
お風呂の排水溝が臭い…原因と対処法を総まとめ|今すぐできるニオイ解消ガイド
水のトラブル
更新日 : 2025年11月14日

富士水道センター編集部
お風呂の排水溝から漂うイヤな臭いは、日常の小さな汚れから、排水管の深部で進むトラブルまで原因が幅広いものです。
放置すると臭いが強まり、浴室全体に広がることもあるため、早めの原因特定が欠かせません。
この記事では、排水溝の臭いが起きる主な理由と、自宅でできる対処法、再発を防ぐための予防策をわかりやすく整理しています。
マンションや賃貸での注意点、業者へ依頼すべき場面、悪質業者の見分け方まで一通り確認できる内容です。
今日からできる改善のヒントをまとめていますので、同じ悩みを繰り返さないためにも参考にしてみてください。
目次
お風呂の排水溝が臭うときに最初に確認すべきポイント

お風呂の排水溝が臭いときは、最初に以下のポイントをチェックすると原因の目星がつきます。
どれもすぐに確認できる内容なので、まずは落ち着いて状態を見てみましょう。
- 水の流れが悪くないか
- ヘアキャッチャーに髪の毛が詰まっていないか
- 排水トラップの水が減っていないか
- 排水口のパーツ(目皿・防臭パッキン)がズレていないか
- 最後の掃除から時間が経っていないか
これらのポイントは、排水溝の臭いのほとんどに関わる基本的な要素です。
とくに「髪の毛詰まり」や「トラップの水切れ」は発生しやすく、原因がここにあればすぐに改善できます。
まずはひとつずつ確認し、どこに問題がありそうか判断してみてください。
お風呂の排水溝が臭いときの主な原因5つ

お風呂の排水溝が臭うときは、いくつかの典型的な原因が関わっています。
まずは、どんな理由で臭いが発生しやすいのか全体を整理してみましょう。
- 髪の毛や皮脂汚れが溜まって腐敗している
- 排水トラップの水が蒸発して、防臭機能が弱まっている
- 排水管の中でぬめりや雑菌が広がっている
- 排水口パーツ(パッキンなど)が劣化・ズレを起こしている
- 排水管自体の詰まりや老朽化が進んでいる
これらはどれも日常的に起きやすく、多くの家庭で共通して見られるトラブルです。
以下で、それぞれの原因がどのように臭いへつながるのか詳しく説明します。
① 髪の毛・皮脂汚れが蓄積して腐敗している
最も多い原因が、髪の毛や皮脂汚れの蓄積です。
ヘアキャッチャーに溜まった髪の毛は、石けんカスや皮脂と絡むことでぬめりを作りやすく、放置すると腐敗臭に変わります。
家族の人数が多い家庭では汚れの進行が速く、数日掃除を怠るだけでも強いニオイが発生することがあるので注意が必要です。
表面上はきれいでも、実際には排水口パーツの裏側に汚れが溜まりやすいため、こまめに清掃しましょう。
② 排水トラップの水が蒸発して、防臭機能が切れている
排水口には、下水の臭いを上がらせないための「排水トラップ」が備わっています。
このトラップは常に水がたまっており、その水が臭いをせき止める役割を担う部位です。
しかし、換気扇を長時間つけっぱなしにしていたり、数日間家を空けていたりすると水が蒸発し、下水の臭いがそのまま上がってきます。
とくに夏場や乾燥しやすい環境では水の減りも早くなるため、意識して確認しておくと安心です。
③ パイプ内部のぬめり・雑菌が繁殖している
排水口の表面を掃除しても臭いが残る場合、排水管の奥でぬめりや雑菌が繁殖しているかもしれません。
排水管の内側には皮脂汚れ、シャンプー成分、石けんカスが付着しやすく、これらが湿気と混ざることで生臭いニオイを発します。
見えない部分で進行するため気づきにくく、数日で再発することが多いのも特徴です。
日常の表面掃除だけでは改善しにくく、専用クリーナーや熱めのシャワーを使った奥の汚れ対策をしましょう。
④ 防臭パッキンの劣化・ズレ
排水口の内部には、防臭パッキンや防臭フタなどの部品があり、これらが正しくセットされていることで臭いを食い止めています。
