
トイレの配管の詰まりの原因は?直し方や注意点を徹底解説

富士水道センター編集部
トイレの配管がつまってしまうと、異音や悪臭、水漏れの原因となります。つまりが悪化しないうちに、適切な方法で解消することが大切です。
この記事では、トイレの配管のつまりの原因や対処法を詳しく解説します。トイレの配管がつまりやすい理由も説明しているので、つまりの解消や予防の参考にしてみてください。
目次
トイレの配管の構造|つまりが発生する場所は?

トイレの配管は、給水管と排水管で構成されています。
給水管とは、水道水をトイレのタンクに供給するための配管です。便器周辺の壁や床にある水道管とつながっています。止水栓やタンクから水漏れが発生しているときは、給水管のつまりが原因になっていることがあります。
排水管とは、便器内の水を下水道に流すための配管です。トイレの排水管は汚水管とも呼ばれています。排水管は便器とつながっており、排泄物やトイレットペーパー、異物が原因でつまってしまうことがあります。
トイレの配管がつまっているサイン

トイレの配管がつまっているときは、以下の症状がよく見られます。
- 水を流すと水位が増す
- 異音がする
- 悪臭がある
水を流すと水位が増す
トイレの水を流すと水位が増してしまう場合、異物や排泄物がつまっている可能性が考えられます。
水洗レバーを回して水を流すと、通常は排水管から汚水が下水道に流れるため、いったん水位が下がります。しかし、排水管がつまっている場合は汚水が流れていかないため、水位が下がりません。タンクから新しく供給された水と混ざり、逆に水位が上がってしまうのです。
水位が通常よりも増しているまま放置していると、便器から水があふれたり、逆流したりするおそれがあります。
異音がする
「ゴボゴボ」や「コポコポ」 と便器の中から異音が聞こえる場合は、排水管がつまり始めていると推測されます。
大量のトイレットペーパーや異物を流してしまったことにより、便器の奥や排水管の手前でつまりが生じているかもしれません。なお、便器下の床のほうから異音がする場合はすでに排水管にトラブルが起きている可能性が高いため、早めに業者を呼びましょう。
トイレの配管のつまりの原因5つ

トイレの配管のつまりは、主に以下の5つが原因で発生します。
- トイレットペーパーを一度に大量に流した
- 異物を流してしまった
- 尿石が固まっている
- 配管が劣化している
- 雨水が流れ込んでいる
トイレットペーパーを一度に大量に流した
通常は問題なく流せるはずのトイレットペーパーも、一度に大量に流すとつまってしまうことがあります。
一度に流せるトイレットペーパーの目安は、「大」で流す場合で5m程度です。トイレの水圧や排泄物の量次第では、5mより少なくてもつまってしまうこともあります。
いつもより多めにトイレットペーパーを使うときは、数回に分けて流すように気をつけましょう。
異物を流してしまった
トイレットペーパーや排泄物以外のものを流してしまうと、便器や排水管で配管がつまってしまいます。
誤ってトイレに流してしまいやすいものには、以下が挙げられます。
- 生理用ナプキン
- おむつ
- ティッシュペーパー
- 食べ残し
- 猫砂
- 子どものおもちゃ
- スマホ
- アクセサリー
水に流せるおしりふきや掃除シートもつまりの原因となることがあるので、トイレに流さずゴミ箱に捨てるのがオススメです。
尿石が固まっている
尿石を放置していると、便器や排水管内の雑菌やゴミとくっついてつまりの原因になります。小さな尿石でも、排水管の水の流れを妨げることになり、トイレットペーパーや排泄物でつまってしまいます。
尿石はアルカリ性のため、同じアルカリ性の洗剤だけでは落としきれません。酸性の洗剤を一度も使ったことがない場合は、すでに尿石が大きくなっているかもしれません。酸性の洗剤か、尿石専用洗剤を使って掃除しましょう。
配管が劣化している
配管が劣化している場合、配管のずれや変形によりつまりが発生することもあります。トイレットペーパーや排泄物が流れにくくなっているため、使用しているうちに徐々につまりが悪化してしまいます。
配管の劣化スピードを遅くするには、定期的なメンテナンスが大切です。パイプクリーナーで掃除したり、業者に点検してもらったりしましょう。
すでに配管にひびや変形がある場合は、個人での修理は困難です。業者に修理をお願いしましょう。
雨水が流れ込んでいる
排水桝(ます)に雨水が流れ込み、泥や落ち葉などが入ってしまうと、トイレの配管が逆流しつまりのような症状が出ることがあります。
大雨により一時的に逆流することもあるので、雨が落ち着いてしばらくしてからも逆流が続く場合は、業者にチェックしてもらいましょう。
排水桝は屋外にあり、排水管のメンテナンスができるようになっています。主に業者が使用する部分なので、普段から清潔にしている家庭は少ないかもしれません。自分でのメンテナンスが難しい場合は、定期的に専門業者に洗浄をお願いするとよいでしょう。
トイレの配管がつまりやすい理由とは?

