
【配管の洗浄で“見えない汚れ”をリセット】つまり・悪臭・逆流を防ぐための完全ガイド
水のトラブル
更新日 : 2025年12月04日

富士水道センター編集部
毎日ふつうに暮らしているだけでも、家の配管の中には少しずつ汚れが溜まっていきます。
キッチンの油、浴室の皮脂汚れ、トイレの尿石などが積み重なると、ある日突然「水が流れない」「下水のような臭いがする」といったトラブルにつながります。
・配管の洗浄(配管洗浄)とは何をする作業か
・自分でできる配管洗浄と、業者に任せたほうがいいケース
・高圧洗浄など専門的な洗浄方法と費用の目安
・トラブルを防ぐための予防とメンテナンスのコツ
こうしたポイントを押さえておくと、急なトラブルを避けやすくなり、建物も長く良い状態で使えます。
この記事では「配管の洗浄」というテーマを、初めての方にも分かりやすいよう、順番に整理して解説していきます。
目次
配管の洗浄とは?基本の仕組みと必要性
配管洗浄とは、建物の中や外を通っている排水配管の内側に付着した汚れを落とし、流れや臭いを改善する作業です。
排水口付近だけでなく、床下や地中の配管内部まで洗浄することで、本来の流れを取り戻します。
配管は、人体でいう血管のようなもの。
見えないところでゆっくりと汚れが蓄積し、限界を超えたタイミングで「詰まり」「逆流」「悪臭」といった症状となって現れます。
配管が汚れやすい理由
家庭内の排水には、次のような性質があります。
| 場所 | 主な汚れ |
|---|---|
| キッチン | 油脂、食器カス、洗剤の成分 |
| 風呂・洗面所 | 皮脂、石鹸カス、髪の毛 |
| トイレ | 尿石、トイレットペーパー、洗浄剤の成分 |
これらが配管の内側に少しずつ付着し、冷えて固まり、やがて分厚い汚れの層になっていきます。
表面がデコボコになると、そこに新しい汚れが引っかかり、悪循環が進みやすい状態になります。
放置すると起きるトラブル
配管内部の汚れを放置すると、次のようなトラブルにつながりやすくなります。
- 排水が流れにくくなる
- 下水のような臭いがする
- ボコボコと異音が出る
- 水が逆流して床が濡れる
- 最悪の場合、漏水や配管破損に発展する
「最近なんとなく臭う」「ときどき流れが悪い」という段階で洗浄しておくと、大きな被害を防ぎやすくなります。
「配管洗浄」と「排水管清掃」の違い
配管洗浄と排水管清掃という言葉があります。
言い方は地域や業者によってさまざまですが、おおまかなイメージは次の通りです。
- 配管洗浄:配管内部の汚れを水流や薬剤で落とす作業
- 排水管清掃:上記に加え、排水桝の汚泥除去や周辺清掃まで含む場合が多い
どちらも「配管の中をきれいにする」という目的は同じなので、メニュー名よりも、どこまで作業してくれるのかを確認したほうが安心できます。
配管の洗浄が必要になるサイン
トラブルが大きくなる前に、早めに気づくことが肝心です。
次のようなサインを感じたら、一度配管洗浄を検討するとよいでしょう。
- 悪臭が続く
- 流れが悪い・ボコボコ音がする
- シンク下から水があふれる・にじむ
- 外の排水桝に汚れが溜まっている
- マンションで定期清掃がある理由
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
悪臭が続く
- 排水口付近から、下水のような臭いが上がってくる
- 消臭剤やこまめな掃除では、すぐに臭いが戻ってしまう
このような場合は、配管の奥に汚れが蓄積している可能性あります。
臭いの原因が見えない場所にあるため、排水口だけを掃除しても根本的な解決につながりにくいのが特徴です。
流れが悪い・ボコボコ音がする
次のような症状が現れた場合は要注意です。
- 水を流したとき、排水口付近で「ボコボコ」と音がする
- 以前より、水が流れきるまでに時間がかかる
配管内のどこかが細くなり、空気や水がスムーズに流れていない状態です。