ところが、掃除の際にパーツがズレてしまったり、ゴムが硬くなって劣化したりすると、密閉性が弱まり臭気が上がりやすくなってしまうのです。
とくに賃貸住宅では設備が古くなっていることも多く、劣化したパッキンが原因になっているケースも珍しくありません。
見た目には小さなズレでも臭いに直結するため、定期的な確認をしましょう。
⑤ 排水管そのものの詰まり・劣化(築年数が古い家に多い)
築年数20年以上の住宅では、排水管そのもののが劣化していることがあります。
年月とともに汚れが蓄積され、通常の清掃では落とせない状態になっているのです。
汚れは詰まりの原因となり、水の流れを悪くしてしまいます。
その結果、悪臭や逆流のリスクが高まるので注意が必要です。
市販クリーナーでは改善しない、何度掃除しても臭いが戻る、といった状況が続く場合は、排水管の深部が原因である可能性が高く、専門業者による高圧洗浄や点検が必要になることもあります。
原因別|お風呂の排水溝の臭いを解消する方法(手順つき)

排水溝の臭いを消すには、原因に合わせた手順を踏むことが大切です。
ここでは、5つの原因それぞれに適した解消法を「ステップ付き」でわかりやすくまとめました。
① 髪の毛・皮脂汚れが原因の場合
髪の毛や皮脂が臭いの元になっている場合、排水口パーツの分解掃除が最も効果的です。
排水口は表面よりも裏側に汚れがたまりやすく、取り外して洗うことでニオイの原因をしっかり落とせます。
- ヘアキャッチャー・目皿・排水トラップを取り外す
- 中性洗剤とブラシでパーツの裏側まで丁寧に洗う
- 重曹をふりかけ、上からクエン酸をかけて発泡させる
- 30分ほど置いて汚れを浮かせる最後に熱めのシャワーでしっかり洗い流す
重曹+クエン酸の発泡はぬめりを落としやすく、臭いの消臭にも効果があります。
家族の人数が多い家庭では、週に1回の分解掃除を行うと臭いが発生しにくくなります。
② 排水トラップの水切れが原因の場合
排水トラップは、たまった水で下水の臭いを止める仕組みです。
蒸発して水が減ると、臭いが直接上がってくるため、水を補充するだけで簡単に改善します。
- コップ1〜2杯の水を排水口にゆっくり注ぐ
- 水がすっと落ちていくのを確認する
- 5〜10分後、臭いが収まっているか確かめる
換気扇をつけっぱなしにしている家庭では水が蒸発しやすいため、ときどき水量を確認すると安心です。
③ 排水管の内部汚れ(ぬめり)が原因の場合
排水口の表面を掃除しても改善しないなら、排水管の奥で汚れが広がっている可能性があります。
ぬめりは熱でゆるみやすく、さらに専用クリーナーと併用することで効果が高まるので試してみてください。
- 50℃前後の熱めのシャワーを数分流し、奥の汚れを柔らかくする
- 酵素系クリーナーまたは塩素系クリーナーを排水口に入れる
- 指示された時間だけ放置する(多くは30分〜1時間)
- 最後にお湯でしっかり洗い流す
生臭いニオイが続く場合は、排水管の壁面に汚れが広く付着している可能性があるので、定期的なケアが必要です。
④ 防臭パッキンの劣化・ズレが原因の場合
防臭パッキンの劣化・ズレの場合は、防臭パッキンの状態を確認しながらもとに戻しましょう。
- 排水口パーツを外し、パッキンの位置や状態を確認する
- ズレていれば正しい位置に戻す
- ゴムが硬くなっていたりひび割れている場合は新しいパッキンに交換する
排水口の品番はふた裏に記載されていることが多いため、それを参考にパッキンを購入できます。
⑤ 排水管そのものの詰まり・劣化が原因の場合
築年数が古い住宅では、排水管自体が老朽化しているケースがあります。
この場合、市販クリーナーでは取りきれない深い汚れや固着が原因になっていることが多く、専門的な作業が必要です。
- 排水口周辺だけでなく家の他の排水(洗面台・キッチン)の状態も確認する
- 流れが弱い・においが戻る・複数箇所で症状が出る場合は深部トラブルを疑う
