクの水が少ないと、水の流れが悪くなってしまいます。
給水弁とは、トイレタンクへの水の供給をコントロールしている部品です。給水弁の開け閉めをする部品である浮き球が劣化していると、タンクへの水の供給が不安定になり、タンクの水が不足する原因になります。
また、タンク内に入れて使う節水用品も便器に流れる水の量を少なくしてしまいます。トイレの詰まりに発展する恐れがあるので、節水用品は基本的に使わないようにしましょう。
排水管が詰まっている
トイレットペーパーや排泄物、その他固形物などが排水管に詰まっていると、トイレの水が流れにくくなります。
排水管の詰まりを防ぐため、トイレットペーパーは一度に大量に流さず、多く使ったときは数回に分けて流すようにしましょう。一度に流せるトイレットペーパーの目安は、「大」で流す場合で5mほどです。
また、おもちゃやスマホ、アクセサリーなど、誤ってトイレに落としやすいものはトイレに持ち込まないようにしましょう。
排水管の構造上仕方がない

トイレの排水管には構造上詰まりやすくなっている部分があり、頻繁に詰まりが発生して水の流れを悪くしてしまうことがあります。
トイレの排水管は、下水からの逆流や悪臭などを防ぐためにカーブ状になっています。とくに、排水口の近くにある「せき」は急カーブになっているため、流す水の量や勢いが足りないと排泄物が通過できません。
通過できなかった排泄物が固まったり、蓄積されたりすると詰まりの原因になってしまいます。
また、集合住宅の場合は共有の排水管が上から下に通っており、階下で詰まりが発生すると上の階のトイレの水が流れにくくなることがあります。
【自分でできる】トイレの流れが悪いときの対処法6つ

トイレの流れが悪いときは、以下の6つの方法を試してみてください。
- タンクの水量を増やす
- 止水栓をしっかり開ける
- バケツで勢いよく水を流す
- ラバーカップで吸引する
- ワイヤー式トイレクリーナーで詰まりの原因を取り出す
- お湯やパイプクリーナーで詰まりの原因を溶かす
順番に方法を説明します。
タンクの水量を増やす
タンクの水量を増やすには、給水弁に付いている水位調節リンクを回すか、浮き球を新しいものに交換しましょう。
水位調節リングを反時計回りに回すと水量を増やせます。水位調節リングがないトイレの場合は、浮き球の交換が必要です。
浮き球の交換は難しい作業ではありませんが、サイズを間違えたり、誤ってタンク内のほかの部品を傷つけたりしやすいので、業者に依頼するのがオススメです。
止水栓をしっかり開ける

止水栓を反時計回りに回し、完全に開けるようにしましょう。
止水栓は便器周辺の壁や床にあり、給水管からトイレに供給する水をコントロールしています。止水栓が完全に開いていないと、十分な水量や水圧で排泄物などを流せません。
止水栓には、蛇口のように回せるタイプと、マイナスドライバーや硬貨で回すタイプがあります。どちらの場合も反時計回りで開くので、一度しっかり回してみましょう。
バケツで勢いよく水を流す
トイレットペーパーや排泄物など、本来流せるはずのものが詰まっているときはバケツで勢いよく水を流してみましょう。水圧による詰まりの解消が期待できます。
なるべく水圧を高くするため、高さをつけて勢いよく流し込んでください。便器内の水位が下がらないときは、給油ポンプやカップなどで水をくみ取ってから再度水を流し込みます。
数回繰り返したら、水洗レバーを回して水の流れが改善したか確かめてみましょう。
ラバーカップで吸引する

固形物の詰まりが原因で水の流れが悪いときは、ラバーカップ(スッポン)を使ってみましょう。ホームセンターにさまざまな形状やサイズのものが売っているので、ご自宅の便器の排水口に合うものを選んでください。
ラバーカップを使うときは、排水口に密着させてからゆっくり押し込み、限界まで押し込んだら一気に引き上げます。引き上げるときに水が飛び散ることがあるため、事前に床にビニールシートや新聞紙を敷いておきましょう。
ラバーカップのほか、真空式パイプクリーナーも吸引力による詰まりを解消できます。真空式パイプクリーナーはハンドルで簡単に操作できるので、ラバーカップの代わりに使ってもよいでしょう。
ワイヤー式トイレクリーナーで詰まりの原因を取り出す
ワイヤー式トイレクリーナー(ワイヤーブラシ)も詰まりの解消に役立ちます。
水に溶けるものが詰まっている場合は、ワイヤー式トイレクリーナーで詰まりの原因を砕くように押し引きしてみましょう。固形物が詰まっている際は、ワイヤー式トイレクリーナーに引っかけて取り出せないか試してみてください。
ただし、無理やり押し込むと排水管を傷つけてしまう可能性があるので、なかなか詰まりが解消できないときは別の方法に切り替えましょう。
お湯やパイプクリーナーで詰まりの原因を溶かす
50度程度のお湯や、市販の液体パイプクリーナーで詰まりを溶かせることもあります。熱湯だと便器にひびが入ってしまう恐れがあるので、沸騰したお湯ではなく、蛇口から50℃程度のお湯を出しましょう。数回流し込み、1時間程度放置してください。
パイプクリーナーは商品によって使い方が異なるので、商品に記載されている説明に沿って使いましょう。
パイプクリーナーのほか、重曹と酢を混ぜて発生する炭酸ガスで詰まりを溶かす方法もあります。重曹は50cc程度、酢は100cc程度を便器に入れて、泡が出てきたら1時間ほど放置してください。
トイレの流れが悪いときに業者を呼ぶ基準は?