そのまま使用を続けると、ある日突然まったく流れなくなるリスクが高まります。
シンク下から水があふれる・にじむ
シンク下に水がにじんでいる場合は、修繕が必要なことがあります。
- キッチンのシンク下が濡れている
- 排水ホースの接続部から水がにじむ
配管が詰まり気味のまま使い続けると、接続部から水が漏れ出すことがあります。
洗浄で改善するケースもあれば、部品交換や補修が必要になる場合もあるため、早めの確認が大切です。
外の排水桝に汚れが溜まっている

一戸建ての場合、屋外に「排水桝(はいすいます)」が設置されています。
ふたを開けるとドロドロになったヘドロのようなものがありますが、これが配管から流れてきた汚れです。
- 白く固まった油の塊
- 悪臭のするヘドロ状の汚泥
こうしたものがいっぱいになっている場合、配管内部にも汚れが広がっていると考えられます。
マンションで定期清掃がある理由
マンションでは、年に一度ほど配管洗浄の案内が配られることがよくあります。
これは、各家庭からの排水が1本の共用配管に集まるため、ひとつの部屋の使い方が全体のトラブルにつながりやすいからです。
「今は困っていないから」と断り続けると、のちのち自宅だけ流れが悪くなるケースもあるので、できる限り参加しましょう。
自分でできる配管洗浄の方法(応急処置)
軽度の汚れや、初期のつまりであれば、自分でできる範囲の配管洗浄で改善することがあります。
ただし、無理をすると配管や設備を傷めるおそれがあるため、様子を見ながら慎重に行うことが大切です。
重曹×クエン酸を使う方法
キッチンや洗面所、浴室の排水口まわりなど、軽いぬめりや臭いが気になる場合に使いやすい方法です。
- 排水口のゴミを取り除く
- 重曹を排水口にふりかける
- クエン酸(または酢)を溶かしたぬるま湯を注ぐ
- しばらく置いてから、水で流す
発泡によって汚れが浮き上がり、ぬめりや臭いの軽減が期待できます。
ただし、固くこびりついた油や尿石を完全に落とすほどの力はないため、あくまで日常のお手入れとして活用してみてください。
市販のパイプクリーナー(液体)
ドラッグストアなどで販売されているパイプクリーナー(パイプユニッシュ等)は、配管内の汚れを化学的に分解する薬剤です。
説明書どおりの時間と使用量を守れば、軽めのつまりや臭いに対して一定の効果が期待できます。
- 規定量を排水口に流し込む
- 指定時間放置する
- たっぷりの水で洗い流す
この流れが基本です。
長時間放置しすぎたり、多量に使用したりすると、配管や器具に負担をかける可能性があるため注意が必要になります。
ワイヤーブラシ・パイプクリーナー(ワイヤー式)
S字トラップの奥や、排水口近くに溜まった髪の毛を取り除きたいときに便利な道具です。
- 排水口のふたやゴミ受けを外す
- ワイヤーを少しずつ差し込み、引っかかった汚れをかき出す
- 最後に水を流して、残りカスを洗い流す
物理的に汚れを引きずり出すため、強い薬剤を使いたくない場所に向いています。
ただし、力を入れすぎると配管や部品を傷めるおそれがあるので、慎重に扱う必要があります。
ポンプ式クリーナー(ラバーカップ以外の専用器具)
トイレ以外にも、シンクや浴槽の排水口向けにポンプ式の真空クリーナーが販売されています。
吸引と圧力を繰り返し加えることで、詰まりを動かし、流れを回復させる道具です。
キッチンの油汚れなどには効きにくいものの、「髪の毛+石鹸カス」が詰まった浴室の排水などでは効果が期待できます。
外の排水桝の清掃
一戸建てであれば、外の排水桝を自分で掃除すると、配管全体の負担を軽くできる場合があります。
- ゴム手袋や長靴を用意する
- 桝のふたを開け、ヘドロ状の汚れをバケツに移す
- 取り除いたあと、水で軽く洗い流す
悪臭や見た目のインパクトが強い作業ですが、定期的に行うことで配管トラブルの予防につながります。
やってはいけないNG行為
配管洗浄のつもりでやってしまいがちですが、トラブルの原因になりやすい行為もあります。