- 高圧洗浄またはカメラ調査が可能な業者に相談する
高圧洗浄やカメラ調査は、水道業者に依頼するのがおすすめ。
お気軽に、富士水道センターまでご相談ください。
お風呂の排水溝でやってはいけないNG行為

排水管の深い詰まりを放置すると、悪臭だけでなく逆流や水漏れにつながることがあるため、早めの対応が重要です。
しかし、排水溝の臭いを早く解消したいあまり、勢いで間違った方法を試してしまうと、かえって悪化したり設備トラブルに発展することがあります。
安全のためにも、次のポイントは必ず避けてください。
- 酸性洗剤と塩素系洗剤を同時に使う
- ワイヤーや金属棒を無理に押し込む
- 60℃以上の熱湯を大量に流す
- 排水トラップを外したまま使用する
- それぞれ詳しく解説していきます。
それぞれ詳しく解説していきます。
酸性洗剤と塩素系洗剤を同時に使うのは危険
酸性洗剤と塩素系洗剤を組み合わせて使うと、有毒な塩素ガスが発生する危険があります。
どちらも強力な洗浄剤ですが、一緒に使うと化学反応を起こし、浴室全体がガスで充満することもあります。
換気の悪い浴室では特に危険で、体調不良や事故につながりかねません。
排水口をしっかり掃除したいときでも、必ずどちらか一方の洗剤を使用し、説明書に従って扱うことが大切です。
誤って酸性洗剤と塩素系洗剤を混ぜてしまったときには、すぐに換気をしましょう。
ワイヤーや金属棒を無理に押し込むのは逆効果
排水管の奥が詰まっているのでは…と不安になり、ワイヤーや金属棒を強引に差し込んでしまう方がいますが、これは非常に危険です。
排水管は見た目よりも繊細で、無理に押し込むと管の内側を傷つけ、ひび割れや破損の原因になります。
さらに、汚れを奥に押し込んでしまうと詰まりが深刻化し、後から専門業者でも修復が難しくなるケースも。
作業に慣れていない人が長い器具を使う行為はリスクが大きいため避けましょう。
60℃以上の熱湯を大量に流すと設備が傷むことがある
熱湯を流せば汚れが一気に落ちると思いがちですが、浴室の素材によっては60℃以上の高温に耐えられないものがあります。
床材や排水トラップのプラスチック部分が変形したり、劣化を早めたりすることがあり、最悪の場合は部品交換が必要になることも。
適度な温度(50℃前後)であれば汚れを柔らかくする効果がありますが、熱湯を大量に流すのは避けたほうが安全です。
排水トラップを外したまま使うと臭いが直に上がる
排水トラップは、下水からの臭いや害虫の侵入を防ぐ大切な部品です。
掃除のために取り外すこと自体は問題ありませんが、そのままの状態で使用すると臭気が直接上がってしまいます。
トラップのパーツが複数あるタイプは、ひとつでも欠けると効果が落ちるため、掃除後は必ず正しい位置に戻しましょう。
戻し忘れは意外と多いトラブルです。
洗剤を大量に投入して放置しすぎると逆効果になることも
「たくさん入れれば効くだろう」と思い、洗剤を大量投入して長時間放置すると、排水口の素材を痛めたり、残留物が固まってしまったりする場合があります。
特に強い塩素系クリーナーは扱いに注意が必要で、放置時間を守らないとプラスチック部品の劣化や変色につながることがあります。
洗剤はメーカーの指示通りに使い、必要以上に時間をおかないことが重要です。
お風呂の排水溝の臭いを予防する方法

排水溝の臭いは、正しいケアを習慣化することで大幅に減らすことができます。
日々の少しの工夫で「臭わない浴室」を維持しやすくなるため、ここでは今日からできる予防策をレベル別に紹介します。
毎日できる簡単な予防ケア
入浴後の数十秒の習慣だけで、排水口の汚れはたまりにくくなります。
髪の毛や皮脂、石けんカスはお湯で流れやすい状態のうちに処理しておくことが大切です。
とくに家族が多い場合は汚れの蓄積が早く、毎日のケアが臭い防止につながります。
手間をかけずに実践できるため、今日から習慣化してみてください。
- 入浴後に熱めのシャワーを10〜20秒ほどかけて汚れを軽く流す