トイレの配管がつまりやすいのは、主に以下の3つが起因しています。
- 配管の構造上つまりやすい
- 水圧が低い
- 水の量が少ない
配管の構造上つまりやすい

トイレの配管には、構造上どうしてもつまりやすい部分が存在します。
トイレの配管は、逆流や下水の臭い、害虫の侵入などを防ぐためにカーブ状になっています。「せき」はとくに急カーブになっているため、流す水の量や勢いが足りなかったり、トイレットペーパーの量が多かったりすると、カーブを乗り越えられずつまってしまうのです。
せきは2カ所あり、奥のせきでつまってしまうと自力で解決するのは難しいでしょう。つまりの原因が配管の奥に入り込んでしまわないよう、早めに業者に連絡するのがオススメです。
水圧が低い
高台や2階以上にある水道は水圧が低い傾向にあり、トイレを流す水の勢いが弱いため頻繁につまってしまうことがあります。
とくにタンクレストイレは水圧が足りないと排泄物を流しきれず、つまりを引き起こしてしまいます。
もともと水道の水圧が低い場合は、自力では解決できません。水道修理業者や水まわりの施工業者など、水道のプロに相談してみましょう。
水の量が少ない
普段から排泄物を流す水の量が少ないと、流しきれなかった排泄物やトイレットペーパーが配管内で蓄積され、いずれつまりを引き起こしてしまいます。
節水のためにタンクにペットボトルや専用の道具を入れている場合や、いつも「小」で流している場合は注意が必要です。
トイレがつまってしまうと、節約できた水道代よりも修理代のほうが高くなってしまうかもしれません。節水用品は基本的に使わず、流す水の量も適切に使い分けましょう。
トイレの配管のつまりの直し方5選

ここからは、トイレの配管のつまりの直し方を5つ紹介します。
- 薬品を使う
- ラバーカップ(スッポン)を使う
- ワイヤーブラシを使う
- 高圧洗浄する
- トイレを買い替える
薬品を使う
つまりの原因に合わせて専用の薬品を使用しましょう。
トイレットペーパーや排泄物がつまっている場合はアルカリ性、尿石がつまっている場合は酸性のパイプクリーナーを便器に入れてください。
軽度なつまりなら50℃程度のお湯や、食器用の中性洗剤でも解決できることがあります。
生理用ナプキンやおむつ、スマホなど、水に溶けない固形物がつまっている場合は薬品では解決できません。手の届かない範囲に固形物がつまっているときは、業者に相談しましょう。
ラバーカップ(すっぽん)を使う
ラバーカップ(すっぽん)は、トイレのつまりを解消するための専用道具で、ホームセンターで購入できます。
ラバーカップは、以下の手順で使用します。
- 便器内の水が通る穴(排水口)に密着させる
- ゆっくり限界まで押し込む
- 一気に引きあげる
- 1~3を数回くり返す
ラバーカップは真空圧力によりつまりを解消するので、最初に排水口にしっかり密着させることが大切です。
ラバーカップでは圧力が足りない場合は、真空式パイプクリーナーを使ってみましょう。ハンドルを押したり引いたりすることで、ラバーカップよりも強い力で吸引できます。
ワイヤーブラシを使う
トイレットペーパーや排泄物がつまっている場合は、ワイヤーブラシも有効です。
ワイヤーブラシを便器の奥に入れ、何度か出し入れしながらつまりを砕けないか試してみましょう。固形物がつまっている場合は、ワイヤーブラシに引っかけて取り出せることもあります。
数回試してもつまりが解消できない場合は、作業を続けず業者を呼びましょう。ムリに作業を続けると、配管を傷つけてしまいます。
高圧洗浄する
薬品やラバーカップ、ワイヤーブラシなどで解消できないつまりは、高圧洗浄を実施しましょう。
外壁や車の洗浄用に家庭用の高圧洗浄機も販売されていますが、水圧が強すぎて配管を破損や劣化させてしまうリスクがあるので、業者に専用の機械で実施してもらうほうが安心です。
高圧洗浄なら配管の頑固な汚れもきれいにできます。つまりだけでなく悪臭の予防にもなるので、定期的なメンテナンスとして実施してもよいでしょう。
トイレを買い替える
経年劣化により配管にトラブルが生じている場合は、トイレを丸ごと買い替えたほうがよいこともあります。
設置から10年以上経っているトイレは、経年劣化により頻繁につまりが生じてしまうことがあります。何度修理してもすぐにつまってしまう場合は、買い替えを検討してみましょう。
最新のトイレに交換することで、メンテナンスも楽になるはずです。
トイレの配管のつまりを直すときの注意点