- 100℃に近い熱湯を大量に流す
- 市販薬剤を何種類も混ぜて使う
- ワイヤーを無理に押し込み、配管を傷つける
- 詰まりがひどいのに、何度も水を流し続ける
これらは、配管の変形や破損、薬剤の反応による有毒ガスの発生などにつながるおそれがあります。
不安を感じたら、無理を続けるよりも、早めに専門業者へ相談したほうが安全です。
業者による配管洗浄の方法
自分での対処では改善しないときや、建物全体の配管をまとめて洗浄したいときは、専門業者へ依頼しましょう。
ここでは代表的な洗浄方法を紹介します。
高圧洗浄
もっとも一般的な配管洗浄の方法です。
高圧の水をホースから噴射し、配管の内側に付着した汚れを一気に削り取っていきます。
- 外の排水桝からホースを差し込む
- 配管内を少しずつ進ませながら、汚れをそぎ落とす
- 流れてきた汚れを桝で回収する
薬剤を使わず水の力で洗浄するため、環境や配管への負担を抑えながら、しっかり汚れを落とせる点が大きな特徴です。
ロッド工法
配管内に固くこびりついた汚れや、異物のようなかたまりが詰まっている場合に用いられる方法です。
金属や樹脂でできたロッドを押し進め、物理的に詰まりを崩したうえで、高圧洗浄を行うこともあります。
配管の形状や材質によっては使用できない場合もあるため、現場での判断が重要です。
薬剤洗浄
業務用の薬剤を使い、配管内部の油脂やスケールを溶かす方法です。
高圧洗浄だけでは落とし切れない汚れに対して、補助的に使われることがあります。
扱いには資格や知識が必要な場合もあるため、自己判断で同じものを使おうとせず、プロに任せたほうが安全です。
カメラ調査とセットで行う場合
配管の破損や勾配不良が疑われるケースでは、洗浄の前後に「配管カメラ調査」を行うことがあります。
- 汚れの状態や詰まりの位置を事前に確認
- 洗浄後に、どこまで改善したかをチェック
このように、「原因の特定」と「改善の確認」の両方を行えるため、根本的なトラブル解消に役立ちます。
屋内配管と屋外配管の違い
同じ配管洗浄でも、屋内と屋外では作業方法や難易度が変わってきます。
- 屋外:排水桝からホースを挿入しやすく、比較的作業しやすい
- 屋内:配管の取り回しが複雑で、カメラやワイヤーを併用するケースがある
一戸建て・マンション・店舗など、建物の構造によってもアプローチが変わるため、事前の現地調査が非常に重要です。
配管洗浄の費用相場
ここでは、おおまかな費用の目安を整理しておきます。
実際の金額は建物の規模や配管の状態、地域などによって変わるため、参考としてみてください。
| 作業内容 | 料金相場 |
|---|---|
| 配管つまり解消(薬剤) | 5,000〜10,000円 |
| 配管つまり解消(ローポンプ) | 8,000〜15,000円 |
| 配管つまり解消(トーラー) | 15,000〜45,000円 |
| 配管つまり解消(高圧洗浄) | 30,000〜60,000円 |
なお、次のような条件があると、追加料金が必要になることがあります。
- 深夜・早朝など時間外の対応
- 高所や狭所など、特殊な足場が必要な現場
- 詰まりがひどく、時間を要する作業
- 配管や部品の交換をともなうケース
場所別の配管洗浄方法と特徴
同じ配管洗浄でも、場所によって汚れの性質や対処法が変わります。
ここでは代表的な場所ごとのポイントを整理します。
キッチンの配管
キッチンは、配管汚れがもっとも溜まりやすい場所です。
- 油脂が冷えて固まり、配管内に層を作る
- 食品カスが引っかかり、悪臭やつまりの原因になる
自分でできるケアとしては、油をそのまま流さないことが何より重要です。
業者による高圧洗浄を定期的に行うことで、大きなトラブルを避けやすくなります。
お風呂・洗面所の配管
浴室や洗面所では、髪の毛と石鹸カスの組み合わせが定番の汚れです。
- 排水口にヘアキャッチャーを設置する