- ヘアキャッチャーの髪の毛をその日のうちに捨てる
- 浴室の換気扇をこまめに回し、湿気を残さない
「ちょこっと」の習慣が臭い予防につながります。
週1回の軽いメンテナンス
週に一度の簡単な掃除をするだけでも、排水口のぬめりや汚れの発生を大幅に抑えられます。
重曹とクエン酸の発泡洗浄は手軽で効果的な方法で、汚れを落とすだけでなく消臭効果も期待できます。
忙しい方でも取り入れやすいメンテナンスです。
- 重曹+クエン酸の発泡掃除でぬめりを防ぐ
- 排水口パーツを外して軽くブラシ洗浄する
- 水が流れにくい日があれば早めに対処する
月1回のしっかりケア
月に一度は、排水口パーツをまとめて掃除し、トラップの水量やパッキンの状態をチェックしておくと安心です。
パーツの裏側には気づかないうちに汚れが蓄積しやすく、ここをきれいに保つことで臭いの発生を長期間防げます。
- 排水トラップに水がしっかり溜まっているか確認する
- パッキンの劣化やズレがないか点検する
- 排水口パーツを分解して丁寧に洗浄する
毎日・週1・月1というリズムをつくることで、排水溝の臭いは驚くほど出にくくなります。
生活スタイルに合わせて無理のない範囲で取り入れ、快適な浴室環境を長く保っていきましょう。
こんな症状は業者に依頼すべき

排水溝の臭いは自分で解決できるケースが多いものの、原因が排水管の深部にある場合や、複数箇所で症状が出ている場合は専門業者の点検が必要になることがあります。
無理に自己流で対処し続けると悪化し、修理費が高額になってしまうこともあるため、次の症状に当てはまるかどうか確認してみてください。
- 排水口の臭いが3日以上続いている
- 何度掃除しても臭いがすぐ戻る
- 排水口から「ポコポコ」という異音が聞こえる
- 水の流れが明らかに弱くなっている
- 市販クリーナーを使っても改善しない
- 築20年以上の住宅で排水トラブルが増えている
- お風呂以外の場所(洗面台・キッチン)でも臭いや流れの悪さがある
- マンション全体で似た症状が出ている
以下では、なぜそれぞれの症状が「要注意」なのか、業者依頼が必要になる理由を詳しく説明します。
臭いが3日以上続く場合は深部の汚れの可能性が高い
表面の掃除では取れないしつこい臭いが続くときは、排水管の奥で汚れが固着し、生臭さを発している可能性があります。
家庭用クリーナーだけでは除去が難しく、奥に蓄積した皮脂汚れや石けんカスは高圧洗浄など専門的な作業でなければ落としきれません。
放置するとさらに強い臭いに変わるため、早めのプロ依頼が有効です。
掃除してもすぐ臭いが戻る場合は「再発型トラブル」
表面をきれいにしても数日で臭いが戻る場合、内部でぬめりが広がり続けている可能性があります。
このような「再発型」のトラブルは、排水口ではなく排水管の深い部分に原因があることが多く、個人で改善するのは困難です。
内部の汚れを根本的に取り除くには専門工具を使わなければいけません。
「ポコポコ音」がするのは空気の流れが乱れているサイン
排水口から聞こえる「ポコポコ」という異音は、排水管内で空気と水の流れがうまくいっていないときに起こる現象です。
家庭内のどこかで詰まりが起きている可能性があり、この状態を放置すると逆流や水はねの原因になります。
音が続く場合は早めに点検しておくと安心です。
水の流れが弱い場合は詰まりが進行している可能性がある
排水の流れが弱くなることは、排水管の内部に汚れが厚く蓄積しているサインです。
掃除をしても改善しない場合は、詰まりが管の奥で進行している可能性があります。
強引な自己処理はかえって悪化させる原因に。
排水管の状態をカメラで確認したり、高圧洗浄で一度リセットしてもらうと安心です。
市販クリーナーで改善しない場合は「家庭用では届かない場所」が原因
パイプクリーナーを使っても臭いや流れの悪さが改善しないときは、汚れが深部に固着している場合があります。