以下の3つに当てはまるときは、状況が悪化しないようなるべく早めに業者に修理や点検を依頼しましょう。
- 水に流せるものの詰まりがなかなか解消できないとき
- 固形物の詰まりが原因のとき
- 流れが悪い原因がわからないとき
水に流せるものの詰まりがなかなか解消できないとき
トイレットペーパーや排泄物など、水に流せるものが詰まっている場合は、通常自然に溶けて詰まりが解消されます。しかし、お湯や液体パイプクリーナーなどを使っても詰まりが改善しないときは、排水管に異常があるかもしれません。
排水管にひびや変形があると水漏れや逆流などに発展してしまう可能性があるので、早めに業者に点検してもらいましょう。
固形物の詰まりが原因のとき
詰まりの原因が固形物の場合、個人で取り出すのは困難です。排水口の近くに詰まっているときはラバーカップで取り出せることもありますが、奥に入ってしまった場合、専用の道具がないと基本的に取り出せません。便器の取り外しが必要なときもあります。
詰まりの解消が難しいほど修理費用も高くなる傾向があるので、奥に入り込んでしまわないうちに業者に連絡しましょう。
流れが悪い原因がわからないとき
なぜトイレの流れが悪いのか不明なときは、業者に相談するのがオススメです。流れが悪い原因がわからず、どのような対処法を試せばいいのかもわからない場合でも、プロが点検すればすぐに解決する可能性があります。
とくに排水枡(ます)や排水管などの異常は、プロでないと気づきにくい部分です。便器の水が流れていかない、水位が下がらないなどのトラブルがあるときは、まずはトイレの点検を依頼してみましょう。
トイレの流れが悪いときの水道修理業者の選び方
トイレの流れが悪いときは、以下の基準に沿って修理を依頼する業者を選びましょう。
- 見積料や出張料は無料か
- 水道局指定工事店か
- アフターフォローはあるか
- 説明は丁寧か
それぞれのポイントを詳しく解説します。
見積料や出張料は無料か
見積料や出張料が無料の業者を選びましょう。
作業自体の金額が安い場合でも、見積料や出張料があると合計が高くなってしまいます。簡単な点検だけで済んだにもかかわらず、高額な出張料を請求されてしまうかもしれません。とくに深夜や早朝は出張料が高くなることがあるため、よく確認が必要です。
作業自体の金額だけなく、見積料や出張料もチェックしてから依頼しましょう。
水道局指定工事店か
信頼できる業者に依頼するには、水道局指定工事店を選びましょう。
水道局指定工事店とは、各自治体の水道局が指定する基準をクリアし、十分な技術力を持って正当に営業していると認められた業者です。
水道局指定工事店であれば、トイレの修理に関する技術力や知識がある程度保証されています。各水道修理業者のホームページや、自治体が公開している指定業者の一覧を確認してみましょう。
アフターフォローはあるか
アフターフォローの有無や内容も確認しましょう。
アフターフォローがしっかりしている業者であれば、修理後に異常が出た場合、無料で再施工してくれます。
説明は丁寧か
業者に見積もりをしてもらうときは、金額だけでなく説明が丁寧かどうかもチェックしましょう。
あえて複雑に説明をして料金をごまかしたり、不要な作業を見積もりに入れたりする業者もいます。
作業内容の説明や見積もりについて不明な点があれば、遠慮なく質問してみてください。説明に納得のいかない部分があれば、見積もりのみで終了しても構いません。あらためて別の業者に見積もりを依頼してみましょう。
トイレの流れが悪いときは水圧やタンクの水をチェックしてみよう

トイレの流れが悪いときは、水圧や水量、排水管に異常が生じていると考えられます。水量の増やし方や詰まりの解消方法は、今回紹介した対処法を参考にしてみてください。
記事の監修者

島尻 博富士水道センター
水道工事や各種水回りの修理に従事して35年間。大規模修繕工事の計画~実施までの対応も可能。保有国家資格(給水装置工事主任技術者、一級管工事施工管理技士、一級建築配管技能士)。2023年1月25日放送 テレ朝スーパーJチャンネルで強烈寒波の報道に出演。