- 定期的にゴミを取り除く
こうした日常のひと手間で、配管への負担をかなり軽減できます。
それでも長年蓄積した汚れには、高圧洗浄が効果を発揮します。
トイレの排水
トイレ配管は、尿石やトイレットペーパーの溶け残りが原因で詰まりやすくなります。
- トイレットペーパー以外の紙類は流さない
- 芯やおしりふきなどは必ずゴミ箱へ
軽い詰まりであればラバーカップで改善する場合もありますが、繰り返すようであれば、業者による洗浄や調査を検討したほうが安心です。
洗濯機まわり
洗濯機の排水ホースや防水パンまわりも、見えないところで汚れが溜まりやすくなります。
- 糸くずフィルターに溜まったゴミ
- 洗剤カスや柔軟剤の残り
これらが配管内に流れ込むと、ぬめりや臭いの原因になります。
定期的にフィルターや排水口周辺を掃除し、異臭や逆流があれば早めに対処することが大切です。
屋外(排水桝・汚水桝)
屋外の排水桝は、家中の排水が集まるポイントです。
- キッチンから流れてきた油
- お風呂や洗面所の汚れ
- 雨水や泥
こうしたものが混ざり合い、ヘドロ状の汚れになります。
ここを定期的に清掃しておくと、配管全体のトラブル防止に大きく貢献します。
雨どい(排水管)との違い
雨どいも「配管」の一種ですが、取り扱うのは雨水のみです。
葉っぱや砂、鳥の巣などが詰まりの原因になるため、配管洗浄というよりも、清掃や点検に近いメンテナンスが必要になります。
定期的な配管洗浄が必要な理由
配管は一度きれいにして終わりではなく、生活を続けている限り、再び汚れが溜まっていきます。
そのため、定期的な配管洗浄やチェックがとても重要です。
油脂汚れは固まるスピードが速い
キッチンから流れ出た油は、配管の途中で冷えて固まり、短期間で層を作ります。
とくに冬場は固まりやすく、トラブルも増えがちです。
日々の使い方を工夫しつつ、年に一度程度の洗浄を取り入れると、安心して使い続けやすくなります。
築年数による劣化
築年数が古くなるほど、配管の内側は劣化や汚れの蓄積が進みます。
- 錆びによる内径の減少
- 継ぎ目部分の段差
こうした要因も、汚れの付着を加速させる原因です。
配管洗浄とあわせて、必要に応じて補修や交換の検討が必要になる場合もあります。
マンションで法定清掃が行われる理由
マンションによっては、管理規約や法令に基づき、年1回前後の配管清掃が実施されます。
これは、建物全体として排水機能を守るための大切なメンテナンスです。
個々の部屋の判断だけでなく、建物全体の資産価値を守る目的もあるため、できるだけ協力したほうが長い目で見てプラスになります。
「予防清掃」と「緊急清掃」の違い
- 予防清掃:トラブルが起きる前に行う計画的な洗浄
- 緊急清掃:詰まりや逆流など、症状が出たあとに行う対応
予防清掃のほうが、費用も時間も抑えやすくなり、精神的な負担も軽く済みます。
「今は問題ないから」と先延ばしにすると、かえって大きな出費につながりかねません。
こんなときは業者に依頼すべき
自分での対処か、業者への配管洗浄依頼かを判断する目安を整理します。
何度洗浄しても流れが改善しない
市販の薬剤やラバーカップなどを使っても、すぐ詰まりが再発する場合、配管の奥で大きな汚れの塊ができている可能性があります。
この段階では、高圧洗浄やカメラ調査など、専門的な対応が必要です。
外の桝に汚れが溜まりすぎている
排水桝の汚れがあふれそうになっている場合、配管内部もかなり汚れていると考えられます。
汚れが固まり過ぎると、自力での清掃は難しくなり、プロの手を借りたほうがスムーズです。
高圧洗浄の経験がない
高圧洗浄機を自前で用意しても、適切な圧力やノズルの使い方を誤ると、配管を傷つける危険があります。
建物の構造や配管の材質に合わせた調整が求められるため、一般家庭では業者へ任せたほうが安全です。
悪臭が強くなる一方
配管洗浄を試しても、悪臭がむしろ強くなっていく場合、配管の破損や勾配不良など、別のトラブルが隠れているかもしれません。