市販クリーナーは一定の範囲までしか作用しないため、長い年月で溜まった汚れや落ちにくい皮脂成分を完全に取り除くのは難しく、プロの機材が必要です。
築年数20年以上の住宅は排水管の劣化が起きていることがある
住宅が古くなると、排水管の内側に長年の汚れがこびりつき、通常の掃除では除去できない状態になっていることがあります。
劣化した管はひび割れやサビが発生しやすく、臭いだけでなく水漏れなど別のトラブルへ発展する危険もあるため、専門家による点検がおすすめです。
複数の場所で症状が出る場合は「共通管の問題」が疑われる
お風呂だけでなく、洗面台やキッチンでも臭い・流れの悪さがある場合、家全体の排水経路にトラブルがある可能性があります。
こうしたケースは個人での対処が難しく、共通の配管に汚れが詰まっている場合は高圧洗浄が必要です。
マンションの場合は共用部の問題の可能性もある
マンションで複数世帯に同じような症状が出ている場合は、共用排水管で問題が起きていることがあります。
専有部分では解決しないため、管理会社への連絡が必要です。
無理に自己処理するとトラブルの原因になるため、早めに管理会社または専門業者へ相談しましょう。
マンションのお風呂の排水溝が臭うときの注意点

マンションのお風呂で排水溝の臭いが発生した場合、戸建てとは異なる原因が潜んでいることがあります。
マンションには「専有部(自分の部屋)」と「共用部(建物全体の配管)」が存在し、どちらに問題があるかによって対応方法が大きく変わるのがポイントです。
まずは、マンション特有のポイントを押さえておくとトラブルをスムーズに解決できます。
- 自分の部屋だけで臭いが出ているか
- 同じ階や上下階でも同じ症状が出ていないか
- 排水の流れが複数の場所で悪くなっていないか
- 最近大規模修繕や配管清掃が行われているか
これらのポイントを確認することで、原因が「自分の部屋の排水口」なのか、「マンション全体の共用配管」なのか判断しやすくなります。
以下で、マンション特有の注意点を詳しく解説します。
同じ階や上下階でも症状が出ていないか確認する
マンションの場合、複数の部屋がひとつの縦の配管(縦管)でつながっています。
そのため、自分の部屋だけでなく上下階でも同じような臭いが発生している場合、問題は共用配管にあるかもしれません。
とくに「ポコポコ音がする」「数世帯で同時に流れが悪い」という症状があれば、縦管の詰まりや汚れが進行している場合があります。
これは住民側では解決できず、管理会社の対応が必要です。
共用配管が原因の場合は管理会社への連絡が必須
マンションの配管は大きく分けて、専有部と共用部があります。
- 専有部:各家庭の排水口〜室内の排水管
- 共用部:上下階でつながる縦管・外部の排水管
自分の部屋でどれだけ掃除しても改善しない場合は、共用部の配管にトラブルがある可能性が高く、住民が個別に業者を呼んでも解決しないことがあります。
共用部に異常がある場合は管理会社が対応するため、早めに状況を伝えるほうがスムーズです。
水の流れが複数箇所で悪い場合は共用部の問題を疑う
お風呂だけでなく、洗面台やキッチンでも流れが悪くなっている場合は、配管のどこかで詰まりが広がっている可能性があります。
マンションの排水はすべて縦管に集まるため、ひとつの詰まりが建物全体に影響することも珍しくありません。
この状況では自力での解消がほぼ不可能で、早急な管理会社への報告が必要です。
定期的な排水管清掃の有無を確認しておくと安心
多くのマンションでは年1回〜2回、業者による排水管清掃(高圧洗浄)が行われます。
これが長期間行われていない場合、配管内部で汚れが蓄積し、臭いや詰まりが発生しやすくなるので留意しておいてください。
過去の清掃履歴を管理会社に確認し、必要であれば追加清掃を依頼することもできます。
自分の部屋だけでなく建物全体のメンテナンス状況を知っておくと、トラブルの予防にもつながります。