トイレの配管のつまりを直すときは、以下に注意しましょう。
- 最初に止水栓を閉める
- 電源プラグを抜いておく
- 薬品を使うときは換気をする
- つまりの原因がわからないときは自分で対処しない
最初に止水栓を閉める

作業中の水漏れを防ぐため、修理を始める前に止水栓を閉めましょう。
止水栓とは、トイレの水を調整している元栓です。作業中に誤って水栓レバーやボタンに触れてしまい、水漏れしてしまうことがあるので、作業前に止水栓を閉めておくことが大切です。
止水栓は一般的に便器のうしろの壁や床に設置されています。止水栓は2種類あり、蛇口のようなハンドルが付いていて素手で回せるタイプと、マイナスドライバーや硬貨などで操作するタイプがあります。
どちらのタイプも、止水栓を閉めるには時計回り、開けるには反時計回りに操作しましょう。
電源プラグを抜いておく
感電予防のため、温水洗浄便座の電源プラグは抜いておきましょう。
便器の水がはねてしまったり、濡れた手で電源プラグを触ったりすると感電のおそれがあり危険です。また、電源の入れっぱなしは作業中に誤作動を起こす原因にもなります。
感電の予防のため、ゴム手袋をしてから電源プラグを抜き、濡れない高い位置に置いておきましょう。
薬品を使うときは換気をする
つまりの解消に薬品を使う場合は、薬品のにおいやガスが充満しないよう、必ず換気をしましょう。
とくに、酸性の薬品と塩素系の薬品を混ぜると有害ガスが発生し危険です。ラベルに「混ぜるな危険」と記載されている薬品を使う場合は、扱いに十分注意してください。
薬品によっては強いにおいが発生することもあります。窓を開けたり換気扇を回したりして、換気をよくしましょう。
つまりの原因がわからないときは自分で対処しない
つまりの原因がわからないときは、自分で対処せず速やかに業者に連絡しましょう。
何がつまっているのかわからずに自分であれこれ対処法を試していると、知らぬ間につまりを悪化させてしまうリスクがあります。
トイレの配管がつまったら早めに対処を

トイレの配管がつまったときは、つまりの原因に合わせて薬品やラバーカップ、ワイヤーブラシを試してみてください。
なかなかつまりが解決できないときは、つまりが悪化しないうちに業者に修理を依頼しましょう。
記事の監修者

島尻 博富士水道センター
水道工事や各種水回りの修理に従事して35年間。大規模修繕工事の計画~実施までの対応も可能。保有国家資格(給水装置工事主任技術者、一級管工事施工管理技士、一級建築配管技能士)。2023年1月25日放送 テレ朝スーパーJチャンネルで強烈寒波の報道に出演。