洗浄だけでなく、配管全体の状況を調べる必要があります。
水がまったく流れない・逆流している
完全に詰まってしまった状態では、水を流すほど状況が悪化するおそれがあります。
早急に専門業者へ連絡し、水を流すのをいったん止めることが重要です。
配管洗浄の業者選びのポイント
同じ「配管洗浄」と広告されていても、サービス内容や料金体系には大きな差があります。
トラブルを避けるために、次のポイントをチェックしておきましょう。
- 基本料金
- 出張費
- 作業料金(高圧洗浄・カメラ調査など)
- 追加料金がかかる条件
これらが事前に分かるかどうかが大切です。
桝の数や配管の長さを確認してくれるか
現地調査の際、排水桝の位置や数、配管の構造を丁寧に確認する業者は、作業の精度にも期待が持てます。
逆に、ほとんど確認せずに金額だけ口頭で伝えてくる場合は、注意が必要になってきます。
追加料金の説明があるか
作業中に想定外の状況が見つかることもあります。
その際、「どこからが追加料金になるのか」「事前に相談してくれるのか」を確認しておくと、後のトラブルを防ぎやすくなります。
実績や口コミ
公式サイトの施工事例や、利用者の口コミなども参考材料になります。
ただし、口コミだけで完全には判断できないため、あくまでひとつの指標として捉えるとバランスが取りやすくなります。
作業後の説明の丁寧さ
配管洗浄後に、
- どのような汚れが出てきたか
- どのあたりがとくにひどかったか
- 今後の予防方法
こうした点を具体的に説明してくれる業者は、トラブルの再発防止にも力を入れていると考えられます。
よくあるトラブルと対処法
配管洗浄の現場でよく見られるトラブルと、その背景を簡単に紹介します。
油の固まりが原因で高圧洗浄でも落ちない
長年蓄積した油脂汚れが石のように固まっている場合、高圧洗浄だけでは完全に除去できないケースもあります。
その場合、ロッド工法や薬剤洗浄、場合によっては配管の一部交換が必要になることもあります。
木の根が入り込んでいる
屋外配管の継ぎ目から木の根が入り込み、内部をふさいでしまうケースもあります。
根をカットしても、元から断たなければまた伸びてくるため、継続的な対策が求められます。
勾配不良や配管のたるみ
本来、排水配管は「わずかな下り勾配」が付けられています。
施工不良や地盤の沈下などで勾配が狂うと、水が溜まりやすくなり、汚れも蓄積しやすくなります。
この場合は洗浄だけでなく、配管のやり直しが必要になるケースもあります。
排水桝の位置が分からない
古い住宅では、庭がリフォームされるなどして排水桝の位置が分からなくなっていることがあります。
地中探査や図面確認を行い、位置を特定したうえで洗浄を進める必要があります。
高圧洗浄で水が室内に逆流する
配管の詰まりがひどい状態で高圧洗浄を行うと、行き場を失った水が室内側へ逆流するリスクがあります。
水量や圧力の調整、作業手順の工夫が必要なため、経験ある業者に任せることが大切です。
配管を長持ちさせるための予防策
配管洗浄だけでなく、日常の使い方を少し変えることで、トラブルのリスクを大きく下げられます。
油を流さない工夫
油はなるべく流さないようにしましょう。
- フライパンや鍋の油は、キッチンペーパーで拭き取ってから洗う
- 揚げ油は処理剤を使って固めて捨てる
こうしたひと手間で、配管に流れ込む油の量を大幅に減らせます。
たまにぬるま湯を流す
50℃前後のぬるま湯をときどき流すと、軽い油汚れが再び固まるのを遅らせる効果が期待できます。
やけどや配管への負担を避けるため、沸騰したお湯をそのまま流すような使い方は控えたほうが無難です。
排水桝の定期チェック
一戸建ての場合、半年〜1年に一度を目安に排水桝のふたを開けてみると、配管の健康状態を把握しやすくなります。
汚れが多いと感じたら、早めに清掃や配管洗浄を検討しましょう。
ストレーナー(ゴミ受け)の活用