自分の部屋が原因の場合もあるため、まずは排水口の確認を
マンション特有の問題を疑う前に、まずは自分の部屋の排水口を確認することも大切です。
髪の毛詰まりやトラップの水切れなど、専有部が原因のトラブルは個人で解決できます。
管理会社へ連絡する前に、自分の部屋の排水口を軽く掃除し、臭いが改善するかどうか確認しておくと状況説明がしやすくなります。
賃貸でお風呂の排水溝が臭いときの対応方法

賃貸住宅で排水溝の臭いが発生した場合、入居者自身で対応できるケースと、大家・管理会社に連絡すべきケースに分かれます。
賃貸ならではのルールがあるため、最初に状況を整理しておくとスムーズに解決できます。
- 入居者側の汚れが原因でないか
- 排水トラップやパッキンのズレが起きていないか
- 自分で対処しても改善しないか
- 他の部屋でも同じ症状が出ていないか
賃貸住宅の場合、どこまでが“入居者負担”でどこからが“大家負担”なのかが明確でないと判断に迷いやすいため、以下の内容を順番にチェックしてみてください。
まずは自分で軽い掃除をして、入居者側の原因がないか確認する
賃貸であっても、日常的な掃除・管理は入居者の責任範囲とされています。
そのため、髪の毛詰まりやトラップの水切れといった、日常で起きるトラブルは自分で改善しましょう。
まずはヘアキャッチャーや排水口部分の簡単な清掃を行い、トラップに水がしっかり入っているか確認してみてください。
これだけで臭いが解消する場合も少なくありません。
掃除しても改善しない場合は設備の不具合の可能性がある
軽い掃除をしても臭いが残る場合、排水口パーツの劣化や排水管の老朽化など、設備の問題が関わっていることがあります。
これらは入居者が原因ではないため、自己負担で修理する必要はありません。
無理に自己流で対処しようとすると、設備を傷つけて逆に費用がかかる場合があるため、早めに管理会社へ相談して状況を確認してもらいましょう。
共有部分が原因の場合は入居者に責任はない
賃貸物件では、建物全体の排水設備(縦管・共用排水管)は大家または管理会社の管理範囲となります。
お風呂だけでなく洗面台やキッチンでも臭いが出ている場合や、近隣住戸でも同じ症状が起きている場合は、共用部分に問題がある可能性が高く、入居者が対応する必要はありません。
このような場合は管理会社に連絡するだけで、費用負担も大家側が行うのが一般的です。
管理会社へ連絡する際は状況を具体的に伝えるとスムーズ
管理会社へ連絡するときは、以下のような情報を伝えておくとスムーズに対応してもらえます。
- 臭いが出始めた時期
- どの場所(浴室・洗面台など)で発生しているか
- 掃除しても改善したかどうか
- 他の部屋でも同じ声が出ていないか
- 水の流れが悪くなっていないか
状況が明確だと、管理側も「設備の不具合なのか、共用部の問題なのか」を迅速に判断できます。
自己判断で業者を呼ぶのは避けたほうがいい場合がある
賃貸物件では、入居者が勝手に業者を呼ぶと費用を請求される可能性があります。
特に、共用部のトラブルや設備不良が原因だった場合、本来は大家側の負担になる修理でも、自己判断で依頼したことで費用負担が発生するケースがあります。
必ず管理会社に相談し、許可を得てから業者を呼びましょう。
入居前からあるトラブルは大家側の負担になることが多い
入居してすぐ臭いや詰まりが発生した場合、その設備はすでに劣化していた可能性があります。
こうした初期不良は入居者の責任ではなく、大家側で対応してもらえることがほとんどです。
入居直後で違和感を覚えた場合は、早めに管理会社へ相談し、入居時の状態を記録しておくと安心です。
賃貸住宅で排水溝の臭いが発生した場合、「どこに原因があるのか」「誰が負担するのか」を見極めましょう。
まずは自分でできる範囲を確認し、それでも改善しないときは管理会社へ連絡して適切な対応を進めてみてください。
プロ業者に依頼した場合の費用相場(料金の目安)

排水溝の臭いが自力では改善しない場合、専門業者に依頼しましょう。
特に、排水管の奥に汚れが蓄積しているケースや、築年数が経った住まいではプロの機材が必要になることがあります。
ここでは、依頼したときにかかる料金の目安をわかりやすく紹介します。
- 排水口・排水トラップの交換:10,000〜20,000円
- 排水管(お風呂単体)の高圧洗浄:30,000〜60,000円
- 漏水調査:8,000円〜
- パッキンやパーツ交換:3,300円~(部材による)
費用は住んでいる地域や建物の構造、作業の難易度によって多少前後しますが、一般的な目安としては上記の範囲が多くの業者で採用されています。
専門業者の選び方|水道局も注意喚起する“悪徳業者”に要注意

排水溝の臭いや排水管のトラブルは専門業者へ依頼することで確実に解決できますが、近年は高額請求や不要な工事を迫る悪質業者も報告されています。
実際に、各自治体の 上下水道局でも「悪徳業者に注意」 といった呼びかけが行われています。
突然の訪問や不自然な勧誘に惑わされず、以下の基準で信頼できる業者を選ぶことが大切です。
ここからは、専門業者を選ぶポイントを紹介していきます。
見積書を出してくれる業者を選ぶ
作業前にきちんと見積書を提示する業者は信頼できます。
逆に、見積もりを出さずにそのまま作業を開始しようとする業者は避けたほうが安全です。
作業内容・料金・追加費用の有無を説明できるかどうかが判断ポイントです。
名刺・会社情報・所在地を明確に提示してくれるかチェックする
悪質業者の特徴として、
- 名刺を出さない
- 会社情報を曖昧にする
- 住所がレンタルオフィスのみ
といった点が挙げられます。
水道局の注意喚起でも、「実在しない会社名で営業する業者」が問題としてよく取り上げられています。
会社情報を明確に提示できる業者ほど信頼度は高くなります。
不安を煽る説明をする業者は避ける
「今すぐ工事しないと大変なことになります」
「見たことないほど危険な状態です」
といった不安を煽る言い回しは、悪質業者の典型例です。
本当に修理が必要な場合は、落ち着いた説明で十分に理解できます。
感情に訴える説明しかできない業者には注意してください。
口コミ・実績を確認する
Googleマップや公式サイトの施工事例、SNSのレビューなどは業者の実績を判断する材料になります。
施工写真や作業内容を細かく掲載している業者は、サービス品質に自信があると考えられます。
口コミが極端に少ない、または不自然に高評価ばかりの場合も注意が必要です。

地元の業者・水道局指定工事店なら安心感が高い
各自治体の上下水道局には 「指定工事店」 という制度があります。
指定工事店は一定の技術・設備・法令遵守の基準をクリアした事業者で、地域の排水設備に詳しいため安心感があります。
特に、排水管の高圧洗浄や設備調整が必要な場合は、地元の信頼できる業者に依頼するとスムーズです。
お風呂の排水溝に関するよくある質問(FAQ)

排水溝の臭いに悩む方がよく抱える疑問をまとめました。
具体的な原因や正しい対処法を知ることで、不安を減らし、スムーズに改善へつなげることができます。
排水溝が臭うのはカビが原因ですか?
カビが原因の場合もありますが、多くは髪の毛や皮脂汚れが蓄積し、腐敗して発生する臭いです。
とくに排水口パーツの裏側や排水管の奥に溜まる汚れは、湿気と混ざることで独特の生臭さを発します。
カビ特有のツンとした臭いとは異なることが多いため、まずは汚れの蓄積を疑ってみてください。
重曹とクエン酸だけで臭いは取れますか?
軽度の汚れや初期段階のぬめりであれば、重曹+クエン酸の発泡洗浄で改善することがあります。
ただし、排水管の奥深くに蓄積した汚れや、長期間蓄積した皮脂汚れには不十分な場合も。
臭いがすぐ戻る場合は、専用クリーナーや高圧洗浄など、別の方法を検討したほうが効果的です。
排水トラップは自分で掃除しても大丈夫ですか?