シンクや浴室の排水口にゴミ受けを設置し、こまめに掃除するだけでも、配管に流れ込む固形物をかなり減らせます。
「流さないものを増やす」意識が、配管を長持ちさせるうえでとても重要です。
マンションと戸建ての違い
最後に、マンションと戸建てにおける配管洗浄の違いを整理します。
共用部と専有部の配管
マンションでは、
- 専有部:各家庭の室内配管
- 共用部:縦管や横引き管など、建物全体を通る配管
このように分かれており、どこに問題があるかで対応窓口が変わります。
共用部のトラブルは管理会社や管理組合が窓口になるため、勝手に工事を手配する前に連絡しておくことが大切です。
清掃の担当範囲
定期的な配管清掃は、共用部を中心に行われることが多くなります。
一方、室内側の配管や器具のメンテナンスは、基本的に各家庭の負担です。
案内文書などをよく読み、自分がどの範囲まで対応すべきか確認しておくと安心です。
戸建て特有のトラブル
戸建て住宅では、屋外配管や排水桝も含めて、ほとんどが所有者の管理範囲です。
- 桝の位置が分からない
- 庭木の根が配管に入り込む
- 地盤の影響で配管がたるむ
こうしたトラブルも起こりやすくなるため、定期的なチェックと配管洗浄が重要なメンテナンスです。
配管洗浄に関するQ&A(FAQ)
最後に、配管洗浄に関するよくある質問をまとめました。
Q1.配管洗浄はどのくらいの頻度で行えばよい?
A.キッチンの使用状況や家族構成にもよりますが、一戸建てであれば3〜5年に一度、油の使用が多い家庭ならもう少し短い間隔を目安に考えると安心です。
マンションの場合は、管理会社からの案内に合わせて参加するのが基本になります。
Q2.市販のパイプクリーナーだけで配管洗浄は十分?
A.排水口付近の軽い汚れや臭いには有効ですが、配管の奥に蓄積した汚れまでは届きにくくなります。
症状が続く場合は、高圧洗浄など専門的な配管洗浄を検討したほうが確実です。
Q3.高圧洗浄で配管が壊れることはない?
A.適切な圧力と方法で行えば、大きな問題は起こりにくくなります。
ただし、老朽化が進んだ配管や施工状態が悪い配管では、リスクが高まる可能性があります。
事前に状況を確認し、必要に応じて慎重な方法を選んでもらうことが重要です。
Q4.配管洗浄の作業時間はどのくらい?
A.一戸建ての屋外配管を中心とした洗浄であれば、数時間程度で終わるケースが多くなります。
詰まりがひどい場合や調査を併用する場合は、半日以上かかることもあります。
Q5.配管洗浄を依頼するベストタイミングは?
A.「臭いが気になり始めたとき」「流れが以前より悪くなったと感じたとき」がひとつの目安です。
完全に詰まってしまう前に依頼したほうが、費用も被害も抑えやすくなります。
まとめ:配管洗浄で“見えないトラブル”を早めにリセット
配管の中は普段目に入らない場所ですが、生活を続ける限り、少しずつ汚れが溜まっていきます。
その結果として、悪臭や流れの悪さ、場合によっては逆流や漏水といったトラブルが起こります。
- 日常のひと手間で、配管に流れ込む汚れを減らす
- 軽い症状なら、自分でできる範囲の配管洗浄を試す
- 繰り返すつまりや強い悪臭があれば、早めに専門業者へ相談する
この三つを意識するだけでも、配管トラブルのリスクを大幅に下げることができます。
とくに「配管 洗浄」は、問題が起こってから慌てて調べることが多いテーマです。
今は困っていなくても、家を長く大切に使っていくためのメンテナンスとして、配管洗浄の必要性と方法を頭の片隅に置いておくと、いざというとき落ち着いて対応しやすくなります。
記事の監修者
島尻 博富士水道センター
水道工事や各種水回りの修理に従事して35年間。大規模修繕工事の計画~実施までの対応も可能。保有国家資格(給水装置工事主任技術者、一級管工事施工管理技士、一級建築配管技能士)。2023年1月25日放送 テレ朝スーパーJチャンネルで強烈寒波の報道に出演。