排水トラップの取り外しは構造が分かりやすいタイプであれば自分でも可能です。
ただし、パーツが複雑なものや、組み立てが難しいタイプでは、元に戻せなくなるケースがあります。
無理に外すと防臭機能が弱くなるため、取り外しに不安がある場合は、分解できる範囲だけを掃除するか、専門業者に依頼するのが安全です。
排水溝から「ポコポコ音」がするのは危険ですか?
「ポコポコ」という異音は、排水管の中で空気がうまく流れていないサインです。
詰まりが進行している可能性があり、このまま放置すると逆流が起きたり、臭いが強くなることがあります。
複数の排水口で同時に音がする場合は、住宅全体の排水経路で問題が起きている可能性もあるため、早めに点検しましょう。
市販のパイプクリーナーはどれくらいの頻度で使えばいいですか?
市販クリーナーは毎日使う必要はありません。
一般的には月に1回程度で十分ですが、家族の人数が多い場合は2〜3週間に1度の使用でも効果的。
強力な塩素系クリーナーは使いすぎると配管やパーツの劣化を早めることがあるため、説明書にある使用頻度を守ることが大切です。
掃除しても臭いがすぐ戻るのはなぜですか?
排水口の表面だけを掃除しても、排水管の奥に汚れが残っている場合は臭いが短期間で再発します。
管の内側には皮脂や石けんカスが厚く付着しやすく、家庭用洗剤だけでは落としきれないことがあります。
繰り返し臭う場合は、排水管の奥の汚れを疑い、専用クリーナーや高圧洗浄を検討する必要があります。
お風呂以外の場所も臭う場合はどうすればいいですか?
洗面台やキッチンでも同じように臭いが発生している場合は、住宅全体の排水管にトラブルが広がっている可能性があります。
こうしたケースでは、個別に掃除しても改善しないことが多く、共通の排水経路に詰まりや汚れがたまっていることがあります。
自己解決が難しいため、早めに専門業者へ相談することが必要です。
マンションで排水溝が臭うときは自分で対処できますか?
排水口の軽い詰まりやトラップの水切れは自分で対処できますが、上下階で同じ症状が出ている場合や、複数の排水口で臭いが発生している場合は、共用配管の問題が疑われます。
マンションの場合、共用部分の管理は管理会社が行うため、自力で解決しようとせず、早めに連絡することを推奨します。
まとめ|お風呂の排水溝の臭いは原因を特定すればすぐ解消できる
お風呂の排水溝の臭いは、原因さえつかめば改善しやすいトラブルです。
多くの場合、髪の毛や皮脂汚れ、排水トラップの水切れといった日常的な要因が原因になっています。
まずは自分で確認できる範囲を落ち着いてチェックしてみてください。
- 髪の毛や皮脂汚れが最も多い原因
- 排水トラップの水切れは水を足すだけで改善することがある
- 排水管の奥の汚れは市販クリーナーで届かない場合がある
- 防臭パッキンのズレや劣化でも臭いが発生する
- 築年数が古い住宅やマンションは共用配管の問題も疑う
- 何度掃除しても臭うときは専門業者に相談する
お風呂の排水口は毎日使う場所だからこそ、少しの汚れでも臭いにつながりやすい場所です。
しかし、今回紹介したように、正しい手順で掃除するだけで改善できるケースは多くあります。
日常の簡単なケアと定期的なメンテナンスを習慣化すれば、臭いの発生をおさえて快適なバスタイムを保つことができます。
もし自分で対処しても臭いが続く、複数箇所で同じ症状が出る、築年数が古い住宅でトラブルが増えているといった場合は、無理をせず専門業者へ相談するのが安心です。
適切な処置を行えば、再発を防ぎ、長く快適な浴室環境を維持できます。
記事の監修者

島尻 博富士水道センター
水道工事や各種水回りの修理に従事して35年間。大規模修繕工事の計画~実施までの対応も可能。保有国家資格(給水装置工事主任技術者、一級管工事施工管理技士、一級建築配管技能士)。2023年1月25日放送 テレ朝スーパーJチャンネルで強烈寒波の報道に出演。













